昨晩、東証が2012年春から行っている+YOUという個人投資家応援プロジェクトのスペシャルイベントに、このプロジェクトの当初からずっと継続して関わっている他の4人の方々と一緒に登壇しました。そこで2時間程度パネルをしたのですが、投資の今を話しながら色々なことを考えました。そして昨晩寝る時も、ボウッとそのことを考えていました。

 今は金融緩和期だから、即ちお金がどんどん刷られて世の中にお金が回ってくるので、株式など値段の動きやすいもの、即ちインフレ資産の値段が上がる。だから金融緩和が続く間は、基本株式相場の見通しは明るい。というのが従来からの私の考えであり説明です。これをもう少し分かりやすく説明することを考えました。

 金融緩和でお金が回る。お金も一種のモノと考えることが出来、キャベツを作り過ぎれば値段が下がるように、お金もいっぱい刷ればその価値が下がっていく。お金の価値が下がるとは、100円の価値が下がるから、元々100円の価値があったモノ、例えばパンは、新しいお金100円とは釣り合わなくなり、もっと多いお金と釣り合う、即ち”円”の量が増える、値段は上がる、となります。こうして、お金を刷ると、モノの価値は変わらなくとも、値段は全般に上がります。お金の価値が下がるということと、モノの値段が上がっていくということは、同値なのです。

 しかしモノの値段の上がり方は一様ではありません。給料、パン、肉、宝石、株、これらを全て或る種の”モノ”と捉えて、これらを”モノ”のサンプルと考えると、金融緩和期にはお金の価値が下がっていきますから、これら全体の値段の総和は上がっていくのですが、一つ一つの“モノ”の値段の上がり方は一様ではありません。企業はすぐには給料を上げない、企業はすぐには生活必需品の値段は上げない、嗜好品であれば或る程度値段を上げることも出来る。全体のモノの値段の総和は上がらざるを得ないから、企業という容器で考えると、それは原料を仕入れて、給料を払って製品を作り、その製品を売り、最終的に残ったお金が利益となる訳ですが、原料、給料、製品の値段がそれほどには上がらなければ、まるでコーヒーをドリップするように、お金が企業という容器の底、キャピタル・ストラクチャーの最下部に溜まる、即ち資本の部が大きくなるので、株価が上がるのです。

 金融緩和の時、給料、パン、肉、宝石、株、という“モノ”のサンプルを考えると、その逆の順に値段は上がっていきます。そして、もしそうなら、自分の持っているお金の価値が下がっていくことを防衛するためには、“モノ”の中で他のモノより値段が早く大きく上がっていくモノを持っていないといけないのです。それが即ちインフレ資産を持つことであり、株式投資です。

 うーむ。長い。却って分かりにくいかも知れない。しかし、金融緩和が続けば、目の前のお札というお金の価値は下がっていくこと、なのでその防衛を考えねばならないことだけは理解していただければと思います。