安倍政治にレッドカード!【第1回】 アベノミクス = 大資本優遇、労働者冷遇でツケは庶民に | モニおじ。の『にょきにょき日記♪』

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 いよいよ大勝負の年、2016年を迎えました。2012年12月に安倍政権が誕生してから丸3年。この間、安倍政権は、憲法を無視し国民を欺いて大資本のための政治に邁進してきました。夏の参院選は、そうした安倍政治に審判を下す「ラストチャンス」です。そこで、安倍政治がこれまでに行ってきたこと、そしてこれから行おうとしていることを改めて整理してみたいと思います。
安倍政治にレッドカード!【第1回】
アベノミクス = 大資本優遇、労働者冷遇でツケは庶民に
(消費税増税と法人税減税、異次元金融緩和と円安誘導など)
 マスコミ世論調査の安倍内閣支持率は相変わらず40%を超えていますが、その原動力と思われるものの一つにアベノミクスと呼ばれる経済政策が挙げられると思います。しかし、その実態は大資本のための政策であり、労働者や中小企業には冷たい政策と言わざるを得ません。

1-1.異次元緩和と消費税増税で家計を直撃
 安倍政権は、発足当初、公共投資などの財政政策を発動するとともに、日銀人事に介入し、黒田総裁の下で異次元金融緩和を行いました。前政権(民主党野田政権)下の超緊縮財政運営の反動もあり、円安と株高が進行しました。円安は輸入品の物価高として庶民の懐を直撃し、2014年4月に消費税を5%から8%に上げたことも加わり、2014年度の実質賃金は2.5%減少とリーマンショック後に匹敵する下げ幅となりました。消費増税による株価低迷を受け、2014年12月の衆院選前には、日銀の第二次異次元緩和(国債買い取り額を年間80兆円へ拡大など)、消費税10%への再増税延期が行われました。原油価格の暴落などもあり、株価は安定を取り戻していますが、賃金は低いままです。中小企業は、①消費税増税の影響(販売価格引き上げが難しいなど)②円安のメリットよりもデメリットの方が受けやすいことにより、売り上げが減少しています。度重なる異次元金融緩和により、日銀の国債保有率は2012年までの10%程度から急激に増えて30%に達しており、流動性低下の弊害が懸念されます。

1-2.大資本優遇の利権政治で犠牲になる庶民生活
 一方、大企業の経常利益は、安倍政権発足後の2年間で45%増加し、史上最高を更新しました。法人税の減税が行われたことも背景にあると思います。法人税は、2015年度に実効税率で2.5%引き下げられましたが、2013年度に37%だった実効税率は2016年度には30%以下に引き下げられます。しかも、赤字企業にも課される外形標準課税の強化等も行われ、経営に苦しむ中小企業にとっては消費税増税とダブルパンチです。そもそも法人税の実効税負担率は、銀行大手平均19.6%(2013年度)、金融保険業を除く大手企業平均26.3%、中堅企業平均37.9%、中小企業平均39%で、逆進性の高い構造になっています。黒字の大企業は減税の恩恵を受け、元々実効税負担率の高い中小企業は更なる課税に苦しむという不平等。

 しかも、傘下に多くの子会社を抱える大企業の場合、「受取配当金不算入制度」や「外国税額控除」、「外国子会社配当益金不算入制度」などの減免制度により、法人税がゼロの企業まであるのです(トヨタ自動車など)。
詳しくは以下を参照
(2014.11.2 産経新聞)
(2014.10.1 みんなが知るべき情報)
http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/6f05a82ca32b55bf6485c562e6128f7b

 さらに、輸出型大企業には「輸出戻し税」による益税もあります。輸出品は、輸出先の国でかかる付加価値税等の二重取りを避けるため、消費税が免除されます。しかし、輸出企業は仕入れの際に消費税を払っていることから、仕入れに掛かった消費税分を政府から還付されます。この還付金が輸出戻し税と呼ばれるものです。お金の流れが正常であれば何も問題はないのですが、輸出型大企業の下請けとなっている仕入れ企業は、力関係から消費税分の自己負担を余儀なくされるため、政府から輸出戻し税が入る大企業は丸儲けするのです。消費税率が上がれば上がるほど、大企業の益税は増え、下請け企業の負担は増えていきます。ちなみに、2012年度予算による試算によれば、還付金の総額は約2兆5000億円あり、1兆円以上が輸出企業や商社など上位20社に流れていると言われています。トヨタはその中でも断トツに還付金が多く、年間2000億円近いお金を国庫から支給されているのです。

 このように大企業の利益が増大しているにもかかわらず、経済成長率が0%付近を低迷している背景は、利益が内部留保や富裕な株主への配当にまわり、労働者の所得は減少しているということです。労働者の賃金は1998年度から2012年度まで毎年平均9.4兆円も減り続け、累計で131兆円もの賃下げになっている一方、大企業は同期間に129兆円もの内部留保を積み増しています。ちなみに、大企業の内部留保は2015年までで300兆円に迫っています。また、こうした余剰金の一部が、政治献金として自民党に渡っていることも見逃せません。安倍政権になって、自民党への政治献金は1.5倍に増えました。まさに利益誘導型の政治が堂々と行われているのです。

 安倍首相は2015年春闘で「賃上げ率が過去15年で最高になった」と自慢しましたが、条件の整った大企業314社が対象であり、99.7%を占める中小企業419.8万社の従業員には全く関係がありません。9月の会見で自慢した「雇用が100万人以上増えた」も、以下のとおり正規雇用が56万人減って非正規雇用が178万人増えたが正解です。
2012年4-6月期 雇用者数5,146万人 正規3,370万人 非正規1,775万人
2015年4-6月期 雇用者数5,267万人 正規3,314万人 非正規1,953万人
(2015.9.25 editor)
http://editor.fem.jp/blog/?p=877

1-3.軽減税率では家計の負担軽減にならない(消費税率は5%に戻せ)
 安倍政権は、2017年4月に消費税を10%に増税する一方、法人税はさらに減税するつもりです。これにより、家計はさらに苦しくなり、賃下げや失業という形でも影響するはずです。個人消費が冷え込み、経済が急速に悪化することはこれまでの経験から明らかです。公明党は軽減税率導入を自慢するでしょうが、年収200万円の場合、年収に対する消費税の負担率は、
現行の税率8%の場合:6.6%
軽減税率導入無しの税率10%の場合:8.4%
軽減税率導入有の食料品等8%の場合:8.0%
となり、軽減税率を導入したとしても、若干の軽減にしかなりません。消費税率が8%に上がった2014年度から2017年度の負担増(消費税率5%の場合との比較)を試算すれば、年収300万円未満の場合で28万円にもなります。低所得者対策と言われる「一度きりの臨時給付金3万円」など焼け石に水です。
詳しくは(2015.12.9 editor)
http://editor.fem.jp/blog/?p=1457

 以上、アベノミクスと言われる経済政策は、大資本を優遇し労働者を冷遇する格差拡大の愚策に他なりません。本来行うべきは個人消費を活発にする堅調な経済で税収を増やすことであり、消費税率を5%に戻すくらいのアクションが必要です。法人税増税や大企業優遇の各制度見直しなどによって、内部留保を労働者の賃金に振り向けることで、個人消費も活発になり、税収増に繋がるはずです。