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元東北大学総長で世界的な半導体研究者・西沢潤一博士の講演をラジオで聞いたことがある。テーマは 「ものづくりの創意と工夫」 のようだったと思う。独創的な研究に対する我が国の評価の低さや、独創の芽を摘む学会の足の引っ張り合い・嫉妬やらの人間臭い話を交えてなかなか面白かったが、中でも最も記憶に残っている話は次のようなもの。


人間が何万年という文明・科学の進歩の末に、自動車や飛行機という文明の利器を作り、人間こそ万物の霊長であるとふんぞり返っている。その人間の何万年の英知の結晶と驕る自動車を使って、クルミの殻を割る利口なカラスが全国あちこちに見られるようになっている。万物の霊長様の何万年の英知をカラスが上前をはねているわけです。どっちが利巧かという話に(笑)←この笑は西沢博士が笑ったもの(笑)


この話に反発したわけでもないだろうが(笑) 最近BMW3シリーズのテレビCMで、殻を割らせようとカラスが置いたクルミを、余裕の笑みを浮かべながらさらりとBMWがかわして行く、という万物の霊長様の反撃ものが流れている(笑) まるでレーシング場のような山道。余裕でクルミをかわしステアリングの性能を誇示するBMW。このCMはBMWジャパンのマーケティング・ディビジョンが、日本市場向けに事前調査を実施して制作された、日本独自CM だという。

クルミのひとつやふたつ、避けないと車がどうにかなるとでも言うのかい?と突っ込みたい気がしないでもないが、省みれば運転席に上履きを持ち込む日本人が少なからず居る国民性・性根を見透かされたようで微苦笑・汗顔を禁じえない。 今の世界の流れは、カラスに上前ぐらい撥ねさせてやってもいいだろう、だよね。 このCM、BMWの性能を誇ると見せて、じつは日本人の本質を揶揄するなかなか腹黒い作品であるという深読みはいかがなものだろうか、と似て非なる米国のBMWのCMを見て思う今日この頃であります(笑) 米国こちら 日本こちら  そのメイキングこちら

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更なる利巧なカラスがもうひとつクルミをずらして置く。それも避けようとして谷底に落ちるBMW。アホーとカラス。そのあとをクルミを踏み潰して悠然と通りぬけてゆくセルシオ。画面にTOYOTAのロゴ。「地球にやさしいトヨタの車」 ナレーションは森本レオで決まりだね。これもひとつの国民性(笑)