0章 -1 ―始まり― | 夜の羊の本棚

夜の羊の本棚

ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。

恋海亡き後・・・・というわけではありませんが。
戦国ラバーズというゲームにはまってしまい、無駄に本編を小説風に書いてみました。
恋海の小説も書き終わってないので、
例のごとくいつ突然更新やめるかわかったもんじゃないですが・・・・まあ・・・・本編だから、続き知りたければゲームプレイすれば同じだし!


というわけで、以下、このブログの戦国ラバーズ 半・夢小説を読むにあたっての注意です↓↓↓



当ブログの夢小説(天下一・戦国LOVERS)は、片倉小十郎 ルートです。
本編の大筋は大体そのままですが、管理人の勝手な自己判断で、

あった出来事を省いたり、
会話を抜いたり足したり、
本編にない裏設定的エピソードを足したり

しています。
乙女ゲームだとどうしても会話が多いので、「小説読みたい!!」という自分の願望を自分でかなえた身勝手な産物です汗☆
以上を踏まえ、広い心で読める方は、どうぞお進みください。
原作通りじゃないといやだ!ちょっとでも違うのは許せない!という方は、
回れ右でお願いしますm(_ _)m

公式の1話、2話が、このブログの1章,2章にあたります。
公式では9話+最終章で完結です。


















0章 始まり





―――人間50年
天下のうちを比ぶれば
夢幻のごとくなり
ひとたび生を得て
滅せぬ者のあるべきか―――
幸若舞『敦盛』






チチ…チュン…

外で小鳥たちがさえずり始める、奥州の朝。
伊達政宗の居城、青葉城に屋根を連ねるとある屋敷の一室で、一人の少女が目を覚ました。
ボロボロのふすまに、ところどころ破れた障子はすっかり色が変わっている。壁には幾つものひびが走り、人が住む部屋というよりは、まるで座敷牢のような佇まいの部屋の中央で、少女…蓮は、ゆるゆると目を開けた。
目の前の天井を焦点の定まらぬ目でぼんやりと眺める。室内はまだ暗いが、庭に面した戸を開ければきっと山の背が薄紫に浮かび上がるのが見えるはずだ。そして数刻もせず、空を割くように輝く朝日が昇ることだろう。いつもと変わらぬ、穏やかな朝がやってくる。
蓮の心など、おかまいなしに。




美巴(みはる)という小さな国に、蓮は領主の一人娘として生まれた。
各地で争いが絶えず毎日のように領境が描き変えられる時代にありながら、戦とは無縁ののどかな国である。
近隣していた他国も戦を望まなかった事が幸いしていたのかもしれない。形式的には蓮の父親がこの辺り一体の小大名であったが、どちらかというと他国も臣従しているというよりは、同盟関係のような曖昧な間柄だった。
豊かな作物とのどかな自然に囲まれて蓮は育った。




梅雨入りしてから、あと少しで一月がたとうとしている頃。
始めこそ雨の風情を楽しんでいた蓮であったが、じめじめと曇る日々がこうも毎日続くといい加減飽きてくる。
始めは肌寒かった気候もだんだんと蒸すようになり、そろそろ太陽が恋しくなったある日、久々の抜けるような快晴に蓮の心は弾んでいた。

「姫様、失礼いたします・・・・まだ外を見ていらっしゃるのですか」

「ええ」

沈む陽を眺めていた蓮は、呆れるように言う侍女をみるとはにかむように笑った。

「久々の天気だったのですもの。・・・・見て、月がとてもきれい」

薄紫の空には、太陽とは反対から昇ってきた月が、日の光の消えぬうちにうっすらと姿を現している。

「本当でございますね・・・・ですが一旦閉められて、寝衣に御召し換えされませんと」

大きく開かれた障子をあっというまにしめ、侍女はてきぱきと蓮の小袖を取り去り半襦袢にさせる。

「もう少し、外を見ていても良いでしょう?」

「それはかまいませんが、その格好で庭に出ることはお控え下さいませ」

「・・・・そんなことしないわ」

「五右衛門が来ても外には出ないでくださいね」

「・・・・分かってます」

ふくれるようにして返事をする連に、侍女はやれやれ、と思った。
彼女は蓮が幼いころからずっと仕えている侍女だ。
彼女にとって蓮は大事な主であるが、可愛い妹のようにも見えてならない。蓮も彼女を姉のように思っている節があり、だからこそ蓮をただの主従以上に大切に思える。
そして五右衛門というのも、そのように蓮を慕っている家臣の一人である。
それが侍女にはいささか心配の種なのだ。
子供の頃は良かったとして、蓮はもういつ嫁いでもおかしくない年齢である。にもかかわらず、そのあたりの領民の兄妹のようにいつまでも戯れているのはいったいどうした事だろうと、侍女としてはほほえましく見ているわけにはいかない。
蓮の父親がこの状況に何も言わないのも、ため息しか出てこなかった。

複雑な思いで蓮を見つめる侍女の思いなど、蓮はかけらも知らない。
着替え終わった蓮は縁側に近づき、遠くを見つめるようにした。

「きれい・・・・」

つぶやく連に、侍女は夕陽よりも陽を受けて赤く染まる蓮の横顔に、強烈な美しさを感じた。
おとなしくいつでも控えめな蓮だが、輝くような若さ、それが人並みはずれた美貌と合わさって、何も言わずとも見るものの心を激しく揺さぶる。
贔屓目に見ている分を差し引いても、やはり侍女は蓮よりも美しい女子を見たことがないと思うのだった。
もうとっくに、蓮はいつ何処に嫁いでもおかしくない歳になっている。
しかし蓮の父親にはそのような素振りは一切なく、よもやここにとどめおく気ではないかと、侍女の自分は日々をじれったい思いで過ごしているのだ。
男子であれば当然後を継ぐのだが、お家にとっては不幸というべきか、この国には一人娘の蓮しかいない。
一体何処の誰に。
そんな侍女の心境など知る由もなく、蓮は嬉しそうに外を眺めている。
その無邪気な様子に、やれやれと思いながらもどこかほっとするのは否定できない。
嫁いで女としての幸せをつかんでほしいとも願いながら、このまま変わらないでいてほしい、というのも侍女の矛盾した願いなのだ。
悩みは尽きないが、それでもゆったりとした、いつもの光景。
あと数刻後に起こる出来事が、そんなのんびりとした何気ない時間や何もかもを奪う。
今誰かが予言したとしても、一人として信じなかったであろう。
残り火のように真っ赤な夕日をを頬に受け、蓮は穏やかな微笑を浮かべた。










そして、運命の刻――










あとがき

どうしても、ヒロインの侍女を登場させたくて、公式にいない人を入れました。なので、名前はあえて入れてません。
姫なのに五右衛門(男)しかいないのは、乙女ゲーだからしょうがないかもしれないですが、自分以外誰も女の人がいないっていうのも、さびしいなぁ、とか思ったり・・・・?