今、ニューヨークにいます。毎年一回この頃に、ニューヨークで、私が嘗て勤めていたゴールドマン・サックスと云う会社の、「Retired Partners' Dinner」なるものが今日あるので、その為に基本的にその日だけ、此処ニューヨークに来ているのです。パートナーとは、株主かつ取締役のような概念で、1999年以降厳密にはもう無くなってしまった地位なのですが、そのパートナーの地位に一旦はあり、今は退社した連中が、一年に一回集まるのです。流石にゴールドマンの経営陣にあった連中なので、殆どが未だに世界に金融界で何かしらのそれなりのことをしており、同じ釜の飯を食い、且つ今は外でそれぞれのことをしている猛者どもの集まりは、金融界のネットワーキングとしては中々面白く、かつ価値のあるものです。

 ともかく、その為にニューヨークに一瞬来たのですが、ちょっと不思議なことが。この街はアメリカの金融危機や景気後退の問題にも拘わらず、相も変わらず大変混んでいて、不景気なんぞ何処吹く風と云う感じなのですが、何故か日本人が少ないのです。アップタウン、ミッドタウン、ダウンタウン、昼、夜、あらゆるカテゴリーに於いて、日本人を殆ど見掛けません。しかも御存知のように、円高で、本来であれば此処ニューヨークは至る所が日本人で溢れかえっている筈なのに。これは驚きと共に、かなり心配です。一事が万事、旅行に限らず、ビジネスや投資でも、羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くようなことになっていないでしょうか。日本にとって今はチャンス。もっともっと、我々日本人は、外に向かって出て行くべき時だと、私は思います。