阿部サダヲ(主演)、宮藤官九郎(脚本)、水田伸夫(監督)『謝罪の王様』記者会見!! | C2[シーツー]BLOG

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川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
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 2007年公開の『舞妓Haaaan!!!』で世間をアッと言わせ、続く『なくもんか』(2009年)も大ヒットを記録。脚本・宮藤官九郎、主演・阿部サダヲ、監督・水田伸生の最強トリオが再び集結し、誰も観たことがない心震えて魂揺さぶって腹抱える爆笑謝罪エンターテインメント大作を誕生させた! 架空の職業「謝罪師」を生業とする東京謝罪センター所長の黒島譲が、ケンカの仲裁から政府を巻き込んだ国家存亡の危機まで、さまざまな難局を謝罪することで解決していき、ついには土下座を超える「究極の謝罪」で日本を救う姿をユーモラスに描いていく。

 今回、公開前の名古屋キャンペーンに最強トリオが来名!記者会見の会場は、ロケ地にも使用されている名古屋市役所。爆笑コメディの撮影エピソードが熱く語られた。





『謝罪の王様』INTERVIEW ▶ 阿部サダヲ(主演)×宮藤官九郎(脚本)×水田伸生(監督)


この組み合わせだからこそできた映画だと思います(宮藤)

▷▷謝罪師を主人公にするアイデアはどこから生まれたんですか?

宮藤官九郎(以下:宮藤)「ちょうどこの話を考えていた頃は、日本が不安定な時期だったこともあって、テレビをつけると3人ぐらいが並んで“どうもすいませんでした”と頭を下げている、いわゆる“謝罪会見”の様子が毎日報道されていて。“謝罪”ってすごく重要なキーワードだなと思ったんです。もしそれをマニュアル化して、謝り方を教えている方がいたらどうだろうと。もともとこの企画は、風刺喜劇をやりたいというところから始まったので、今の時代にできるとしたらこのカタチがいいんじゃないかと提案しました」

▷▷劇中に登場する様々な謝罪のケースも面白かったです!

宮藤「(マンタン王国の)皇太子が映画に写り込んだとか、芸能人の息子が不祥事を起こすといったエピソードは、かなり最初の段階で監督と話をしている間に出てきました。どっかで聞いたことがあるような話ですが、きっと僕と同じ違和感をみなさんも感じてるだろうなと。それにみんな社会人として誰かのために頭を下げるとか、謝りたくて謝れないこともあるんじゃないかと思って。謝るってことをもう1回見つめ直すようなテーマでエピソードを考えました。本当はもっとオムニバスにしたかったんですが、結果的に1本の映画にまとめることにしました」

▷▷阿部さんは脚本を読んでどう思いました?

阿部サダヲ(以下:阿部)「本当に面白くて、読んでいて声に出して笑う台本は久しぶりでした。だからこそこれ以上に面白くしなくちゃいけないというプレッシャーも感じましたけどね」

▷▷謝罪師を演じるのは大変そうですね。

阿部「謝罪師の人を探す……っていうか探せなかったので大変でした」

宮藤「ハハハ」

阿部「いないですから(笑)。でも衣装やカツラでキャラクターが作られていたので、スッと入っていけました」

▷▷映画は宮藤さんの予想を超えていましたか?

宮藤「水田さんと組むのは3回目なんですが、毎回“うわっ!すごいな”“ここに力を入れたのか!”って驚きが絶対にあるので、予め予想していくんですけどいつも超えてこられる。今回は特にマンタン王国のくだりとか、劇中劇のシーンとかすごいと思いました。この組み合わせだからこそできた映画だと思います」

▷▷監督は「Woman」のようなシリアスなドラマも撮られていますが、コメディを撮る時に大切にされていることは?

水田伸生監督(以下:監督)「面白い脚本と戦うという気持ちは、シリアスであろうとコメディであろうとまったく変わりはないです。若干の差があるとしたら、人に笑っていただくのは難易度の高い仕事ですし、“笑いには方程式がある”と、尊敬する先輩に教わってきたので、まずそれを見つけて全体像を把握して、現場のノリだけで撮らないこと。ストレートプレイはお客さんの感情を同期させて撮っていけば割とすんなり行きますが、笑いは方程式を見誤ると笑っていただくのではなく笑われてしまう。だから冷静に冷静にと思っています。でもどうやら現場では僕が一番笑っていると評判なので(笑)。そんなにカッコいいものじゃなく、ただ一生懸命やっているだけですね(笑)」

名古屋で“わきげボーボー”を何10回もやったのはいい思い出(阿部)

▷▷豪華な共演者の中でも、井上真央さんと竹野内豊さんとは一緒の撮影が多かったと思います。お2人の印象は?

