山田洋次『馬鹿が戦車でやって来る』:閑な村落にチハが疾走 | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし

山田洋次『馬鹿が戦車でやって来る』:閑な村落にチハが疾走

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馬鹿が戦車でやってくる

日永村なる閉鎖的共同体で旧地主をはじめ数多の村人に馬鹿にされつづけた挙げ句、隠し持っていた短砲塔のチハを乗り回し破壊の限りを尽くしてブチキレる「馬鹿」の姿を描く山田洋次の伝説的作品。

閑な村落にチハが疾走するという絵だけでかなり異様なんだが、腹黒い地主たち「紳士」を元少年戦車兵の小作が懲戒するという政治色がまたすごい。しかし、そういった色を特に感じさせず、意外な完成度を誇るところが山田の力量だろう。

スラップスティックや哀しみを蔵している点では確かに「寅さん」へと接続してゆくシリーズといえそうだが、どう見ても「国民」とは無縁の毒を埋伏した一編である。

★★★★☆
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