経済を助けるために国が借金をして供給されたカネは、本来の目的である経済を良くするための投資・プロジェクト等に使われずに銀行に預けられ、銀行は国債を買って国の借金を助ける。例えば東北の地公体に国から渡されたカネは、東北の地方銀行に預けられその預金量が急に膨張しています。そして当該銀行は国債を買う。しかしこのメビウスの輪のような妙な循環は、日本に限らず世界的に起きているように見えます。この循環は経済のためにならないのですが、すぐに毒がある訳でもありません。なのでその問題に中々気が付かずに延々と循環が続いてしまうのです。

 ではこの循環をどうしたら絶てるか。そしてどうしたらカネを本来投下されるべきところに回せるか。銀行だけの問題ではないのですが、しかしやはり問題の中核である銀行にどうしたらもっとリスクを取らせることができるか。この問題は簡単ではありません。下手に循環を壊すと国の財政が破綻します。ギリシャの財政は、対GDP比負債率で云うと日本よりも遙かにマシですが、ギリシャの銀行はこの循環に従ってギリシャ国債を買わず、リスクを回避して他国の国債を買ってしまったので、循環が壊れて国自体が壊れかけました。この妙な循環は慎重に直す必要があるのです。肥大した臓器を治す手術に似ているでしょうか。

 根本は銀行が国債を買いすぎるからいけない訳で、銀行が買う国債の額に上限を定めるべきだと考えます。円という通貨の信任を保つために、日銀が購入する日本国国債の額は通貨発行量を上限とすると云うルールがあります。同様に、銀行が買える国債の額にも上限を定めなければ、リスクを回避しがちな銀行はリスクセクターに対する投資・資金供給を怠り、安易に国債を買ってしまいます。一気に銀行国債保有額を減らすと”循環”が崩壊しますから、今の現状を認めた上で、徐々にカネを市中に回すように国債購入上限額の段階的減少をスケジュール化すべきだと思います。ま、難しいですけどね。しかしこのような議論がもっとされなければいけないと思うのです。さて3回続けてお金関係の話題が続いたので、来週は味を変えたいと思います。