前回の考察で秋山澪さんの家は、純和風の木造建築に見えて実は鉄骨造ではないのか?
という結論が出たわけですが、

建築専門家以外の方々には木造、鉄骨造で何が違うんだ?
という素朴な疑問があると思います。

何が違うかというと、建物というのはその構造において
線材(柱とか梁とかいったまっすぐな棒状の構造材)で出来上がったものと
面材(いわゆる壁)で出来上がったものと
二つの構成方法があるわけです。

本来、日本の木造構造というのは
柱、梁、土台、貫といった垂直水平の線材で構成されていたんですが、
戦後はいわゆる構造解析に乗りやすい壁構成要素の方に向かっています。

そのため、木造日本建築でも壁的な面材構成にしたいため、
柱、梁に加え筋交いという斜め部材により、剛壁面の組み合わせでないと、
建築の構造解析に加えられない、もしくは特殊な許可申請の必要が出てきたわけなんです。

そういった木造構造と比較して、
鉄骨造では柱と梁の接合部を剛接合とみなすことができるので、
壁ばっかりで構成しなくてもいい。

柱と柱の間を壁にしなくても、窓を抜くことができるというわけです。


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そんな鉄骨造の利点を活かしたのが、
澪さんの家の澪さんの部屋のコーナーサッシです。


実は、吉田五十八という人は、日本建築の空間様式を研究されてはいますが、杓子定規に木造木造伝統伝統にこだわったわけではないのです。
表から見ると、木軸が美しい内部空間でも、そこに軽ろ味をもたらすために平気で壁内部に鉄を仕込んだり、4方柾目の柱というあり得ない部材を使うために、無垢ではなく張り物であったり、極細の障子桟や格子にするためにステンレスやアルミも多用する人だったんです。

そんな構造的な工夫を凝らしつつ、そして、日本建築の美を現代化したこの家は、
「五十八好み」ともいえるのではないでしょうか。

五十八のところにいた現代建築家として著名な人に野村加根夫と今里隆という人がいますが、最近では建築専門誌においてもこうした日本建築の研究をしている方々をほとんど取り上げなくなっています。
野村加根夫さんは、海外の日本大使館に数多く携わられており、
今里隆さんは、両国国技館などを設計された人です。

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今回の澪さんの家は今里隆の設計案件を彷彿とさせますね。
今里隆設計の家


しかし、この澪さんの家でまったく解せないのがこの玄関ホールに鎮座する手前の物体です。

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かなり大きな謎のオブジェが玄関に存在しています。
れはいったい何なのか、、ぜひ京アニさんに聞いてみたいと思っています。