僕がケーキ屋さんを設計してたころ3

僕がケーキ屋さんを設計してたころ2



先日、久しぶりに銀座を歩いていたところ

なつかしい通りに出まして、昔わたくしが現在の仕事に携わったばっかりのころ。

学校を卒業してすぐの右も左もわからないころのことを思い出しました。


私が大学を卒業したころというのは、このブログでも何度か取り上げています、

「ボーダー」とか、「パトレーバー」とか「ナニワ金融道」などが連載されていたバブルの時代でした。

同級生たちが、ガンガン大手ゼネコンや大手設計会社に引く手あまたで就職できていたころなんですが、

当時の森山青年は何を思ったかそういった巨大企業に行くのをギリギリまで悩んで、ちょうど料理でいえば美味しんぼの海原雄山みたいな建築家の先生のところに、弟子入りっしちゃったというお話は何度かこのブログでも書いていますが、そのころのことです。


その先生のところに入れてもらおうと電話しましたらニベもなく断られまして、本当はキツかったんですが、

「おおっ、期待どおりの対応だ!俺の大先生はこうでなくては!」と超積極策で思いなおし、

次の日の朝からすぐ事務所のビルの前で待ち伏せしたりもしまして、

それから朝駆け夜駆けして半年かけてやっと入れてもらったわけなんです。


3月の末に、いきなり今から30分以内で来い!と連絡もらいまして、

その日から3連続徹夜を経てとりあえず邪魔しなきゃ居ていいよと言ってもらいました。


「無給で全然、かまいません!」と言ってたのですが、なんと!初任給4万円もらえました。

バブル期に初任給4万円ということで、友人連中にも大馬鹿野郎と大ウケだったのですが。

御大はA藤T雄以上の大先生に違いない!と自分の見込みは至極まじめだったのです。


その第一弾が、「お前その何千円かの靴捨てて来い。で靴買え!昨日4万円やっただろ。」

でした。実際その靴は当時のDCブランドのMensTENORAS」の1万円くらいはするモノだったのですが、

昨日渡した4万円で4万の価値がある靴買って来て履けというわけです。


「うわっまた新たな謎かけだ!この答え間違うとクビになる即死する!」と直感するわけですね。


まあ、結局泣く泣くその靴は捨てて(実際捨てることが大事と思って)

4万ちょっとの靴買ってきて、またHPとMPが上がっていくといったようなリアルRPGみたいな体験をしておりました。


その1年目の1ヶ月目に「おまえ、明日からケーキ屋のデザインしろ!」と言われまして、

いきなり、ある洋菓子店オーナーさんに会わされることになります。

「彼が今回の店舗内装デザイン全部やります!出来なかったら殺しますから何でも言ってやってください。」

「森山君わかったな、ちゃんと出来なかったらクビだから。」とか勝手に決まってしまいまして、

正直、ケーキ屋さんに入ったこともないわけですよ。当時の男子は(私は美容院には行ってましたが)

正直ケーキ屋さんの店舗は「ケーキ屋ケンちゃん」しかイメージなかったですから。


こりゃ大変だということで、ケーキ屋さんの店舗ってどんな感じにすればいいのかなと、

その日から朝昼晩ずっとケーキ食べ歩きしてたんです、飯食わないで。

またですね、ケーキって高いんですよ。

ラーメンと同じくらい値段するし、コーヒーセットにするとフォルクスのステーキとサラダバーが頼めるくらいします。

今みたいにインターネットがない時代ですから、婦女子の買う雑誌をドキドキしながら購入しました。

家庭画報とかアンアン、ノンノなんかの洋菓子特集とかケーキ屋さんの本とかみたり、

ふらっと寄ったケーキ屋さんのご主人に別のケーキ屋さんを紹介してもらったり、


結果どうなったか!数ヶ月後に足の指の骨が折れました。

もちろん、自然に折れたわけではないです。

よく机やたんすの角に足の指をぶつけたりしますよね、激痛が走りますが。

そのときに折れました、割と簡単に。お医者さんに「カルシウム不足」とあっさり言われまして、

こりゃいかんと昼はホカ弁に変えましたが、

ケーキって意外と腹持ちがしてそんなに食べれないのに一食分をホカ弁で浪費するみたいでイヤでした。


もともと凝り性なので、

いつのまにか、ケーキ屋さんの店舗空間というより、ケーキそのもの研究になっていったのですが、

まあ、そんなこんなで方々で「あそこはすごいよ!」とか、「一度行ってみな!」とか、

「そんなにケーキ研究してんだったらあそこに行け」と教えてもらったのが、


今では伝説となっている、銀座のエルドールだったんです。


その前を、昔建ってた場所の前を通ったんです。


建築エコノミスト 森山のブログ


このエルドールで僕はすごい体験をしてしまうんですが、、、

続きはまた後ほど

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