一昨年ご紹介したこちら の記事に掲載されていた一枚の写真。
一匹の犬が、殺処分場へと続く廊下を歩く姿をとらえたものです。
いつも読んでいる海外サイトの記事で、この写真を撮影した方がわかりました。
<記事元> The Dodoより翻訳
Haunting Photo Shows An Unwanted Shelter Dog On Her Last Walk
毎年、およそ120万頭の犬が殺処分されているアメリカ。
パット・グレゴワールさんは、ロサンゼルスのあるシェルターで、譲渡対象の犬たちの写真を撮影してネット上に掲載するボランティアをしています。
数年前のある日、普段より早くシェルターへ着いたパットさんは、多くの人が目にすることはない、しかし日々起きている現実を目撃してしまいます。
あるメスの犬が殺処分場へ連れて行かれる現場に出くわしたのです。
「これは、決して皆が見ることのない光景だ」。
そう思ったパットさんは、気が付くとシャッターを切っていました。
犬は抵抗することなく、しかしゆっくりと、何かを悟ったように職員の傍らを歩いていきました。これがパットさんにとって、最も衝撃的な光景だったそうです。
一時期、パットさんは里親が決まったり、または殺処分された犬の画像をネットから削除していましたが、今は幸せをつかんだ子たちと共に、「ファイナル・ウォーク」を歩いた犬たちの画像も、「彼らが生きていた証し」としてアルバムに残しています。
パットさんのアルバム
より
パットさんはこう話しています。
「生きることができなかった犬たちの存在にも意味があると思い、写真を残すことにしました。彼らは、確かにここにいたのです。
そしてすべての犬に名前をつけることにしました。彼らは、せめて名を与えられるべきだと思ったからです。
ボランティアを始めた時は、これほどたくさんの犬たちが殺されているとは知りもしませんでした。
こうした活動に関わると、現実を知ってしまう。だからこそ、私たちのようなボランティアは必死に闘うのだと思います。このようなことを、正しいことだとはどうしても思えません」。
~翻訳以上~
パットさんのアルバムはそれぞれテーマごとに分けられていて、Happy Tails には譲渡が決まったり保護団体にレスキューされた犬が、The Rainbow Bridge には病気などで命を落とした犬が、Final Walk には殺処分された犬が掲載されています。
殺処分された子たちの画像にはそれぞれに名前と、新しい飼い主を探す際に記入されたその子の性格や、シェルターに収容された経緯と共に、殺処分された日付が加えられています。
もうこの世にはいない子たちの姿、こちらを見つめる瞳に胸が詰まります…
たしかに存在していた命。
ひとつひとつが尊い命。
日本でも日々、名もなきたくさんの命が人知れず消えています。
今日を生きられなかった命。
明日を生きることのできない命。
今も、飼い主や新しい家族を信じて待ち続ける命。
そんな命が数えきれないほどあるという現実を、改めて突きつけられる記事でした。
パットさんのアルバムがHappy Tails で埋め尽くされる日が来るように…
すべての子たちが当たり前の幸せを手にできる社会になるように…
願ってやみません。
「彼らの御霊が安らかでありますように…」
パットさんのアルバムより。