2016年12月27日。
手術後1日目。

うとうとしながら迎えた朝は、
最悪でした。

とにかく気持ち悪い。
舌が痛いというより耳の奥がずーんと痛い。
頭痛が近い感覚?
今までの舌の感覚と違うので、
うまく唾液を飲み込めない。
唾液に溺れそう(笑)
たんを出そうにもうまく吐き出せない。

ゴミ箱は、唾液やたんをぬぐった
ティッシュで一杯です。

でも、お腹すいた(ToT)

みんなが朝食の時間に急にこみ上げてきて、
ついにゴミ箱へリバース…(ToT)
(読んでいる方、病室の皆さん、
汚くてごめんなさい。)
とはいえ、食事を摂っていないので、
ほぼ水分と胃液のよう(>_<)
あわててナースコールを押しました。

でも一時的にスッキリしましたσ(^_^;)



そして、9:00から診察です。
ここは外来とは別に、病棟内に
入院患者専用の診察兼処置室があります。

呼ばれて入ると、K先生がいました。
見かけがクマさんみたいな温和な方です。
例の耳鼻科にある診察イスに座りました。

K先生
「舌見せてね。…おー、回復は順調だね。」

「はい。(はー、よかった^_^)」

K先生
「じゃあ、鼻から胃にチューブを入れるね。
ちょっと準備するから。」

「はい!(きたーーーー>_<)」

2〜3日、口から食べられないので、
鼻から胃に直接チューブを入れて、
流動食を入れることになっています。
今日はそのための処置です。

K先生は私の両鼻の中を見ます。
そして局所麻酔用のキシロカインゼリーを
何度も何度もスプレーします。
さらにピンセットでつまんだガーゼにも
丹念にスプレーし…
それを私の右鼻の奥へ突っ込みましたσ(^_^;)

「ゔっ…( ̄◇ ̄;)」

K先生
「ごめんね〜(>_<)」

ガーゼはあろうことか、左鼻を通って
出てきましたσ(^_^;)

く、苦しいよう…。涙目。

K先生
「鼻腔ちっちゃいねぇσ(^_^;)
右も左もちっちゃいから、どっちにチューブ
入れようかな?苦しくてごめんね。
右側の方が若干大きいかな。」

こんなんじゃ流動食流せないよね、先生。
頑張る(T_T)

ここまでは準備段階。
これからやっとチューブを入れます。
K先生は右鼻にチューブを突っ込みました。

痛い!気持ち悪い!
は、吐きそう…、もうダメ(>_<)

私、リバース(T_T)

看護師さんがあわてて、ステンレスのお皿
(うがい受け)を持ってきました。

K先生
「大丈夫?」

うなずく私。
情けないやら、恥ずかしいやら。

少し落ち着いてから、再びトライします。
右鼻からのどへ、食道を通って、奥へ奥へ
進めていきます。

吐きそうなのをこらえるのに必死な私。

早く終われーーーーー(>_<)

K先生
「入ったよ。」

ゔっ…、のどの異物感ハンパない。
鼻血出てるし(T_T)

K先生
「ちゃんと入ってるかレントゲンで確認する
から、外来で撮ってきてね。」

えー(>_<)
外来まで行くのー?
途中また吐きそうなんですけど…。



点滴を押しフラフラしながら、
レントゲン室へ向かいました。

外来まで来たはいいけれど、レントゲン室の
場所まで気が回らない!

鼻からチューブが20〜30センチ出てる様子は
やっぱり衝撃的らしく、
外来に訪れている方の視線を感じます。

でも、そんなことはどうでもいい。
もー、どこだっけ??…あっΣ(゚д゚lll)
病院内コンシェルジュ発見!

