BBC JAPANより一部転載。リンク先で他の写真が見られます。

http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-34524740

戦うキツネ2匹の生と死、対称性とらえ 野生生物写真コンテスト

 

「二狐物語」――ドン・グトスキさんの写真は生と死の対称性をとらえた

 

 戦果は勝者へ……。戦うキツネの生々しい姿をとらえたアマチュア写真家の写真が13日、ロンドン自然史博物館主催の野生生物写真コンテストで最優秀作品に選ばれた。

 

撮影したのはドン・グトスキさん。カナダ・マニトバ州のワパスク国立公園で、死闘の末にアカギツネがホッキョクギツネの遺体をくわえて立ち去ろうとする瞬間をとらえた。

 

グトスキさんはBBCニュースに「自分がこれまで撮った中で最高の写真だ」と話している。

 

 

ワパスク国立公園はハドソン湾沿岸にあり、アカギツネとホッキョクギツネの生息地が重なり合う。

 

アカギツネの方が体が大きいため、ホッキョクギツネを見つければ捕獲しようとする。

 

2種類のキツネが戦う様子を見たというガイドたちの報告はあったが、撮影に成功するのは珍しい。

 

コンクールの審査員のひとり、米誌「ナショナル・ジオグラフィック」のキャシー・モランさんは、恐ろしい場面なのにそのむごさは驚くほど抑制されていると評価する。

 

「残酷な印象はまったく受けない。むしろ、まるでアカギツネが冬の上着を脱いだところみたいだと最初に思った」

 

自然史をテーマにした企画担当のモランさんはさらに、気候変動について強いメッセージを含む写真だと指摘。

 

「北極や亜北極の気温が上がると、アカギツネは北上し、ホッキョクギツネの生息地に入れるようになる。するとこういう対立関係が頻発することになる」

 

コンテストを主催するロンドン自然史博物館での授賞式で、グトスキさんの優勝が発表された。100カ国近くから応募のあった4万2000点から選ばれた作品は、「二狐物語」と名付けられ、16日から同博物館で展示された後、各地を巡回する。

 

 

「水中」部門の最優秀作品はオーストラリアのマイケル・オウさんが撮影。アフリカ南部トランスカイ沖でイワシの「ベイト・ボール」(球形群)の中を突き進むニタリクジラ

 

 

「報道写真」(単品)の最優秀作は、独・英のブリッタ・ヤシンスキさんが中国・桂林の七星公園で撮影した「Broken Cats」。「飼いならされた猫」という意味のほかに、「壊れた猫」という意味もある。見世物にされているトラやライオンは牙と爪を抜かれている。

 

 

「都会」部門ではイギリスのリチャード・ピータースさん撮影の「シャドー・ウォーカー(影を歩くもの)」が選ばれた