新国立競技場問題についてこの2か月ほどの出来事をおさらいしていますが、
7月7日にJIA(日本建築家協会)とJSC(日本スポーツ振興センター)との、非公開による説明会、というまったく説明のつかない会が催されています。

日本建築家協会というのは
1947年に日本建築設計監理協会として発足、そして1955年の世界建築家連合(UIA)への加盟に伴い、日本建築家協会となったものです。
会長は芦原太郎先生  芦原太郎建築事務所

この説明会・意見交換会の対象はJIAだけではありません。
日本の建築士に関係する4団体にも向けて開催されたものです。


日本建築士会連合会というのは
都道府県ごとに設立されている建築士会をもって組織し建築士の品位の保持及びその業務の進歩改善を図り、広く社会公共の福祉増進に寄与することを目的とした財団法人です。
会長は三井所清典先生  
アルセッド建築研究所

東京建築士会は上記の東京を拠点とする建築士会です。
会長は中村勉先生  中村勉総合計画事務所

日本建築士事務所協会連合会 というのは
都道府県ごとに設立された事務所協会を会員として組織し、建築士事務所の業務の適正な運営と健全な発展及び建築士事務所の開設者に設計等を委託する建築主の利益の保護を図り、公共の福祉の増進に寄与することを目的とした
法人です。

会長は大内達史先生  協立建築設計事務所

東京都建築士事務所協会は上記の東京を拠点とする建築士事務所協会です。
会長は大内達史先生会長代行 西倉努先生 ユニバァサル設計

この7月7日
の会が非公開であるということを、槇先生は問題視されておりました。
そのことについてJSCは面白い報告書を作成していますのでご覧になってみてください。


2014年07月14日
「新国立競技場計画に関する説明会」の開催について[PDF:110KB]


「新国立競技場計画に関する説明会」の開催について
日本スポーツ振興センターは平成26年7月7日(月)、建築家会館1階大ホールにおいて新国立競技場に関し、建築専門家の方々への説明会を実施しました。
こ の説明会は、建築専門家の方々と直接話し合いを持ちたいと考え、日本建築家協会に依頼し会員に呼びかけていただき実施したもので、各建築関係団体の代表の 方々である日本建築家協会芦原太郎会長、上浪寛副会長、日本建築士連合会三井所清典会長、東京建築士会中村勉会長、日本建築士事務所協会連合会大内達史会 長、三栖邦博前会長、東京都建築士事務所協会西倉努会長代行などが出席し、景観、8万人の規模、仮設の可能性、コスト、維持管理費など、現在、社会で幅広 く問題提起されている事柄を含め、当方の考え方を説明させて頂きました。
当センターからは河野一郎理事長、国立競技場将来構想ワーキンググループ安藤忠雄施設建築グループ座長、小倉純二施設利活用(スポーツ)グループ座長、都倉俊一施設利活用(文化)グループ座長、内藤廣施設建築グループ委員、安岡正人委員、和田章アドバイザー、
ジム・ヘブリンザハ・ハディド・アーキテクツ社ディレクター、日建設計・梓設計・日本設計・アラップ設計共同体スタッフなどが出席しました。


ここからが面白いんです。


「なお、建築専門家の槇文彦氏、大野秀敏氏、伊東豊雄氏、松隈洋氏にも呼びかけていただきましたが、出席していただくことが適いませんでした。」


ふ~ん。
「非公開でやるなんて言語道断まかりならん!」
って皆言ってるのに、そのことは置いておいて、

「ぼ、ぼ、僕たちは、ちゃ、ちゃんと、説明しようとしてるのに、、、こ、この人たちは、来なかったんだも~ん」

というニュアンス、印象操作、雰囲気づくり
必死やね。

ただ、槇さんも大野さんも伊東さんも松隈さんも4会の役員じゃないんだから、呼びつける理由がわからないし、
なおかつ、「来なかった!キリ!」ってえのも自問自答というか、
またストローマンやってんじゃねえの?という印象です。

このエクスキューズは余計でしたね。

さて、この事態、建築関連の人以外には、建築関連でも設計士以外の人にはよくわからないかもしれません。

実はですね前代未聞の大変な事態なのです。

建築コンペティションにまつわるゴタゴタはこれまでもあったんですね。

選ばれた案と選んだ人に疑問がある、、とかなんとか

たとえば、広島の世界平和記念聖堂の村野藤吾先生、
国立国会図書館コンペの吉阪隆正先生とか
最高裁判所コンペの岡田新一先生とか、
靖国にある昭和館の菊竹清訓先生、
最近では
横浜大桟橋のコンペの磯崎新先生と篠原一男先生のバトル、
直近では
大分県立美術館コンペの遠藤秀平先生の難波和彦先生への告発

しかしながらこれらは、提案を選んだ経緯や人間関係とデザインや建築思想がメインの議論であって、建築計画そのものについて言及されていたわけではない。

しかも建築団体から意見表明がなされたという話は聞かない。


建築士に関わるメインの4大体がそろって異を唱えているというのは、戦前戦後を通じてもなかったことなんです。


医学でいえば、
ある新薬品の認可とか治療方法をめぐって医師会も保険医団体連動会もそろって反対しているようなもの


危険だと、治療効果はないと、製薬会社も製造不可能と

薬害エイズ事件、ミドリ十字の事件ですがそのとき、
安部英に遠慮したのか、
医師体制の既存秩序を壊されたくなかったのか、
医師とか医師会はあまり発言しなかったですよね。


