隣が24時間営業のコンビニで便利のようだが、納品搬出と深夜や明け方に流通トラックが出入りするのは結構煩いもんなのよね。

 自分は支払いとかMRTとか、たまに新聞買ったり煙草買う程度で他の物は買わないけど。けれど場所的には夜のご商売の方も多い地域だから真夜中にも需要があるんだろう。

 いつ頃からコンビニって言葉が使われるようになったんだろう。

 「コンビニエンス」って本来は“日用に供する食品・商品=コンビニエンス商品を扱う店”という意味らしい。80年代ごろかなぁ。それまでは、ただスーパーとか深夜スーパーって言い方をしてたんだっけ。

 60年代初めに、銀座にアメリカン・ファーマシーってドラッグストアができた。それまでに無い洒落た店で、当時の女学生達の間で人気があったのよね。その頃は銀座が遊び場でよくこの店にも寄った。

 薬から化粧品からアメリカングッズも売っていてTVドラマで見るアメリカのハイスクールギャルに憧れて髪留めやマニュキユアを買ったりしたけど、あの辺りとかソニービルの店などは雑貨の範疇なのかな。

 スペインには十数年前まではコンビニは無かった。マドリーの中心街でも、VIPSって韓国資本らしいドラッグストアが数店あって、酒や菓子類や雑貨を売ってレストランも併設してたけど。セブンイレブンがスペインで最初に見たコンビニで、夜は名前どおり11時には閉まってたね。

 日本に帰国して独りで療養していた頃、息子のスペイン人の友人が三ヶ月位、居候に来てた。彼は、銭湯とコンビニと漫画喫茶はスペインに無いから、マドリーにできないかなぁと嘆いていた。銭湯は無理だろうけど今はコンビニも多いだろうね。スペインも市場が減って、郊外大型スーパーが増えているようだし。

 それで、家の周辺を眺めると10分以内に行けるコンビニは8軒もある。系列はさまざまで、その8軒はかなり以前からあるんだけど。
街の中心に近いローソンが立て続けに2軒閉めた。地の利はそっちがいいはずで、人も入っていたのに、なんで閉めちゃったんだろうなと思っていた。

 コンビニは殆どがフランチャイズ(FC)方式で個人直営の店は少ないんだよね。駅の構内とかビルの中では持ち主経営のところもあるようだけど。セブンイレブンがシェア一位なのかな。

 苛烈な競争があって最近はイオン系列のマイバスケットも近くに3軒店舗をだした。ここは息子がオリジナルブランドが嫌いだとまず使わないけど、こんなに多くコンビニいらないよなぁと個人的には思う。

 それでなんでコンビニが潰れるかには、色々問題があるらしい。このフランチャイズ方式では元会社(本社)がオーナー募集をして個人の店舗を持っている人や、新しく事業を始めたい人が応募する。ローソンは初期には酒類販売できるように個人の酒店をターゲットにしたらしい。

 資金も融資してくれて、土地も捜して借りてくれたり最初の数ヶ月本社がテコ入れしてくれたりと、いい事ずくめのようなんだけどね。

 商工新聞にこの潰れるコンビニの問題点が書かれていたの。それは、FC本部によって借金を抱えさせられて逃げ場もない実態で。その根底にあるのが本部と加盟店の「不平等・不公平な契約関係」だってことなのね。

 コンビニは全国で4万数千店舗あるらしい、契約時には本部から平均売り上げ50万円とか説明されるんだけど、目標に達しているコンビニは半分もなく7割位は苦しい経営のようだ。

 その流れをみると。まず開店費用に数百万円掛かるよね。よほど資金があるか複数店舗を会社として経営してる人でなければ、たいていは本部に借金する。土地を借りる場合は本部名義。開店してもチェーンイメージを壊さぬようにと本部の厳しい指導が入るから、独自色は出せないのよね。均一化が本部方針で、効率的仕入れにかかわるからね。

 無理に通せば、仕入れを締められる。店が儲からなくても本部に高額のロイヤリティを持っていかれる。「最低経費保証」があってもこの経費にはオーナーの給与は含まれないから、売り上げが不足するとオーナーは人件費を浮かせるために自分や家族を動員せざるをえない。

 このときになって、不平等契約に気がつくんだよね。前に賞味期限ギリの商品を安く売ったとしてセブンイレブンの店舗と本社が揉めた事もあったよね。

 とにかくオーナーといっても、妻が店長とかの実態個人経営だから、売り上げ目標の為に人件費を削ろうと家族総出で朝から晩まで働く。家庭の時間も持てないで疲れて辞めたくても、そうなると契約違反金を1000万とか支払わなくてはならないから、辞める事も出来ない。

 契約が何故10年ー15年なのかやっと気づく。という話で、おやおや夢のオーナー生活どころか、それじゃまるで奴隷だよなぁ。

 それでも無事に営業して、それなりに繁盛したとして、契約満了になると、突然本部から「ご苦労様でした」の一言で、延長し無いことを告げられる。

 当然、土地契約も解除され仕入れもストップだよね。本部はね、開店資金を取り戻しロイヤリティ収入は得たし、市場調査も出来て痛むことは全くないけど。オーナーはびっくりだよね。

 そんで、その店舗がたまたま売上げが良く儲かってたら、本部は直ぐに近くに新しく1店出店する。市場調査済みだからね。
つまりは、本部にとってのお客様って、店に来て下さるお客様じゃ無くって、オーナーのことなんだよね。

 悲惨な一例として。あるオーナーが失ったものは、サラリーマン時代の退職金600万、国金から借りた500万.父親から借りた300万という金だけでなく、店舗経営失敗という信用や家族の崩壊だったという。全てがそうでないにしろ、気の毒というしかないよね。

 そういう実態は、大手FC会社が広告主の大スポンサーだから報道もされないし規制もされない。

 最大の問題は「FC法」が日本で制定されていないことのようだ。だから、裁判になってもコンビニFC業界が一人勝ちしている。ルールがないからだよね。

 なんだかTPPみたいな気もするけど、大型系列、大型資本は損はしないだろうが、中小つぶしってむごいよね。商店街の個人商店が次々潰れるのを眺めてもね。

スペインでは、中流意識を持つ人が半数を越えるって新聞でみたけど、今の日本ではどうなんだろうね。個人商店で賑わい、人のぬくもりのある商売って、無くなったら淋しいと思うんだけどなぁ。