【書評】ヒットを生み出す最強のチーム術 佐藤章著 | ラテン系企画マンの知恵袋

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本年、75冊目


ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦 (平凡社新書)/佐藤 章


本書を読んで、最初に思ったこと

「著者と一緒に仕事がしたい!!」


「生茶」「FIRE(缶コーヒー)」「キリン FREE」

「午後の紅茶(リニューアル)」「一番絞り(リニューアル)」

等々のヒット商品を手掛けたカリスマ性に惚れたのではない


ヒットを次々と生み出すことができる、「ベースとなる考え方」

「仕組み作り=チーム作り」

この思想に惚れたのである


まさに、自分自身が常々考えてきたこと、

こうあるべきだと思ったこと

こうありたいと思ったこと

それが、すべて体現されている

輝かしい結果と共に


だから、タイトルも「ヒット商品の生み出し方」ではなく、

「ヒットを生み出す最強のチーム術」なのである


『商品開発イコール「好意をめぐるバトル」

「モノを売る」のではなく、人の心に訴え、

支持されるような「価値を売る」』


その為に重要なことは、開発者が「確信犯になれるか」

であると説く


『新商品の成否は仮説の立て方で決まる

つまりは、開発者が「確信犯」になれるか?

コンセプトを考える最初の段階でおおよそのゴール(仮説)

を描き、その着地点に向けてチームを引っ張れるかどうか

民主主義や多数決では、絶対に斬新なアイディアは生まれない』


では、「確信犯」になるべく、仮説力を磨くには?


『理屈ではいい商品ができない

開発者として演繹的に考える能力を磨いて欲しい

間違いを恐れず、右脳で結論を出す勇気を持って欲しい』


開発者として、仮説を設定能力と並んで重要な資質は?


『前例のない斬新なことをやろうとすればするほど、

社内での風当たりも強くなる

どんな反対勢力にも負けず信念を貫くことができるか

チームをゴールまで引っ張り、プロジェクトを成功させるには

「確信犯」が必要なのだ』


仮説設定力があり、信念を貫き通す「確信犯」のリーダーが

率いる理想的なチームとは?


『チームで仕事をする意味は、いろいろな人間がいて、

色々な意見を戦わせることにあります

いわば異種格闘技です』


『タイプの違う人間の長所と長所が掛け算されてこそ

幸せな化学反応が生まれやすくなります

ごった煮のようなチームだからこそ、ひとりの天才を

打ち負かすようなアイディアが生まれるのです』


『もっとも良くないのは、同じタイプの人間が集まっている

金太郎飴組織。組織ならではのパワーを生み出すには、

異種格闘技ができるようなさまざまな人間を組み入れて

適材適所を考えることが大事』


こうしたチーム編成をするのが、マネージャーの

究極の仕事であると説く


『結局、上司が部下にできることは「場」を与えることだけ

なのではないでしょうか。つまり、自分に合う人、自分を

成長させてくれる人との出会いの場を作るということです』


ヒット商品を生み出す秘訣は?


『「目利きと火知り」がともに真剣に考え抜き、緊張感を持って

向き合い、意見をぶつけ合うこと』


※「目利き」とは、物や人の良し悪しや特徴を見極め、チームを

あるべき方向に導く人。プロデューサー、ディレクター、開発者

「火知り」とは、火を起こせる人、職人、クリエイター


ヒットを生み続ける組織とは?


『組織の壁の厚さを日々感じている組織人は多いと思いますが、

斬新なアイディアは組織の壁を打ち破るようなパワーを持っています

だから、現状に安住せずに、あえてリスクをとる人間を目指して欲しい


リスクをとれる個人が増えることこそが、企業存続のカギでもある

のです。さまざまな企業の盛衰を見ていて感じることですが、

従来の縦割り組織のなかで「個」が埋没しているような企業・業界は

いずれ衰退していくのではないでしょうか』


本書の中には、冒頭記した「新商品」や主力品リニューアルの、

開発秘話・エピソードも豊富に盛り込まれていますが、

詳細はここには書きません


ぜひ、読んでみてください


本当に、ここまで書いてしまって大丈夫か?というくらい

余すことなくディスクローズされています


「別に、これを開陳したところで、自分達の優位性はマネできない」

という自信の現れだと思います


長くなりましたので、この辺りで終わりにします