夕張市の財政が破綻し、財政再建団体への移行を総務省に申請することになった。民間企業でいえば、倒産状態に陥ったことになる。かつて炭鉱の町として栄えていた夕張市。不思議なことに決算上は黒字だったため、再建団体の申請は市民にとっては、「寝耳に水」だったという。

 からくりは税収と支払い時期がずれた場合、つなぎ資金として金融機関から借り入れ、決算日をまたがずに返済する一時借入金にある。このため、予算・決算書には計上せずに「隠れ借金」として処理できるのだ。

遊園地やスキー場など、血税を投じて繰り広げてきた過剰な公共事業が、地域経済に貢献するどころか、数百億円もの赤字を生むことになった。

 夕張市は住民10人のうち4人が65歳以上の高齢者だ。北海道でも高齢者の比率が最も高い自治体である。昨日のニュース番組の報道によると、70歳以上の高齢者はこれまで、市内にある市立病院に行くバスを、市内どこからでも200円で利用できた。ところが来年からは、バス代は最高で930円まで値上がりする。70歳以上の高齢者が病院に行くためのバス代の割引制度が中止されるためだ。体が不自由な高齢者が入所する市立の養護老人ホームも2008年に閉鎖される。


 また、小学生と3歳以上の幼児がいる4人家族で、軽自動車を所有する家庭の場合、1年間の生活費はそれまでよりも16万5880円も増えることになる。破たんした財政の穴を埋めるために公共料金が引き上げられ、下水道料金は1万1640円、ゴミ処理費用は5560円、自動車税は3600円の増額となる。市民税や固定資産税も引き上げられる。


 そして最も大きな負担となるのは、12万6000円も追加負担しなければならない乳幼児の保育費だ。


 結果的に弱者切捨てを平気でするかと思えば、石垣から降りられず保護された野犬の引き取り手が全国から殺到する。それが悪いと言っているわけではない。


しかし、何かこの国はバランスを欠いてはいないか?