セイレーン Ⅳ | 夜の羊の本棚

夜の羊の本棚

ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。

遅くなりました~(汗
いつものように、好き放題書いてます、苦手な方はご注意ください!!



先日書いた、まるっと書き直した方です。
後半から変わります~(汗







セイレーンⅤ



不可思議なものがでてきてつい手を入れて触ってみると、なんとそれは動いた。

(!?)

緑が引っ込み、その次にハヤテの目に入ってきたのは人の手だった。
驚いてそれを見つめていると、中から声がした。

「……だれ…か…?」

何を言っているのかよく聞き取れなかったが、声からして少女のもののようであった。返事をできずにいると、その声の持ち主は格子の中から手を必死に伸ばし、なんとかめくられた布はしを捉えると、上まで勢いよく引き上げた。
そしてハヤテは、あっけに取られてそれを見つめた。
黒い布が光を遮り、逆光のため見辛いが、たぶん、17、8歳だろうと思われる。栗色の柔らかそうな髪を、眉下くらいで揃えていた。後ろ髪は肩下まで伸び、ふんわりと空気を含んだように柔らかそうだ。陽の光をたっぷり吸い込んだ、生糸のようにつややかな髪の下からのぞく目は大きく、どこもかしこもまるで人形のように可愛らしかった。これで動かなければ、作りものだと言われて納得するくらいである。

しかしハヤテを固まらせたのは、少女の可愛らしい容姿ではなく、初めに見えたシルエットが、以前の嫌な夢を思い出させたからだった。今の今まで忘れていたし、まだ頭の片隅に記憶が残っていたことさえ驚きだ。もう細部まではその夢の内容を思い出すことはできないのだが、崖の上から恨むように自分を見下ろした影が一瞬脳裏をよぎったのだ。

(びっくりした、つーか全然違うじゃんか)

この少女から、禍々しい印象など受けるはずがない。しかしホッとしたのもつかの間だった。今まで黙ってじっとこちらを見ていた少女が、突然大声をあげたのだ。

「……助け…! お…願…!!」

言葉が違うのか、すべて聞き取ることができない。
所々拾えた言葉から、助けて欲しいというようなことを言っているのはなんとかわかった。何より、檻を両手でつかんでこちらを見る目が必死だ。
しかしそれよりハヤテを心配させたのは、ここで大声を出されてしまっては、前にいる男に見つかってしまう。

「お、おい、静かにしろって…!」

焦って、声のトーンを落として話しかけるが、少女は狂ったように叫ぶのをやめない。

「……助け…!!」

「おい、うるさいぞ、静かにしろ!!」

案の定、前の方から男が怒鳴る声がした。やまない少女の声に、こちらに向かってくるのがわかった。

(やべっ…くそ、しょうがない!)

足音が近づいてくる。
ここまできたら走って逃げても見つかるにきまっている。ハヤテはあえて逃げずに、通りすがりを装うことにした。

「!?…お前、何をしてるんだ!」

当然ハヤテを見つけた男は警戒の声をあげ、ハヤテの布を持つ手を掴もうとした。それより一瞬早く離しさっと一歩、男との距離をとる。布が降りると、それまで叫び続けていた少女の声が小さくなり、やがて止んだ。

「いや、通りかかったら、大きな荷物があったから、つい何かと思って…」

「通りかかったら?」

胡散臭そうに繰り返し、ハヤテを見る男は、よく見るとただの御者ではなく、腰に剣を帯びていた。柄に手をかけ、今にも抜き放ちそうな殺気をはなっている。今の少女の叫び声で心配なのか、男の気が周りの民家の気配を探っているのがわかる。しかしどの家も静まり返り、誰かが出てくる様子はなかった。聞こえたとしても、きっと面倒ごとに巻き込まれたくないのだろう。

ハヤテも、男に答えて剣の柄に手をやった。そんなに強くはなさそうだが、このところ退屈していたのだ、この際誰でもいい。ようやくひと暴れできると、身体中の血が騒いだ。

先に動いたのは、相手の男だった。Mediane―中段に構えた剣を振り上げ、そのままの太刀筋で振り下ろしてきたので、ハヤテも避けずに迎えうつ。そして相手の勢いのまま受け流した。