むこうも私の存在に気づいてくれました。

でも私、何を言ってるか伝わらないかも。

私が書く真似をすると、ノートを持って来て
くれました。

「レントゲン室に行きたい。」

コンシェルジュは、私が聴覚障がいの方
思ったらしく、丁寧に丁寧に教えて
くれました。

そうだよね。
しゃべれないなんて普通は思わないよね、
口の中なんて見えないし。
鼻からチューブ出てるけど(笑)

舌がんの少なさと特殊さを痛感した出来事
でした。



無事にレントゲンを撮り終えて、
さっきのコンシェルジュに会釈をして、
どうにかまた、病棟内診察室に戻りました。

K先生
「(レントゲン画像を見ながら)
よし、ちゃんと胃まで入ってるよ。」

なんとか流動食用チューブが入りました。

ゆっくりと目を開けると、
手術室の天井を見ていました。

看護師さん
「あ!ふむさん!!
手術、無事に終わりましたよ!」

あー?
あー…私、舌がんの手術してたんだった。

「ありがとうございました。」
通じるか分からない滑舌でしゃべりました。

いつの間にか浴衣とT字帯
(ふんどしみたいなやつ)を
身につけていました!
心電図と酸素マスクもつけています。

のどの奥は痛いけど、苦しくない。
よかったー^_^
呼吸に異常が出なかったんだな。
酸素マスクで済んでる。
重症筋無力症のヤツ、おとなしくしてて
くれたんだ!ありがとう^_^
少しだけ安心しました。


看護師さん
「これから病室に戻りますよ。」

寝たままストレッチャーで
手術室を後にしました。
病室に戻る途中に時計が目に入りました。
15:55…ということは、
2時間くらいの手術でした。


病室の前では、夫が帰りを待っていました。
(夫は私が手術室から戻る前に、S先生と
お会いして、手術が無事終わったこと、
手術中のアクシデントなどがなかったことの
報告を受けたようです。)

「無事に終わったって。お疲れ様。」

私はうなずいて、ピースしました。

その後ストレッチャーからベッドに移され、
ようやく落ち着きました。

看護師さん
「痛くなったら、このボタンを押して
下さいね。痛み止めが自動的に流れます。
ナースコールは、こっちのボタンですよ。
何かあったら、呼んでくださいね。」

看護師さんが去った後、
夫とふたりの時間を過ごせました。

「痛い?」

私(筆談)
「のどの奥が痛い。けど、意外と元気だよ。
のどが気持ち悪い(T_T)
舌の状態が自分でもよく分からない。」

少しの時間、筆談で会話をした後、
夫は帰っていきました。


心電図はすぐに外れ、
酸素マスクは術後3時間ほどで外れました。
薬・食事・水分が口から取れないので、
すべて点滴で摂取しています。

◎カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム
    静注液…出血をおさえる薬
◎トラネキサム酸注…出血を止める薬
◎生理食塩液注…体液バランスを整える薬
◎ソルデム3A輸液…水分や血圧を維持し、
    糖分を補給する薬


そして痛み止めで使ったのは、
医療用麻薬の「フェンタニル」。
自分でボタンを押して自動的に流れる
アレです。
最強クラスの痛み止めとのこと。(S先生談)
自分でボタンを押すことで点滴と一緒に
入っていくようになっています。
麻薬?!大丈夫なの??

大丈夫です!
一回に流れる量が決まっていて、
間違って押しても一定時間経たないと
再び流れません。
短期間使用なので、依存もしません。
だから安心して使うことができました^_^

夫が帰った前後くらいから痛み出したので
使用開始しました。
すぐ痛みに効くので最初はよかったです。
が、使用中の副作用が結構ツラくて(T_T)

胃がムカムカする感じで
とにかく気持ち悪い(T_T)
(食事していないのも関係アリ?)

