「1と4波が重複しない」とは? | エリオット波動とフィボナッチ比率で相場を綱渡り

エリオット波動とフィボナッチ比率で相場を綱渡り

エリオット波動とフィボナッチ比率を利用して、相場の転換点をピンポイントで狙っていきます。エリオット波動については、基本から応用まで書いていく予定です。

先日、非常に考えさせられる質問をしただきました。こういう質問を頂くとブログやmixiをやっていて良かったなーと思います。
それでは、質問の紹介からです。

「FXは現物じゃなくて一時的に値が飛ぶこともあるから「1と4波が重複しない」というルールが該当しない(たまには該当するかもしれませんが)と思うのですが、「1と4が重複しない」をルール化しているのはなぜですか?」

そうですね。エリオット波動の根幹ともいうべきルールに切り込んでいくというのは、今までに考えたこともありませんでした。これについて呟いたところ非常に多くの方からもご意見をいただきました。転載の許可を取っていないので、載せられませんが非常にいろんな考え方があり、興味深いものばかりでした。

実はつい先週にkeroさんのmixiのコミュで、「4波が1波と重複しないということを根拠にトレードをしてはいけない」という話をしたばかりでした。以下引用します。

『衝撃波においては、1波と4波が重複しない。』というルールの使い方としてのアドバイスですが
「これは衝撃波だから、4波が押しても1波のトップまで届かないだろう。」
の使い方だと、上手くいかない事が多いと思います。
使い方としては、逆にして
「4波の押しが、1波のトップまで届かなかったから、これは全体として、衝撃波であろう。」の方が上手くいくことが多いですね^_^

「第4波が第1波に重ならない」事を根拠にトレードしようとするには、第3波までが間違いなく第3波であると確信できればいいのですが

仮の第3波までの上昇から下げてくる状況を順に考えていくとすると
①第1波終点まで押さずに、第3波の高値を越えていく。
 →4波だった。
②第1波終点と重なったが、再度上昇し第3波の高値を越えていく。
 →ダイアゴナルだった。
③第1波の終点よりもかなり押したが、再度上昇し第3波の高値を越えていく。
 →第3波と思ったものが、既に5波の完成をしていた。
④第1波の始点をも下抜いてしまった。
 →第3波と思ったものが、ジグザグだった。
わかりやすい4つを上げましたが、実際にはもっといろいろな状況があります。

というように、この下落が止まるまでは、そもそもこれが第3波なのかは分からないという状況判断が無難だと思います。
危険なのは、「第3波だから1波の高値を下抜けない」ということを根拠としたロングですね。

ただし、仮の第3波とした波形が明確な波形をしており
①第1波の値幅に対して第3波がエクステンションしている。
②チャンネルをブレイクしている。
等のサインが出ていれば、第3波である可能性が高いとして、

①第4波の押しが、第3波のFR38.2になっている。
②第4波の波形がジグザグを形成し、そのN値が①と重なる位置にある。
の条件を見て入っていくと、優位性が高いトレードになるのではないかと思います。

今回のドル円でいうと、個人的には
123.60までの上昇は、推進波に見えるが
・押しが浅すぎて明確な波形がない。
・チャンネルブレイクをしていない。
ことから、第3波なのか?既に5波が終わっているのか?第1波なのか?
判断しにくいと見ています。
また、そこからの下落について
N値がFR61.8にも到達していない。
これらの情報から、123.60までは上昇推進波にあったと思われるが、今がどういう状況かわかりにくいと見ています。


以上がその際のコメントです。
実際の運用については、上記で説明したとおり、第4波の終点の値幅限界を想定したトレードは、それが第3波でない可能性を考えるとあまり優位性がないのではないかと考えています。

では、なぜこれをルールとしているのか?という根本的な問題について
私は下記のように考察します。

相場の値動きについては、誰にも何にもコントロールされるものでもなく、ましてやエリオット波動のルールに縛られるはずもありません。

エリオット波動に限らず、様々な経済のモデルも、すべての事実の中から何らかの法則性や共通点を探して、その事実をわかりやすく理解するためにつくられたものだと考えます。

なので、事実は必ずモデルに優先します。様々な経済モデルでもそのモデルでは説明しきれない事実が見つかるのは、よくある話です。それを穴埋め的に補完するので、よりわかりにくくなるのが難点ですが。

にもかかわらずエリオット波動理論には、「ガイドライン」だけでなく「ルール」という100%のものを設定しています。

今回の質問でいろんな文献にこの説明がないかを探しましたが、直接的な答えはありませんでした。

ただエリオットの書いた一節に下記の文章を見つけました。

Note that wave 4 overlapped wave 1,which it should not do.
Overlapping means that the end of wave 4 was lower than the top of the wave 1.
Overlapping wihtin "complex" waves,merits careful study.

第4波は、第1波をオーバーラップすべきではない。
オーバーラップとは、第4波の終点が第1波の頂点よりも下になるという意味である。
複合波を含むオーバーラップは、注意深く勉強するに値する。

この文章には、オーバーラップした図を、第4波として誤ってカウントした図、とランニングフラットとしてカウントした正解の図の二つが添えられていました。

これらのことから考えると

「第4波の値幅は、第1波の値幅と重ならない」

というルールは、正確に表現するならば

「第4波が、第1波の値幅と重なるようなカウントはしない。」ということなのだと思います。

じゃあ、果たしてそれをルールとして本当に100%可能なのか?という問題がありそうですが、ランニングフラット、拡大型フラット、第5波のフェイラー、ダブルジグザグ等の複合修正波があれば、なんとでもカウントはできてしまいます。

エリオット波動としては、第1波と第4波が重ならないものを第3波と想定して、それらの5波をインパルス波として、トレンドのメジャーな方向性としてみていく。
そのトレンドが発生しているのかどうかを観測する目安として、この「第4波の値幅は、第1波の値幅と重ならない」というルールがあるのではないかと思います。