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アメリカには刑務所内に受刑者たちが運営する動物保護施設がある「ペン・パルズ動物保護施設」


2015年04月18日


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 有刺鉄線の高いフェンスで囲まれた米ルイジアナ州北部のとある刑務所内には、とてもユニークな犬と猫の保護施設がある。この施設を運営しているのは、動物好きの刑務所職員と受刑者たちだ。 
 
 ペン・パルズ動物保護施設では、受刑者が年中無休で動物たちの世話をしている。その内容は、糞の後片付けから犬の訓練、さらにはルイジアナ州立大学からやってくる獣医による健康診断や手術のアシスタントまで多岐に渡る。



https://www.youtube.com/watch?v=nvVkAQc2Am8

Prison Inmates Caring for Shelter Pets




 「自分に起きたことで最高の出来事じゃないかな。ここでやるべきことを見つけたって感じかな」。と語るのは、ワイリー・バンスコーター(22歳)だ。彼は大の動物好きだったが、薬物に溺れ、17歳のとき強盗で有罪判決を受けた。

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 ディクソン更生施設内にあるペン・パルズは、2005年に大きな被害をもたらした台風、「ハリケーン・カトリーナ」上陸後、しばらくしてから開設された。

 当時、動物保護団体ヒューメイン・ソサイエティでは、家を失った数百匹の動物を保護する場所の確保が喫緊の課題であった。そこで目をつけたのが、広大な敷地に、使用されていない納屋を持っていたディクソン更生施設である。そこには、動物好きの職員と受刑者がいた。

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 その後、ヒューメイン・ソサイエティの職員が受刑者の献身的な態度に感銘を受けたことから、同団体から7000万円ほどの資金が刑務所に提供され、恒久的な保護施設を作る運びとなった。このときの作業の一切合財は受刑者の手によるもので、2010年8月に無事オープンした。

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 ペン・パルズは、ルイジアナ州イーストフェリシアナ群全域を対象とする唯一の保護施設であり、およそ80匹の犬と10数匹の猫を保護している。医療設備や屋外アジリティコースも備え、過去4年半の間に犬625匹、猫451匹に終の住処を提供してきた。

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 受刑者は週7日間、一日中世話に追われており、ときには刑務所を離れて里親斡旋の手伝いをすることもある。受刑者と動物たちの間に育まれた絆はまさに革新的で、オレゴン大学の大学院生カルマリータ・アウフデルハイデはこれについて研究することにした。

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 「動物たちが施設にやってくるとき、彼らはとても怯えています。どこにいるのかも分からない見知らぬ環境で、刑務所に入れられたようなものです。受刑者も同じ気持ちを味わっているから、動物たちに共感して、愛情や理解を示すのでしょう。彼らは動物を抱いたり、撫でたりと、きちんと面倒を見て、よい生活を送らせようとします。自分が動物に与えているものと同じチャンスが欲しいのだと思います。」

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 ルイジアナ州立大学の獣医や学生たちは、受刑者向けの動物飼育講座を開いており、バンスコーターのように動物看護師の学位を取得しようとする者もいる。彼はワクチン接種、寄生虫や皮膚状態の検査のほか、基本的な医療行為を手がけるまでになった。元受刑者のマット・エルドリッジさんは、アニマルプラネットの番組『ピットブルズ&パロリーズ』のスタッフになっている。

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 「動物との触れ合いが始まると、受刑者は『そうか、必要なのは共感だったんだ』と悟ります。まあ、性犯罪者や動物を虐待した人間は雇いませんがね。そこでは問題になるので」。と刑務所職員のジョン・スミス。

 受刑者に多様な訓練を与えることに対して違を唱える者もいるそうだが、「受刑者はいずれ出所し、社会に戻ります。私たちは税金を使う人間ではなく、納税者を育てているのですよ」。とスミスは説明する。

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 身長180cm、体重90kg以上の大男バンスコーターが何より好きな時間は、チワワとテリアの小さな雑種犬と遊ぶ瞬間だそうだ。2018年に出所を予定する彼は、動物看護師として仕事を続けたいと希望しており、将来的には獣医になれたらと考えている。

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via:viralnova ・原文翻訳:hiroching