派遣法に関するそもそも論
派遣法があるから、格差が生まれるんだ、と存在すら悪というイメージ付けをされてしまった労働者派遣法ですが、改めて、そのそもそも論について考えてみます。
派遣会社によって、派遣労働者が、不安定雇用を強いられているということを、よく言われていますが、そもそも、労働者派遣法は、常用雇用の代替を防止するための法律であり、常用雇用以外の労働者は、守ることができません。
また、そもそも、常用雇用に影響を及ぼさないように、「臨時的・一時的」であり、かつ常用雇用者が得意としない「専門」な業務しかしてはいけないことになっていました。
そして、そもそも、専門とは、その道のプロであり、派遣就業においての労働者のキャリアアップなど、考慮されていませんし、する必要もないのです。
派遣法を語る上で、なぜか、これらそもそもが、どっかの棚に置き忘れられているような気がします。
そして、誰もそのことを語ろうとせず、そのまま、法改正を繰り返したため、木造平屋の上に、鉄筋コンクリートで増築するような、とんでも法が出来上がったのです。
今や、土台は折れかかり、家ごと崩れる寸前です。
10月施行の改正法は、本来最も必要としている就業弱者を家から追い出し、派遣会社をコンクリートの水増ししてでも、マージン率の低い社が奇麗に見えるように混乱させ、あげく、3年後には、企業の「採用の自由」すら奪う。
このどこに派遣労働者の保護があるのやら…。
もちろん、我々にも反省すべき点は、多々ありますが、労働者派遣法を、本当に派遣労働者保護の法律にするためには、これら『そもそも』を見直すことからおこなわなければ、始まりません。
今度こそ、それをするべきなのです。
現在、厚労省では、派遣法の再改正に向け、「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 」という研究会が開催されています。
次回は、有識者と労働組合団体からのヒヤリング、そして次々回には、我々業界団のヒヤリングも予定されています。
派遣という働き方を必要とする人たちの声は我々の元にあります。
その声が活かされてこそ、本当に求められる派遣法となるのではないでしょうか。
ではまた