もともと、青春(あおはる)さんの鉄道擬人化マンガ『青春鉄道 』は、コミックスの1巻から愛読していましたが、ふと思い立って、GWに「鉄ミュ」こと、「ミュージカル青春鉄道」を観てから、改めて沼に転がり落ちました。
(おそ松さん大好きだけど、その舞台化である「松ステ」には行ったことないくらい、これまで2.5次元には興味もっていなかったのです。)
で、今はその「鉄ミュ」の役者さんをもチェックする日々です。

今回、鉄ミュで東海道本線役の鯨井康介さんが出演するということで、『グーテンバーグ ザミュージカル』 を観に行ってきました。
お芝居を観るのはかなり久しぶりです。


「鉄ミュ」にはたくさんの役者さんが出演されていて、皆さん魅力的です。
中でも鯨井さんは、演技の上手さはもちろんのこと、ニコニコ生放送で「クジライジャパン」という番組を持っていて、その名前の由来が新日本プロレスの田口隆祐選手の「タグチジャパン」をリスペクトしているから、と知り、同じプロレスファンとして応援するしかない、と思いました。
たぐっちゃんを好きな人なんて、応援するしかないでしょ!そうでしょ!

この『グーテンバーグ・ザ・ミュージカル』は、演者は基本2人だけ、セットも小道具も最小限。
親友同士の脚本家と作曲家が、ブロードウェイを目指して、グーテンバーグ(活版印刷のグーテンベルグのこと)を主人公にしたミュージカルを作り、小劇場を借りてそのミュージカルをプレゼンする、という設定のミュージカルなのです。
入れ子型、メタ要素あり。
そういう作品大好き!!

今回私は、鯨井康介さんと上口耕平さんのペアを見に行きましたが、
福井晶一さんと原田優一さんのお兄さんペアのダブルキャストでした。
2年目となるお兄さんペアの方を観劇することはかなわなかったのですが、
演じ手が違うと全く違う舞台になることは容易に想像できます。
両方楽しまれた方も多いのではないでしょうか。

プレゼンという設定なので、脚本家と作曲家の2人は、全ての登場人物を演じ分けながら、自分たちの作ったミュージカルを説明していきます。
帽子にその役の名前が書いてあって、かぶったり手に持ったりしながら演じ分けていきます。
役者さんの演技力がなければ成立しないし、舞台だからこそ生かされる設定です。
小説であれ何であれ、そのジャンルの特徴を生かした作品が好きなので、本当に楽しく鑑賞できました。


帽子はこんな感じになっています。
帽子に貼られているのは活字。
そう、グーテンバーグがいなければ存在していなかったモノ。


観る前に「どこまでが脚本でどこからがアドリブだかわからない」というツイートを目にしていましたが、本当にそう。
今回はアフタートークのある回を観たので、そのあたりの話を聞くことができました。
芸人さんのネタ合わせと同じで、こういう会話をしよう、と打ち合わせはしているとのこと。
だから完全なアドリブというのはほとんどないようです。

ただ、私が観た回では、当日の朝に演出家の板垣恭一さんから鯨井さんのところに、「あの騒動について入れてよ。まあ、無理しなくてもいいけど」とLINEが来たのだとか。
「無理しなくてもいいけど」って言われると役者魂が燃えて、しっかりそのネタ、入ってました。
これは板垣さんの作戦勝ち、でしょうか。



カーテンコールの時に写真撮影OKなので、写真撮ってみました。
鯨井さんのチェックのパンツが可愛い。
相方の上口さんはシュッとされてるので、そのコントラストもなんかおかしみがありますね。

2人がプレゼンする劇中劇の『グーテンバーグ』において、
主人公のグーテンベルグは(史実とは異なり)悲劇的な結末を迎えることになってしまいます。
(これは公式サイトにはっきり書かれているので、ネタバレではありません)

なぜ、彼らは主人公にそのような苛酷な運命を与えたのか。
そこには、グーテンバーグがやろうとしたことが、
未だに「道半ば」であるという思いがこめられているからであるように思います。

「格差社会」と言われながらも、高い識字率のある日本ではなかなか意識しにくいものですが、
文字が読み書きできるということは、一つの力です。
劇中でグーテンバーグがやろうとしたのは、権力者ではなく普通の人たちにもその力をもってもらうこと。

これは喜劇であって、2人の役者さんの演技を楽しめばよいわけなんですが、
「情報」というものに関して、現代を振り返るような、そんなきっかけをもたらす舞台だったと思います。


こちらは、記念に買った写真付きのパンフレットと、ビスケット。