スーパーサンシの宅配事業への挑戦(日経MJ) | ラテン系企画マンの知恵袋

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イオンのお膝元でもある三重県北・中部を地盤とする中堅スーパー、スーパーサシンの事例。宅配事業で買い物難民対応を行いつつ、事業としても採算を確保していく為の試みが紹介されていた。注目は、宅配時の付帯サービス。商品を届けるのと引き換えに資源ごみを回収したり、60歳以上の希望者には取り決めた時間に電話をかけ、注文の受け付けと同時に安否を確認する。利用料は月額500円。会員登録し電話やネットで午前11時までに注文すれば、原則同日の午後5時までに配達される。約14千世帯が利用し、月に約80世帯づつ増えているそうだ。

1983年に宅配事業に参入し、2008年に黒字化。「実験と修正を繰り返し、自前の物流を確保した」とのこと。黒字化のポイントは、配送網を小商圏、高密度、高回転を追及したこと。軽トラックで一度に運べるのは20世帯分程度。店舗からの配達地域までの目安を15~20分程度と商圏を狭く設定し、配達地域で集中的に顧客を開拓、効率を高める等の工夫を行った。

もうひとつのこだわりは、ドライバーはアウトソースせず自前の従業員をあてていること(⇒ヤマト運輸の小倉昌男さんを彷彿させます)。ドライバーは営業の最前線と位置づけ、ドライバーが日々の顧客とのコミュニケーションで吸い上げた情報をもとに様々な付帯サービスのアイデアを作り上げた。

慈善事業に見える付帯サービスと、物流を中心とした生産性の向上を両輪に社会貢献に挑む本事例は、CSRを通じた地域貢献が強く求められるこれからの時代における、ひとつの試金石として注目していきたいと思います。