毎日新聞からです。

http://mainichi.jp/area/news/20130516sog00m040003000c.html



現場発:出所者 捨て猫育て更生


刑務所を出所した人の社会復帰や再犯防止を目的に発足した国内初の資源リサイクル会社「ヒューマンハーバー」(本社・福岡市中央区)に出所者が入社し、同社の更生プログラムがスタートした。飼い主がいない猫を出所者が育てることで心の安定を図り、社会復帰に役立てるシステム。社長で保護司を務める副島勲さん(72)は「全国の更生施設や刑務所に同様のプログラムを提案したい」と話している。【川上珠実】


 「まだ寝てるかな」。男性(32)は出社前、布団の中にもぐり込んでいた2歳の雄猫、カールを抱き上げて膝に乗せた。もう1匹、生後半年ほどの雌猫、ナミも飼っている。「カールは人なつこいからすぐに寄ってくるんです。ナミは人見知りだから知らない人がいると呼んでも出てきません」。男性はカールの頭をなでた。会社が用意した社員寮は44平方メートルの1LDK。小さなちゃぶ台の上に猫じゃらしがある。

 男性は昨年8月に服役を終えた。しばらく日雇いの建設現場で働いたが「刑務所にいたことを隠さずに働きたい」と訪ねたハローワークでヒュ社を紹介された。3月11日、ヒュ社初の更生支援対象者として入社した。

 幼稚園の頃、母親が家を出た。以降、児童養護施設で育った。今は毎朝5時に起きて弁当を作り、夕方までスクラップ工場で電線の被膜をはがす。

 男性は言う。「気持ちが落ち込んだ日も、部屋に帰ると2匹が膝に乗って甘えてくる。元気に遊んでいる2匹を見ていると、自分も前向きに頑張ろうという気になるんです。2匹ともかけがえのない家族のような存在です」。仕事に励むうち、上司との打ち合わせに呼んでもらえるようになった。「認めてもらっている」。自信も芽生えてきた。

 出所者が猫を育てながら社会復帰を目指す--。この仕組みができた背景には、ある出所者の思いがあった。保護司をしていた副島さんと出会い、ヒュ社の従業員になった男性だ。服役した経験から、特に若い受刑者が幼い頃に家族からの愛情を十分に受けずに育った人たちが多いと感じていた従業員は、米国で受刑者と犬がふれ合う更生プログラムがあると聞き、日本でもできないかと考えていた。




そんな時、福岡市を中心に捨て猫の飼い主探しをしているグループ「TNR-博多ねこ」代表の木本美香さん(50)と出会った。木本さんは従業員に「猫と暮らすことで更生につながるのではないか。殺処分される運命だった猫を守ることにもなる」と提案。指導役も買って出た。

 「これまでは仕事でも『無理』と思ったらそれ以上やらなかったが、頑張ろうと思うようになった。今は自分がどれだけ変われるのか楽しみ」。男性は社会復帰を目指す他の出所者に見てもらいたいと、パソコンを学んで猫の様子や自分の思いをつづったブログ(hトントンp://ameblo.jp/w-caトンs0311/)も開設した。今月、情報処理技能検定など資格取得に向けた勉強を始めた。

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 「ヒューマンハーバー」は昨年12月に設立された。社員は11人。出所後に仕事がない人や行き場がない人を原則として半年から1年間、社員として雇用。福岡県宇美町の工場で産業廃棄物の仕分けなどに従事し、資格取得の職業訓練教育を受ける。ヒュ社のように事業で収益を上げながら福祉や貧困などの社会的課題を解決する活動は「ソーシャル・ビジネス」と呼ばれる。

 ヒュ社が雇用を重視するのは、職の有無が服役者の出所後に大きく影響するからだ。法務省によると、2011年までの10年間に刑務所を出所した人の再犯率は、正社員やアルバイトなど有職者が7・4%だったのに対し、無職者は36・3%だった。

 再犯防止には心のケアも必要と言われる。麻布大獣医学部の太田光明教授(人と動物の関係学)によると、米国の多くの刑務所では受刑者が犬と触れ合う更生プログラムがある。太田教授は「かわいい、大事にしたい、と感じることは人間性の回復につながる。高い効果を上げるためには『介助犬を育てる』などの目的意識を持って動物と関わり、その過程を記録に残すことが大切だ」と話す。




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~転載以上~



日本でも、島根県の「島根あさひ社会復帰促進センター」で、将来盲導犬になる子犬を受刑者が育てるプログラムが実施されていますが、保護猫を育てるという、また新たな取り組みが始まりました。


猫たちの命を救うことができると同時に、愛情をもって命に接することで出所者の心の教育にもなり、それによって命の大切さを知り優しさを持つことができる。

動物たちを育てあげることで、責任や自尊心が芽生え、社会復帰しやすくする。

素晴らしいプログラムだと思います。


以前アメリカで行われていることは知っていたのですが、改めて調べてみたらアメリカ在住のMischaさんのブログに情報がありました。ぜひご一読ください~音譜


アメリカの刑務所で働く犬たち



そうしたら、実はMischaさんの記事の中で相談された方が、冒頭記事の会社で発案者としてプログラムを立ち上げられたのだそうです!



以前、アメリカの「プリズン・ドッグ・プロジェクト」を取り上げたニュースZEROの動画がありましたので、興味のある方は飛んでみてみてくださいわんわん


犬と囚人(刑務所) No.1


刑務所で活躍する犬たち


「プリズン・ドッグ・プロジェクト」は、全米の多くの刑務所で実施されている更正プログラムで、受刑者が保護施設に収容されている、虐待を受けたり捨てられて極度に怯えるなど問題を抱えた犬たちを訓練し、里親が見つかるようにするプロジェクト。中には殺人や殺人未遂など重犯罪を犯した受刑者もいますが、非常に高い再犯防止効果が出ているそうです。


ある受刑者は、

「俺は自己中心的で他人にも関心がなかった。犬のマリーと接して分かったのは、犬も人間も感情を持っているということ。相手のことを思いやることが大事だとわかった。マリーを素晴らしい犬にすることで飼う人を幸せにできる」と語っています。



Momoko-Hime's Blog 動物救援隊 外交官 ももこひめ




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