一回だけ
何事も、楽しめるのは、一回目だけの気がする
ビールは一口目が一番美味しいように
どんなに、これまでの人生の中で最高の映画を見たって、鳥肌が立つ経験がした書物を読んだって、寝る間も惜しんで読んだブログの過去ログだって、もう一回見たいとは思わない
別に、見ないことにしているわけではないのだが、途中で自分がそれらに飽き飽きしてくるのが、目に見えている
一つだけ、「音楽」という例外が存在するように思えるのだが、昔、歌詞カードが擦り切れるくらい熱心に聴いたアルバムを、その時と同じ熱量で再び聞けるか、と自問したら、そうだとは答えられない
人生だって、そんなもんかな、と思える
不可逆性、一回性を持っているから、人生は美味しい
だから、この退屈な日常を、貪るように生きに生きたい