さわちゃん先生の住んでるマンションのつづきです。

建築エコノミスト 森山のブログ

さわちゃん先生のマンションになぜ寄棟の屋根が載っているのかな?
についてなんですが、理由としては機能面、設計者の気まぐれ、
オーナーの趣味といったところが考えられます。

機能面ということでいえば、このマンションはおそらくRC造(鉄筋コンクリート)
でしょうから、周囲のマンションと同じように屋上付きの平らな屋根でいいわけです。
それを避ける理由としては断熱環境。
よく言われるように鉄筋のマンションの最上階は夏非常に暑い。
そこで平らにつくったうえで、その上に屋根をかけて断熱などを施しているという理由。

または、屋上防水関係
オーナーはすでにいくつかマンションを所有しており、以前のマンションで屋上で痛い目にあった。
鉄筋のマンションは、なんかそのままでも屋上を使えそう、
実際屋上はそのまんまコンクリートじゃないの?
と思われるでしょう。実は違うのです。
コンクリートの床に見えるものは、構造のコンクリートの上に防水層をつくって、
その上に再度コンクリートを打ったものがそのほとんどなんです。


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アスファルト防水といいまして、紙や不織布にアスファルトをしみこませたシートを
300度近くで溶かしたアスファルトで何重かにコーティングしていく工事です。
その黒いアスファルトの防水層の上に歩行しても防水層が傷つかないように
コンクリートを再度打って、表面を仕上げモルタルで均します。

結構たいへんな工事です。
これが経年劣化により押さえコンクリートのひび割れ等によりどっかから漏水すると、
原因箇所がなかなかわからず、その補修工事ももちろん大変なんです。


というわけで、オーナー住戸が最上階になく、賃貸であれば屋上を使えなくてもいい建物ですと、このアスファルト防水押えコンクリート工事をやんないで済ませたいケースも多くなってきています。
それで、屋上に屋根をかけたのか。

それともオーナーの趣味とか、設計者のポリシーとか、そういったことが考えられるのですが、
おそらく、この屋根をかけることになった真の理由とは、
このさわちゃん先生居住のマンションが建っているエリアが、
「風致地区」、「美観地区」に指定されている公算が大です。

風致地区とは、

歴史的町並みの保存を考えて、、
戦後の高度成長期に乱開発を抑えるために、、
とかいったように理解されていますが、

都市計画上の自然美を維持するための法律といわれていまして、
もともとは大正時代に制定された法律です。

風致地区の内容としては、本来緑地の確保ということだったみたいです。

戦後は歴史的な町並みの保存による観光資源の意地確保や、
国宝的な寺社仏閣などの建物周辺環境の保全のためにも、
この法律が随時適応されています。

一番、風致地区指定や美観地区指定に細かく規定を設けているのは、
やはり古都京都市ではないでしょうか、
私は以前京都の三条付近で計画案を作成したことがありまして、
大体理解しているのですが
第1種地域 、第2種地域 、第3種地域 、第4種地域、 第5種地域というように
指定エリアがあり、一種地域であれば本来和風の町家形式とか、
塀と門と格子戸をきちんとつけるとか、低い軒庇を設けておくとか、
ちゃんと意匠的な効果を意識して計画するべきと思っています。

しかし、あくまで法律として運用しようとしているため、
庇をいくついくつの勾配で設けること、いぶし瓦にすること、何メートル後退すること
色は白とか茶とか黒にすること、といった成文的ルールであることから、

平気で、この和風の真髄をすり抜けようとする。法解釈を拡大解釈したりする。
庇っぽい抽象処理や黒といえばブラックモノリスみたいなデザイン、
いぶし瓦調タイルとか、以前から指摘しているように、

了見の狭い日本の建築家デザイン業界では「和」をやると評価されないため
なんとかして「和風」を避けて、デザイン表現しようとする建築家、
伝統的処理はコスト高になってしまうのを嫌うデベロッパー的な動きの設計士
などなどによって、新築の建物はどんどんちぐはぐになってしまっています。

学芸出版社さんのページの中でいろんなシンポジウムの議論が掲載されていますので、ごらんになってみてください。

↓このルールさえ守っていれば何やってもいいだろ?という困った事例などの紹介
緊急討論・京都新景観政策を考える

↓法律の解説なども含めて理解しやすい記事です。
町並み景観とまちづくりを京都で考える


建築家の自己表現を目指した「和風のエッセンスを盛り込んだモダンデザイン」ではダメなのです。
きちっとまじめに、自己を滅却して「伝統的な和」にしないと、

少なくとも通りに対して低い軒をもった部分をつくっておかないと、
京都の風情というものは守られていかないと考えられます。

そのためには、「これはちょっとおかしい。」とかいえる人たち
建築界の大御所の中にきちんと「伝統を語れる人がいてほしいものです。」

これは何も京都に限ったことではなく、関東では川越などはうまく景観維持が
されているのではないかと思います。

しかし、成文法的な運用のみで管理すると、こんな感じのものも出来上がってしまう
というすごい事例をご紹介します。


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「形態の数値化」や「色彩のマンセル指定」、「軒庇」という言葉だけでの管理だと、
市の建築指導課や景観指導を経ても、
上記のような物件が町並みに配慮したという大義名分つきで出来上がってしまう。


こういうことをやろうとするのが建築デザインだと思っている人たちの事例です。


古い町並みがすでに不完全で周辺にビル化された建物があって、、
そのつなぎゾーンであるとかいうのなら、まだ理解できますが、

両サイドも対面も伝統建築でしかも通りはす~っと気持ちよく連なっているところに、
これを建てたいと思ったその「個人的な矮小な表現欲求」というのは、
どこから来ているのか理解に苦しみます。


川越の周辺の建物を前にしてこういうことができるのは、
きっと教養も美的センスも意匠的な裏打ちもなんにもないんだと思います。

これを見たとき知ったとき非常に悲しかったことを覚えています。

これを良しとするだけでなく、盗人に追い銭、みたく、
なおかつ褒める人たちがいる業界など死んでしまえ!とも思いました。



ということで、さわちゃんマンションを通じて景観を考えるでした。


とするなら、さわちゃんマンションは京都?
でも唯たちは修学旅行で確か、京都に行きましたよね?

京都から新幹線に乗ってまた京都に着いた?

これってどこかで聞いたことがあるような現象です。

修学旅行でいつまでたっても京都に着かない、
結局東京から東京に着いたという学校です。

その学校ととは!










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それは、魁!クロマティ高校です。

とするなら桜ヶ丘高校とクロマティ高校は姉妹校なのかもしれませんね。