【書評】ただトモ夫婦のリアル  牛窪恵 著 | ラテン系企画マンの知恵袋

ラテン系企画マンの知恵袋

ブラジル仕込みの企画マンから書評、講演、実体験等、
最新のビジネスシーンから情報更新していきます!
(なお、本ブログは個人の責任で書いており、所属企業とは無関係です)

「男が知らない『おひとりさま』マーケット」や

「草食系男子『お嬢マン』が日本を変える」等の著者である

マーケティングライター牛窪さんの最新刊です

ただトモ夫婦のリアル (日経プレミアシリーズ)/牛窪 恵

相変わらず、キャッチーなタイトルがついています


そして、


「リビングは、カレ領域と私領域に分けている。自分の世界を

荒らされたくなくて」


「1年以上、夫とは一緒に住んでいません。ていうか、一緒に住んだ

ことがない。夫が荷物を捨ててくれないから、自分の荷物が

運び込めないんですよね」


「最近、妻との会話はもっぱらツイッター。友達やツイ友にも

一度に連絡できて便利なんすよ」


「セックスは排卵日限定。ムダがないし、飲み会にもいけるから」


等々、いきなり衝撃的な生声がたたみかけてくる


なんて言うのだろう、こういう定性的な情報を凝縮して全貌を伝える

手法は女性ライターの強みであり、中でも、牛窪さんは、

本当に秀逸だと思う


男性が書くと、どうしても説明的になってしまう

あと、定量化に異常にこだわるとか


こういう手法は、定量的でない、論理的でない、デフォルメされている

等の批判に晒されているのを、たまに見かけるが、僕に言わせれば、

それは、読者が読み分ければ良いこと


牛窪さんの本は、時代や世代の感性を凝縮した生声の宝庫であり、

現時点では少数派の意見かも知れないが、その声が、今後の起こりうる

現象の先行指標である可能性は極めて高いのだ


この宝を活かすも殺すも、マーケターの腕次第


本書は、特に、第3章の「わさびをケチって、4万円のベーカリー

を買う理由」がお勧めです


『今の20~30代の高感度主婦は、「楽しくなければ面倒なだけ」

と考えやすい』


ホームベーカリーやクッキングトイ、ユニデコ等のヒットは、

この文脈によるところが大きい


それと、「良い主婦でありたい」という気持ちと、「楽したい」という

気持ちの間での葛藤は、普遍的なインサイトだと思う


よく、牛窪さんが例で引用される自動食器洗浄機の話


最初、なかなか売れなかった食洗機が、O-157の流行と共に

爆発的に売れた


自分が楽したいという理由で買うのは気がひけるが、

「家族を細菌から守る為に食器を殺菌するんだ」という大義名分が

あれば、堂々と買えるというもの


これは、食品や家電等、主婦向けの商品企画をする際に、

様々なヒントに繋がる示唆に富んだ考え方


エコ系商品なんかも、まさにそう


「実益」と「大義名分」のバランス、さじ加減


という感じで、ヒント満載の1冊なので、世のマーケター、

特に主婦向け商材を扱う男性マーケター必読ですよ!!


<関連エントリー>

■【書評】「エコ恋愛」婚の時代 牛窪恵著

http://ameblo.jp/motohiro0215/entry-10317754014.html

■「モテるおカネのつかい方」

http://ameblo.jp/motohiro0215/entry-10205768255.html

■20~30代 シングル女性のラブホでのワリカン率 〇〇%

http://ameblo.jp/motohiro0215/entry-10165414900.html