エミ、旅のおわり?
エミがレストランを辞めて、日本に帰りたいと言い出した。
だからって、俺が寂しくならないよう、俺のために次の彼女を見つけようと?
俺は聞いた、エミが本当にやりたかったカナダ生活はあったのかい?
モントリオールで得るものは、何もなかった、との答えを聞いてショックを隠せず。
そして、言ってしまった。
エミがこれ以上居たくないのなら、日本に帰国しようと止めはしないと。
彼女とは、2月の終わりに初めて会った。
すすきのホールステアーズ、薄暗闇の二階席で初めて声を交わした。
初めてみる表情は、目を見て人と会話する楽しさを教えてくれていた。
3ヶ月もヒキコモッテる毎日だったから・・・。
チャットでリハビリされつつあった俺も、本人目の前にまだキーボードさがしてる。
エミのほうは買いに来たコンタクト屋が閉まってて、早くから待っていたみたい。
眼鏡姿を見られたくないから、大きな裸眼で俺をみつめる。
照れ隠しに、またつまらない会話をしてしまう。
恋人と別れたばかりの彼女、奥さんに親友を盗られてしまった俺。
「もう、しばらくは恋愛とかいらないよね」 なんて打ち明けて、すぐに親友になった。
マニー。が元気になるまでは、私が一緒にいてあげる、そういうエミに心を融かしはじめた。
エミのこと好きじゃなくなってもいいんだよ、マニー。が元気になれたら私はそれでいいの。
この先恋愛する気力のない俺に、そう言って励ましてくれたエミ、とても愛しい彼女だ。
エミが出て行ったら、・・・・・、去年の秋のフラッシュバックに怯えている自分が情けない。
モントリオールで1年過ごして、一緒に帰ることになれば、そのときは最後の結婚してもいいかな。
本気でそんなことを考える自分と、結婚やら恋愛から逃げようとする臆病な自分との葛藤かな。
俺も、ワカラナイ。
本当に彼女を留めておくことが正しい選択なのかどうか。
でも、辞めちゃう、あきらめちゃうなんて、いつでも出来ることだよね。
だから三十路の経験で励まして、彼女はもう一度仕事をさがしてみるって立ち直った。
俺も、できるだけのことサポートしてあげたいから。
マニー。31歳。
無償の愛って信じてみることにします。