「あーあ」とため息をついていたら「あ、そのため息いいですね。もう一回やってもらえます?」と言うので「え、そう?」と言って「あ↓ーあ↑」とため息をつく。「いやあ、まるで泉のほとりに流れる音階だ」と言うので、「え、ほんと」と言ってまた「あ↓ーあ↑」とため息をつく。愚かな昼休みが終わる
5/19 3:54

「クレイジージャーニーってみんなしてますよね」と言うので「へーそうなんだ」と私は言う。バスのお金を握りしめる。乗れるんかなと思う。「みんなクレイジージャーナリストなんだと思う」と言うので「そうねうんうん」と言いながらバスのお金を数える。乗れないかもなと思う。髪がなびく。あなたの。
5/19 21:32

「すごいひとってこわいです」と言うので、「え、あ、うん、すごいひとはこわいし、こわいひとはすごいよ。バルザックだってそう言ってたよ」と言ってやってくるバスを見る。「バルザックが?」と言うので「バルザック全集の後ろの方に書いてあったよ」と言って礼をしてバスに乗る。いちばんまえにのる
5/19 21:39

「あのすみません、その、鉄棒をこどもみたいに両手で握りしめるのは」と言うので、「え、でも、バス速いし、バス速いでしょ、さっきからこの右肩、こんなに傾いてる」と言ってどんどん傾いていく右肩をこれみよがしにみせる。「え、まあ、そうですけど」と言うので、私はしがみつくように鉄棒にすがる
5/19 21:42

「あ、そういえば貸してもらった本すごく面白かったですよ」と鉄棒にしがみつきながら言うと、「いや、おもしろいっていうのはわかってることだからわざわざ言う必要ないですよ」と言う。「いや違う。わざわざわかってることを言うからこそ生きるって面白いんじゃないか」と私もわけわかんないこと言う
5/19 21:48

「ねえすごい乗客の数でしょ。降りられるのかね。降りられないんじゃないかって今すごく不安でね、つまさきのふるえがとまらない」と言うと「まあ降りられないと思いますよ。ひりきだし」と言う。(つまさきのふるえって言っても笑わないんだな)と思いながら激しく吐き出されたバスの群れを見ている
5/19 22:00

林桂【俳句】@ いもうとの平凡赦す謝肉祭
5/19 22:02

鶴見俊輔(定義集)@ 人生には、神話的な時間が戻ってくるときがある。
5/19 22:07