上海は国際金融センターになれるか?私はその前に、人民元が国際化されることが必須だと思います。元の国際化なしに、上海が国際金融センターになることはあり得ません。

 元が基軸通貨のひとつになるためには、中国から見た外国人が大量に安心して元を持てるようにならなければいけません。現在もQFIIと云う海外機関投資家が元投資を出来る枠がありますが、その枠はあまりにも小さく、そして小さいが故にハイリスクの資産にしか投資は向かっていません。中国は債券市場を、特に「外国人が買える国債市場」を育てなければいけません。

 外国人が買える大きな国債市場を持つことは、極めて重要です。今回の金融危機の中でも、問題の発信源であるアメリカのドルは大して売られませんでした。日本円も売られませんでした。この2国、発達した、「外国人も買える」大きな国債市場を持つこの2国の通貨だけが売られなかったのです。

 EUは、ユーロと云う通貨は作りましたが、EU政府によるユーロ建て国債を作るのを忘れました(EU財務省を作りませんでした)。ユーロ建てのドイツ国債等しかないのです。そしてユーロもあっけなく売られました。国内外で国が大量にファイナンス出来る仕組みを持つことは、斯くも重要です。

 各国中央銀行やSWF(国富ファンド)が外貨準備を持つ時、株式では価格変動制が高すぎ、不動産では流動性が低すぎ、紙幣のままでは利子が付きません。大量に持つためには、ロー・リスクの国債が必要なのです。先ずは短期債。これは最近、香港で人民元建ての国債を出すことを中国政府は発表したので、対応を始めているるようですが、必要な額や一般性に比すと、あまりにも小さく特殊です。そして長期債。

 SDR(IMFに於ける特別引出権)に於ける人民元の比率を高くした上で、SDRを国際基準通貨にしようと云う案もあるようですが、SDRでは多くの買い物(決済)に使えません(あまりいい例ではありませんが、分かり易い例は武器です)。国債の次は社債。そして格付け会社(もしくはそれに替わるもの)も必要です。

 或る通貨が国際化したり、まして基準通貨になることは、簡単なことではありません。それなりの時間が掛かることでしょう。しかし元債券トレーダーとしては、CGBトレーディングって何か血が沸きますなぁ。