「っ、くそっ!」

相手は、それだけのことで体制を崩しかけ、たたらを踏んだ。動きが鈍重なので予想した通り、剣をつかい慣れていないようだ。再度同じ太刀筋でくるところも、芸がない。実践経験がないのは明らかであり、落ち着き払ったハヤテに対して焦りを感じているようでもある。

「全然ダメじゃん、そんなの当たるかよ!」

軽く笑みさえ浮かべながら言いはなち、再び突っ込んできた相手の剣をquillon-キヨン、日本刀のつばに相当する金属部分-を使って完全に絡め取ると、男は剣を取り落とした。ハヤテは素早く柄を返して、鳩尾を討った。

「ぅぐっ!」

短いうめき声をあげ、あっけなく気を失って、その場に崩れ落ちる。大事な荷物番としては、あまりにお粗末な腕前だと思った。

「弱すぎだろ」

もう少しは、張り合いがあると思ったのだが、これではせっかく高揚した気分のやり場がない。
それはともかく、見張りも倒したことだしまずは檻を開けなくてはと、男の懐などを探ったが、予想に反して鍵はでてこなかった。

「しょうがねぇな…」

ないのならば、こじ開けるまでだ。紐を切って布を取り払い、鍵に向けて剣を構えた

「ちょっと、後ろに下がってろよ」

言葉かわかるとは思わなかったが、一応少女に向けて忠告してみる。少女はハヤテを見て何をしようとしているのかはわかったようで、後ずさり間をあけた。

「はっ」

狙いたがわず、同じところに二回、三回と叩きつけると、かかっている南京錠は簡単に壊れて落ちた。

「よし」

閂をずしてやると、中から恐る恐る、といった風に、少女が出てきた。
しかし、出てきた少女を見て、ハヤテは驚きに目を見開いた。

(羽!?)

初めに見えた緑の羽は、信じがたいが少女の背中から直接生えているようだった。しかも、大きい。緑だけでなく、光の下で良く見るとオレンジがかった赤も模様のようにところどころ入っている。熱帯の植物を背にしょっているような、華やかな色をしていた。

そして足元はというと、こちらも普通と違っていた。初めはスカートか膨らんだズボンだと思っていたのだが、よく見ると羽毛のように見える―――

「ええっと…」

そこまで見て、少し微笑んでこちらを見る少女から、目をそらした。背中に目を奪われていたが、改めて見ると上半身に服を着ておらず、そこは人間の少女と同じだったのだ。
頭の中がごちゃごちゃとして、何から聞いたら良いのかわからず言葉を探すハヤテの耳に、屋敷の方からざわざわと人の声が聞こえてきた。

「何者だ!?」

ドアから飛び出してくるなり、叫び声と同時にどん、と鈍い音がした。見ると、出てきた男の一人が煙の上がる銃をこちらに向けている。そして銃を持っているのは、その一人だけではなかった。

「うわ、人数多すぎだろ!」

剣ならともかく、ひとりでこの人数のピストルを相手にするのは無理だと判断し、ひとまず退散することにする。
バッと少女に向き直り、手を引いて逃げようとしたのだが、伸ばした手が空をつかむ。

「あれ?今さっきまでここに…」

今の今まで彼女の姿があったところには何もなく、むなしく道の向こうが見えるだけだった。
わけがわからないと思いながら、とりあえずぐずぐずしてはいられないとかけ出すと、頭上を素早く何かが追い越して行った。見るとそれは紛れもなくさっきまで隣にいた少女で、こうしている間にもその背はどんどん小さくなっていき、あっという間に遠くに飛び去って行った。

「逃げたぞ、終え!」

「あっちだ、逃がすな!!」

口々に叫ぶ声が、ハヤテを指すものなのか少女に向けてなのかはわからないが、とりあえず無事助けることができたのは確かだ。あっけなくいなくなった少女に幾分気落ちしながらも、ハヤテは全職力でその場から逃げた。







こんな感じで、また好き放題(^▽^;)
予定と変えたら戦闘シーンが出てきて、西洋剣術わからなくて困った(汗)
適当なこと書いちゃいましたが、あってるかわからないので信じないでください!
ハヤテの剣のキヨン(鍔)は敵の剣をからめとるようなタイプでなかった気もしましたが~・・・・、いいや。。。