ドトウの笹口組が典型的な大手下請け会社であることはわかったのですが、
実は建設業界におきましては、
この元請け下請けの関係はマスコミがおもしろがって報道するような
元請けゼネコンがぼったくりで下請けイジメばっかりしているといった
ステレオタイプな関係ではありません。

むしろ、下請け工事会社によって技術が支えられていたり、
下請け工事会社の方が最新鋭の特殊な工事を担当している、
といったケースも多いのです。

以前ご紹介した川田工業のような橋梁のスペシャリストだったり
プレキャストコンクリートの黒沢建設だったり、
数年前に倒産してしまいましたが、地中連続壁の利根地下技術株式会社とか
そういった特殊技術を売りにした各専門工事会社は、
立場上は下請けですが、上下関係というよりも、
技能者集団。

建築エコノミスト 森山のブログ

戦国時代でいえば、雑賀や根来のの鉄砲衆とか、各地に忍者を派遣していた
伊賀衆、甲賀衆、九鬼水軍、村上水軍、甲斐の金堀衆とか、石垣積みの穴太衆
などが、28種類の各建設工事会社に相当するわけです。

そのうえで政治的に領土経営をおこなっているのがゼネコンといった案配です。
そのため、大手ゼネコンといいましても、
日本各地で得意なエリアとそうでないエリアがあったり、
むしろ、北海道ではどこ、北陸ではどこ、何県ではどこ、といったように
各地に盤踞する地侍的な地方ゼネコンが存在して群雄割拠しているわけです。

結果としてスーパーゼネコン5社(大林、鹿島、清水、大成、竹中)
での建設産業におけるシェアは実はびっくりの10%強くらいしかなく、
大手ゼネコンといわれる各地のゼネコン40社を集めても10%強ということで、
大企業を50社集めてもシェア20%強にしかならないという、
数字で見れば非常に所得再
分がおこなわれている公平な状態です。

建築エコノミスト 森山のブログ

「信長の野望」でいえばゲーム開始早々、
1546年天文15年の河越夜戦といった状況。
まだまだ弱小豪族が版図を広げる余地もあり、地方大名ががんばれる状態。
各地域で新兵器の開発や砦を築いたり、南蛮貿易にチャレンジできる時代が
続いているのです。

実は、建設業界というのは大手の寡占がもっとも進行していない業界なんです。

自動車業界などはトヨタが40%強、ホンダが20%弱、日産が15%、マツダが5%、
三菱3%、スバル3%と、ここまででシェア率90%近く、中小企業など入り込む隙間
もない。

航空業界などは、全日空で50%弱、日本航空で40%弱、といった状況。
これまた「信長の野望」でいえば、
最初っから日本が三好長慶と北条氏康によって二分されたまま、
天文20年でゲーム終了寸前です。

コンピューター業界など、マイクロソフトの完全寡占状態にほぼなってしまい、
秦の始皇帝状況ではないですかね。
早くコンピューター業界にも陳勝、呉広の乱が起きませんかねえ

と戦国に比較してみる。
こんなところも、
私が建設業界を好きな理由です。