【講演録】 ライフネット生命 岩瀬大輔氏 | ラテン系企画マンの知恵袋

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(なお、本ブログは個人の責任で書いており、所属企業とは無関係です)

久方ぶりに、商品開発の会に参加してきました

今回は、ライフネット生命の岩瀬氏


3回ほど、ご無沙汰しての参加だったので、

いつの間にやら、会のメンバーが様変わりし、

知らない顔ばかりで、唖然...


代表幹事の嶋さんいわく、

本日出席のメンバーは初参加も多く、

また、金融・コンサル系中心とのこと


メーカーの商品開発担当者が主体の商品開発の会

だかけに、今回は、出席者も少なめ...


確かに、この美し過ぎるプロフィールも一因かもw


●学歴
1994年、開成高等学校卒業
1998年、東京大学法学部卒業(在学中に司法試験合格)
2006年、ハーバード・ビジネス・スクール卒業

     (日本人4人目のBaker Scholar受賞) 
●職歴
1998年、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)勤務
2000年、インターネット・キャピタル・グループ(ICG)日本法人立ち上げに参画
2000年、リップルウッド(現RHJインターナショナル)勤務
2006年、ネットライフ企画設立に参画、ネットライフ企画取締役副社長就任
2008年、ライフネット生命保険取締役副社長就任
2009年、ライフネット生命保険 代表取締役副社長に就任


でも、僕は、こういう時こそ、参加するようにしている

知らない業界のことは、普段、

自分から情報を取りに行くことがないので、

その分、気づきが多いのだ


そもそも、嶋さんのフィルターがかかっているので、

ハズレは、あり得ないし


で、今回も、大当たり


華麗なプロフィールから想像する人物像とは、

まったく異なる、情熱にあふれた、魅力的な人でした


話のメインテーマも「人」「チーム」「共感」

理論とか、知識とかではなく


そもそも、岩瀬氏が畑違いの生保業界に入るきっかけとなった、

フィクサー谷家衛さんの口説き文句が


「君なら何をやっても成功する。

 ビジネスプランは何でもいい。

 私は、人に賭けるんだ」


そして、とどめの殺し文句が


「ユニークな個性とエッジを活かした

 生き方をしてみないか?」


恥ずかしながら、ライフネット生命のことは、

この講演で初めて知った


生保業界を知り尽くした出口氏と

スーパープレイヤーの岩瀬氏の最強タッグによる

74年ぶりの独立系生保


生保業界は、

「市場規模が大きく、非効率でユーザーの不満が大きい」

という新規参入与件を完璧に満たした業界


掛け金の半分以上が払戻金以外の経費(主に人件費)

として消えてしまっているという非効率性に目をつけ、

Webを使った安価で効率的なビジネスモデルを引っさげて

業界に革新を迫るというもの


「生保って、何かおかしいよね」という

潜在的な不信感に訴え、融資担当者の共感を得ることで、

着々と出資金を獲得


メディア受けする設立ストーリーと、出口氏の人脈で、

パブ露出しまくりで、華々しいスタートを切る


その後、競合社に価格競争を挑まれた際、

価格競争には追随せず、ブランディングに大きく舵を切った


信用が重要な金融業界だからこそ、価格だけではなく、

ブランディングが大切なのだ


その際、生保業界のみを競合と捉えるのではなく、

コンシューマービジネスを展開している企業すべてが

競合であるとの考え方から、徹底的にお客さんの共感を得る

戦略を推進した


日本で始めて、モバイルでの申し込みを可能にしたり、

吉本とタイアップをしたり、お客さんの琴線に触れる

メッセージを考え抜いたり


その極めつけが、こちら、「ハトが選んだ生命保険」

http://portal.nifty.com/2009/07/24/a/


大御所の社長が、ここまで、「ばか」な企画に付き合ってくれる

そんな会社だったら応援したい、という共感の醸成

(実際、このバナー広告経由で50件の契約を獲得したとのこと)


「共感の醸成」と並ぶ成功の秘訣が「チームビルディング」


米国でベンチャーを間近で見てきた岩瀬氏から見た、

日本のベンチャーの最大の弱点は、「大人がいない」こと


従って、いくら筋がよくても、キワモノ扱いで、

いつまでたっても、メインストリームになれない


だからこそ、「大人の取り込み」にこだわった

そして、若手、ベテラン、業界経験者、未経験者等々、

チームの多様性には、とことんこだわった


「非効率な業界に革新を起こす」という社会的意義、

共感をベースとしたマーケティング、

多様性に富み、強い結束で結ばれたチーム


要約すると、ライフネット生命成功の秘訣は、

こういうことです


最後に、心に響いたコトバをいくつか、

書き留めておきます


『「Entrepreneurship(企業家精神)」とは、

 現在有している経営資源に囚われることなく、

 事業機会を執拗に追い求めること』


『「何ができるか」ではなく、

 「何が世の中から求められているか」から発想する

 ヒト、モノ、カネは後からついてくる』


『本を「書く資格』があるから書くのではない。

 本を書いた人が権威になる』


『自分は、直感を信じて判断する

 直感とはバイアスのない本当の考え

 多くの場合、理屈で正解を歪めてしまう』


※ラテン系企画マン補記

  「直感とはすっかり習慣化された思考である」

  ハーバート・A・サイモン



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