は、吐きそう…(T_T)
同時に眠気もすごくて(>_<)

痛い!気持ち悪い!から、ボタンを押す。
押すと流れて、うとうと…眠る。
しばらくして起きる。痛い!気持ち悪い!
また押す…を繰り返していました。

消灯前くらいには、右耳の奥の方が痛む
からか頭痛もひどく(T_T)
(手術したのも舌の右側だから?)
座薬を入れてもらいました。

◎ジクロフェナクナトリウム坐剤25mg
…腫れや痛みを抑えて、熱を下げる薬

そして、点滴のおかげでトイレが近い(>_<)
ので、点滴を押しながら何度もトイレを
往復していました。
(夜中は看護師さんに付き添ってもらい
ました。)


その日の夜は、

眠い、気持ち悪い
…頑張って医療用麻薬を使う回数を減らした
    ので楽になったが、夜中にトイレで吐く。

頭痛
…座薬のおかげで痛みがかなり楽に。
    明け方までなんとかもつ。

そんな感じだったので、なかなか安定して
眠れませんでした。
2016年12月26日。
舌がん手術日。

眠りが浅く、うとうとしながら当日の朝を
迎えました。
この時期の早朝6:00、外はまだ真っ暗!
星が出ていますσ(^_^;)
普段の生活では、日が昇る前になんて
起きないので、きれいな朝焼けを見るのが
日課になりました。
東向きの病室で窓際なので、日が昇ってくる
午前中はずっとひなたぼっこ状態。
そんな温かさに安心し、またうとうと…。

夫は10:00頃、到着しました。
私も手術の準備。
舌の手術なんですが、
普通に内臓系の手術と同じように
浴衣を着て、弾性ストッキングを
着用しましたσ(^_^;)
(こちらの病院では、手術の際の浴衣は必須
だったので、院内売店で購入。 
レンタルとかあればいいのになーと
思いました。
手術後に必要なT字帯もこのとき一緒に
買いました。
血栓予防の弾性ストッキングは病院で
用意してくれました。)

準備は整っても前の手術が終わらないので、
ひたすら待機。
結局お昼になってしまいました。
さすがに2食抜いているので、おいしそうな
匂いに反応せずにはいられません(笑)
そして13:20を過ぎた頃、ようやく手術に
呼ばれました。

身につけていたヘアゴムなどを外し、

「じゃ、ちょっと行ってくるから^_^」

「頑張ってこいよ^_^」


夫を病室に残し、看護師さんと2人で手術室に
向かいました。徒歩で…(笑)

手術室に入る前、白いヘアネットを
被ります。
(衛生のために髪の毛を出してはいけない
ようです。)
そして、さすがは大学病院。
手術室の扉がいくつもありました。
そのひとつを看護師さんが開けてくれると、
もう麻酔科の先生や看護師さんが準備を
していました。
中に入るとひんやりとしています。

看護師さん
「今日の手術を担当する〇〇です。
よろしくお願いしますね。」

その言葉になぜか少しホッとしました。

看護師さん同士の引継ぎのため、
私はしばらくイスに座っていました。
見回すと大きなライトに、手術台、
手術器具や医療機器。
なんだか医療ドラマみたい。
いやいや、ホンモノだってΣ(゚д゚lll)

そして私は手術台に促されて、横たわり
ました。
ここで、身ぐるみ全部はがされます(>_<)
バスタオル一枚かけられた下は…
すっぽんぽんです…恥ずかしい(°_°)
そして、ものすごく緊張していました。

麻酔科医
「麻酔科の〇〇です。宜しくお願いします。
では点滴を入れていきます。」

しばらく、私の腕とにらめっこ。

「私、血管細いんですよね。
すみません(>_<)」

麻酔科医
「ですねぇσ(^_^;)頑張ります(笑)」

なんとか一発OKでした!

そして、S先生が手術室に入ってきました。

S先生
「じゃ、始めるね。」

「よろしくお願いします。」

麻酔科の先生が私の口もとに、マスクを
あてました。

麻酔科医
「ゆっくり息をしていてくださいね。
徐々に眠くなってきますよ。」

私はうなずきました。
ゆっくりゆっくり息を吸うたびに、
頭がボーッとしていきます。
「たぶん、次のひと息で落ちるな…。」

そう思った瞬間、私の意識は麻酔で
飛んでいきました。