あのときは患者さんたちが告発して


これが今回は建築士会も新国立競技場計画はヤベえって言ってるわけですよ。ありゃやめろと、無理だと、無駄だと、

非公開と言われたこの説明会についてJIAはそのやりとりの概要を発表しています。
新国立競技場計画に関する説明会(概要)社団法人 日本建築家協会

この内容についてみていきましょう。

まずJSC理事である河野一郎氏が経緯説明します。
発言を分かりやすくするため文頭に番号を振ります。
K-1.
国立競技場は2019年ラグビーワールドカップ2020年オリンピック・パラリンピック大会招致に向け文部科学省主導で進めてきた。
K-2.
国立競技場将来構想有識者会議を設置し現国立競技場が国際基準に合致しなくなっていることを踏まえ、改築を目指すこととした。
K-3.
建設のための具体案を作成するため、建築、スポーツ、文化の各ワーキンググループを設置し、安藤様、小倉様、都倉様が取りまとめた。
K-4.
その結果、「8万人規模のスタジアム」「臨場感ある観客席」「全天候型のスタジアム」の条件が示された。
K-5.
与条件を踏まえ、国際デザインコンクールを実施し、2012年11月にザハ・ハディド氏のデザイン案を選定した。
K-6.
平成25年フレームワーク設計に着手し、昨年11月に「基本設計条件案」を示した。今年5月には、基本設計の成果として「基本設計案」を取りまとめ、公表した。

まあ、官僚らしい無難な表現ですね。
K-3.、K-4.、K-5.で事の問題の原因は自分ではないという釘を刺してあるところも
そして、有識者たちです。
【有識者】とは、ある事柄に知識と見識を有しておりその事柄に幅広い意見を述べることのできる人物。
ということになっていますが、、、はてさて実際どうなのか検証していきますか

続いてスポーツからの視点で具体案を取りまとめたという小倉氏

O-1.
2020年の東京オリンピックのメインスタジアムとして国際大会に使えるような競技場を条件として出した。

O-2.
FIFAワールドカップは2018年以降、開幕戦・決勝戦を行うスタジアムは8万人以上とFIFAの規約で決まっており、要件を満たさないと招致することができないため8万人とした。

O-3.
専用スタジアムではなく、多目的の利活用のためトラックが可動式の椅子で覆われる必要があると考えた。

O-4.
選手、観客、運営者にとって快適な競技場とするために、開閉式屋根があるスタジアムにしようと考えた。文化イベントの時には、音の問題を解決するためにも開閉式屋根を設置しようということになった。

O-5.
芝生あっての競技場であるので、早い段階から芝生の研究を行い、開閉式屋根で覆われた競技場でも健全に育成できる計画としていく。

ここで小倉氏はO-3.、O-4.、O-5.に関してなんも考えず発言してしまっていますが、条件を作成した責任があるでしょう。同時にスポーツ担当なのにスポーツのためにどうすべきかなんの発言もない、同時にフィールドに関する知見もないことを暴露しております。

こっからどんどん的外れになって、面白くなるのですが、続いて文化からの視点で具体案を取りまとめたという都倉氏

T-1.
スタジアムはスポーツと文化・芸術の拠点をつくる国家プロジェクト現在
の日本の経済的な立場等全てを鑑みると、国立競技場はオリンピックが終わったらおしまいではなく、将来にわたって維持していく必要があるが、投資を回収できる計画もあった。
T-2.
文化・芸術利活用ワーキンググループでは、文化・芸術イベントのプロデューサー、企画会社、テレビ局等の方々にメンバーに意見を聴取した。

T-3.
スポーツと文化を共存させ、芝生を大切に育成しながら、数万人のイベントをやらなければならないため全天候型の屋根が必須である。

T-4.
ライブエンターテイメントの需要は増加傾向で、2012年には3000万人を超える人が楽しんでいる。それで打ち止めではなく、開催できる会場があれば需要は更に伸びる。

T-5.
文化利用の関係者にヒアリングを行った結果、近隣の騒音問題から屋根があるかどうかが最も大きな要望であった。

T-6.
屋根があることで、利用する側からすると季節的な制約がなく、天候に左右されないイベントが開催できるようになる。イベント会社・プロモーターからは全天候型の新国立競技場への期待は大きい。

T-7.
完成後赤字の垂れ流しになるのではないかと言われている。下村大臣も予算委員会の中で年間10回程度イベントを招致できるのではないかと発言されたが、その3、4倍の需要はある。むしろ、スポーツイベントとの調整が必要になるくらい、期待は満ちている。

T-8.
先日来日したポール・マッカートニーも2019年に競技場が完成したら、是非またこの場所でコンサートをやりたいと表明している。

T-9.
完成すればスポーツ、文化、芸術の拠点となり、日本の財産となるのではないかと考えている。

さあ、そして待ちに待ってました、世界の安藤忠雄先生、しょせんどっちに転ぶなら、とりあえず闘う男!登場であります!

ここで休憩です。