モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。

モンゴル人からお金の無心を頼まれたらどうするか?の考察の続きです。


前の記事はコチラをクリック⇒「モンゴル人の刹那的金策とどう付き合うか? 」


経済成長著しく、ハイパーインフレが進行中のモンゴル国では定収入がない自営業や失業者、フリーランスにとって、いかに世間の波に乗っていくか、は大きな問題です。

鉱山開発や建築業・高級車両やコスメティック販売・スパ系サロンビジネスなど、いわゆる「富裕層」や「中より上級クラス」を対象とした新興ビジネスはドッグイヤーで成長著しいわけで、こういうところのお給料って、ほんと、桁違いにすごい!

日本の四大卒初任給並・あるいはそれ以上の基本給を出す企業もいくつもあります。

こうなってくると、金欠状態なのは、遊牧民だけでなく、季節産業である旅行業も同様。
語学能力・マネジメント能力の優れた人材は、どんどん、大手企業や成長企業に引き抜かれていきます。つまりは旅行業全体が優秀な人手不足で争奪戦状態になるわけ。

でも、私、そういうお金ガツガツな世界で、ビジネス的にガンガン成功!っていうのを目指すのは、疲れちゃうなーというマインドなわけです。
もちろん、能力の向上やマネジメントの改善、自分のビジネスやスタッフの育成や社会貢献はしていきたいっていう希望はあります。でも、欲がない。

なので、私も、急流に乗ったらすぐに沈没するタイプだと十分自覚しています。

類ともで、やっぱり経済的な荒波に対する世渡り下手ばかりが私の周りにはいるわけで、多かれ少なかれ、いつもこの「お金をなんとかしなくちゃ」という話が出てくるのです。

バッサリ「金の切れ目は縁の切れ目」と断ち切ったとしても、やっぱり人間が変わるだけで問題解決には全くならない。というのも社会がそういう流れなんだもん、ということですね。

私は自分自身も含め、なんとか、どん底からでも這い上がって
 「自分が望む暮らしを実現する」
ために、兼業遊牧という生活スタイルを実験してます。

都会で暮らす自分が草原と都会の生活の両立・都会のビジネスと草原の生業の両方の体験を通じて、バランスのとれた生活力のある人間になりたい、
と考えています。

それは都会人だけでなく、草原の遊牧民にとっても必要なことだとも考えているのです。
つまり、今までのように、のんびりと感覚的・伝統的な遊牧生活というだけでなく、 「自分が望む暮らしを実現する」
という自己実現の達成感や自己管理などが必要になってくるということ。


1990年代の市場経済化は21世紀に入って、モンゴル資本主義というビッグウェイブに成長しています。グローバルスタンダードを意識しながら、外国の政府やビジネスマン・投資家と交渉し、国力をつけようとしています。

GDPを毎年10%も20%も押し上げようとしているのも、国際的な地位の向上を目指してのこと。
実際の遊牧民やゲル地区で暮らす不定期労働者たちの暮らしは、むしろ、貧困ベクトルに傾いているけれど、そういう貧困層は「福利厚生」や「助成金」でひっぱりあげてでも、とにかく、国としては、イケイケGoGo!な上昇気流に乗っかりたいはず。

今までの遊牧民はそういう国の政策・意向の流れに乗っかって、翻弄されながらも、家畜と共に細々と生き抜いてきました。

でも、これからのモンゴルは、子供は学歴社会の差別にさらされます。田舎の子供でもウランバートルの「いい学校」に行かせないと、その後の将来が見えないのが現状。
だから、若者は都会を目指す。遊牧の未来が見えないから。

なんとなくこの20年でこんなビジョンが確立されちゃっているような気がします。

そして、こんなビジョンは私にとっては、「なんかサモシイ、残念な」ものに思えるのです。

遊牧に対して、ノスタルジックに「モンゴルのイメージが遊牧だから、伝統的な生活を捨ててほしくない」なんて、のんきな外国人みたいなことを言ってる場合じゃないな、と。

だから、私は3年前に、自分もほぼ裸一貫、身ぐるみはがされた状態から、ようやくピンクのラブワゴンとオフィスを奪還し、再びビジネスを始めるために立ち上がった時に「これからは自分の好きなようにする」と決めたのです。

「自分の好きなようにする」というのが「大好きな草原・森林・山の人たちと元気に生きる」ってことでした。


自分も家畜を持ち、遊牧民と共に生き、同じようにリスクとダメージを背負って生きてみる。
 

当初は、それほど悲痛ではなく、むしろワクワク感いっぱいで羊とヤギの買い付けをしたのでした。
徒歩約100㎞あまりの家畜と一緒に歩く旅も足腰の筋肉痛は半端ではなく、足の裏はマメが破れてボロボロになったといっても、「一生分の語り草ができた!」と嬉しくて仕方がなかったのです。

でも、生き物を飼う・所有するというのは、ワクワクだけでなく、死のリスク・責任も背負いこむこと。

そして、兼業遊牧という生活スタイルは、私だけではとてもできない、いろんなモンゴル人の協力なしには成立しないものであります。

といった、前提で、お金関係の相談を受けたとき、どう考察すればよいのか・・・?

思考のベクトルは決まりました。

●お金と自分
●お金と他人
●他人と自分

のそれぞれのバックボーンや関係性を考慮したうえで、自分の生き様、流れにとって、この「お金の問題」がどんな位置づけにあるのか、どんな影響を与えるのか?

また同時に
☆自分の経済状態がどうなってるのかの現状と今後の短期展望
を絡めて考える、というプロセスで検討することにしました。

(続く)

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