阿部「井上さんは水田監督と『綱引いちゃった!』を撮られていますし、竹野内さんも1本ぐらいかな?コメディをやっていらっしゃいますけど、あまりイメージがありませんよね。でもお2人とも本当にコメディが好きそうだし、特に井上さんはお笑い好き。普段も人から笑いを引き出すのがウマいんです。竹野内さんとは“わきげボーボー自由の女神”(映画に登場する重要なダンス)をここ(名古屋市役所)でずっとやってたんですよ。一番撮り直したシーンじゃないですかね? 総理大臣に見せるシーンで2人が揃わなきゃいけないので。この名古屋で“わきげボーボー”を何10回も一緒にやったのはいい思い出ですね。それに竹野内さんとは同い年ということで、仲良くなろうと名古屋滞在中にお食事に行って結構、飲みました。ベタベタ触ってたら気持ち悪いって言われましたけど(笑)」

▷▷名古屋市役所と市政資料館で撮影されたそうですが、なぜこの場所を?

監督「美術監督の都筑(雄二)はNHKの『白州次郎』の時にここで撮影をしていて、良さがわかっていたので、この映画のシナリオを読んだ時に、撮影で使うべき場所、部屋、光線の角度みたいなことまで具体的なイメージが湧いたらしくて。だから東京で探しあぐねて名古屋に辿り着いたのではなくて、最初から名古屋を目指して来たんです。しかもおまけのように撮れて良かったなと思うのがトップシーン。(阿部サダヲ演じる)黒島がピンクのレオタードを着た3人の女の子と歌い踊り“東京謝罪センター”の広告をする。あれは犬山市の明治村の建物で撮っているんです。セットで撮りがちなシーンをあえてロケーションの自然光の中で撮れたこと、しかもトップシーンですからすごく嬉しかったですね。ただ氷点下のすごく寒い時期だったのに、貴重な建物だからストーブを使うことができなくて、レオタードを着ていた(井上)真央ちゃんは“なぜここで撮らなきゃいけないの?”って怒っていたと思います。目が怒ってるなっていうのはわかったので(笑)」

▷▷阿部さんも寒い中で撮影を?

阿部「はい。寒いところでセリフを言うと白い息が出てしまうので、出ないように氷を食べさせられるっていう話は聞いたことがあるんですが、僕はそれをこのシーンで初めて経験しました。“土下座の向こう側”っていうDVDのストップカット、後ろに“土下座する時は誰でも主人公”って書いてあるところで、氷を食べさせられて(笑)。名古屋で俳優の仲間入りをしたんです」

▷▷「白州次郎」『ステキな金縛り』『SP』『終の信託』と名古屋市役所は数々の映画やドラマで使われていますが、同じ場所であっても使いたいと思われる理由は?

監督「これだけの歴史を経た建物の質感、リアリティをセットで実現するためには大変な予算がかかります。我々に巨大なステージと莫大な制作予算があればそれなりの物は出来ると思いますが、限界がありますよね。やっぱり写ってしまいますから。何より本物であることは俳優にとって一番いい。声の響き方や床の鳴り方、窓の高さ、天井と、ひとつ1つの歴史が芝居の内面を充実させる。セット撮影でも常々そう思ってはいるんですけど、やっぱり本物の持つ力がいかに芝居に力を与えるかは大きいんじゃないですかね」

▷▷阿部さんはどう感じましたか?

阿部「まず入ったことのない場所ですし、立派なところに来たなって感じがしましたね。しかも竹野内さんがニューヨークにいるシーンもここで撮られたそうで。名古屋がニューヨークにもなるんだって驚きました。映像って本当に面白いですよね」

▷▷そのシーンはどこで撮影を?

監督「この市庁舎の中庭から建物向けに撮り、上がU字型になった鉄製の窓枠をセットで再現して、背景になるニューヨークの街並はコンピュータで合成しているんです。そこにロケで撮った竹野内さんの外からのショットの光線をセットでまた合わせて……」

阿部・宮藤「ほぉー(驚)」

監督「ほぉーって(笑)」

阿部「(そのシーンに登場する)黒人の方は?」

監督「名古屋在住の方を呼んで、サックスを吹いていただきました」

一同「へぇー(驚)」

阿部「今のいい情報ですよね? 僕も知らなかったなー」

宮藤「すごいですね」

▷▷先ほど名古屋市の河村たかし市長と対面されましたが、謝罪の仕方についてアドバイスをするとしたら?

宮藤「難しいですね(困)。あれほど人の話を聞かない人だとは思わなかったので、まず人の話を聞くことからじゃないですかね(笑)。阿部くんは随分、有名な人、有名な人って言われてましたよね?」

阿部「アハハ。あの調子だと市長はこの映画を観ないと思いますので(笑)、まず観ていただきたいです」

宮藤「観ないだろうね(笑)」

監督「河村市長はこの映画の結論というか、最終的なところはズバッと突いておられましたから、きっと大丈夫だと思いますよ」

TEXT=尾鍋栄里子

★『謝罪の王様』9/28(土)よりピカデリーほか
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