今年の就職戦線を予想する | 六本木の公認会計士いきぬき (息抜き編)

今年の就職戦線を予想する



会計士試験については8月19日までに実施され、これが終われば受験生は就職戦線に突入します。論文式試験受験者数は3,542人(前年4,632人)とされており、昨年に比べて受験者数は1,090人減少しているとのこと。

複数年にわたって受験をしていらっしゃった方々、そして受験予備校で講師をされている読者であれば、明白に公認会計士試験という社会的イベントが萎んでいるということが実感できていると思います。

いま、試験を終えて就職試験に臨む読者は、ワンフレーズで述べればシュリンク市場の限られたパイの取り合いである競争をすることになります。これは、伸びて拡大している中での競争とは性質が根本的に違いますので、過去の成功体験を語る人のアドバイスが時に有害になります。

例えば、伸びている中で競争をしてきた人たちは、努力は必ず報われるといった内容の事を言いますが、そうしたみなさんの努力は必ずしも報われません。努力の方向性が誤っていると、取り返しのつかないことになるでしょう。

■ 業界の環境ショートレビュー

業界への入り口である公認会計士試験と監査法人への就職活動が激化しているのは、監査法人を取り巻く事業環境の悪化に主たる原因があります。皆さんが監査論で勉強してきたように、監査意見というものには意見の出し手による差異や上下は制度的に認められていないことになっており、差別化が難しい「汎用製品(コモディティー)」なサービスです。

そのため、需給関係に左右される財となります。つまり、日本経済の衰退によってサービスの需要が減っている中、政策的に公認会計士の供給が増えたので、価格が下落し続けています。監査法人は、価格下落に併せてコスト削減する必要がある事業環境にあります。

そんな外部環境に対する内部環境として言えるのは、世代間格差の激しい既得権体質です。監査法人は年功序列の師弟制に近い仕組みで運用されており、あと10年で退職する団塊世代の報酬と退職金を気持ち程度に削減して、現在を担う若手会計士と、新規採用の抑制という形で将来を担う皆さんに負担を大きく寄せています。

これが、公認会計士試験という社会的イベントが萎んでいる原因です。

■ メルマガ購読のすすめ

一方で、このような飽和した事業環境の中で不毛な競争に巻き込まれない公認会計士がいます。また、順当に成長して仕事を任されて伸びていくスタッフがいます。もちろん、採用側から見て内定が出やすい面接受験者も当然います。

シュリンクしている市場での競争は、額に汗をかいて努力をする行為自体よりも、このような強者について分析して参考とすることが一番確実だと思います。彼らの多くは時には、過去にタブー視された「やってはいけない事」も平気で行い、突き抜けた存在になりますが、それもまた面白い。イノベーションとは破壊なのですから。

今は、努力より、もっと情報が大切な時代なのです。

「六本木公認会計士いきぬき」は、昨年からこうした趣旨のもと、メールマガジンで、筆者であるペンネーム「JoJoの奇妙な会計士 太郎」によるショートコラムを提供しています。これにより、最前線ではたらく公認会計士と週に一回飲むくらいの情報が継続的に得られます。継続的に得られることで情報源となります。

受験生やスタッフ層向けのコラムですが、転職支援会社、事業会社の企業内会計士、受験予備校の講師、海外ではたらく会計士、出版関係者など、非常にニッチであるにもかかわらず、幅広い業界関係者に読まれて感想をいただいています。

いろんな公式な情報発信よりも、はるかにアングラで週刊誌的ですが、アングラだからこそ書けることが多々あり、その内容に魅力を感じて購読を続けていらっしゃる方が多数にのぼっているのだと思います。ですから、業界に足をつける人は情報収集の一つのルートとして読み始めることをおすすめします。

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