語源はギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスからきてる言葉だよね。

 水面に映る自らの姿に恋をしたというエピソードで。ナルシシズムの人をナルシシスト (narcissist) と言うけど、日本ではナルシスト (narcist) という言葉が使われるよね。

 人は誰でも自分が好きで。自分を好きでなくなってしまうと自棄になって自殺したりすることさえある。自分を肯定して励まして自我を保とうとする事は悪いことではないんだよね。時には自己嫌悪になったりもあって、浮かれたりヘタれたりは人の気持ちの浮き沈み。

 人は、自分にとって関わりの深い人々から、承認され、称賛され、感謝されたい生きもんなのよね。それは自然なことだと思う。他愛無い言葉でもお世辞でも嬉しくなる。くそヴイッチとか言われて嬉しい人はいない。

 メンタルヘルスの臨床医ロジャー・ジルって人によると、「自分が大好きで、自分の言葉に酔いしれるタイプの人」と、ナルシシスト、「自己愛性パーソナリティ障害」(Narcissistic Personality Disorder)の人との間には、大きな隔たりがあるそうだ。

 自己愛性パーソナリティ障害の患者の特徴は、自分のアイデンティティを確立するのに他者からの承認を必要とするけど、他者への共感や他者と打ち解けることが難しい、他者と敵対する。という特徴が上げられるらしいが。

 携帯で自撮りして他人に見せて廻って満足するような人は、ナルシストとか言われても病ではないよね。

 誰もが、自分のことでいっぱいな状態ってのに罪悪感を覚えていたりして、人がそうしているのを見たり、ましてその相手が開き直っているのに嫌悪を抱くってことはある。あいつはナルシストだぜっ、とか悪く言ったりする。

 総理がナルシストだと罵る言葉をみて考えてみた。心理学者に云わせれば、本物のナルシシストを見極める上でわかりやすいのは、彼らは「認知のゆがみを指摘されるのに耐えられない」ということらしい。

 「自分は偉大である」という考えに疑義を挟まれたり、何であれ自分の見解に反論されたりすると、ナルシシストは何らかの形で感情を爆発させる。

 それに、過去の人間関係に「破綻の痕跡」とかあって。トラウマとか呼ばれる。ナルシシストには、近づいてきた人の感情を傷つける人が多いとか。ナルシシストには、誰かと本当に打ち解けた関係になれず、共感力の欠如のため関係を良くする行動が取れなかったりする。

 3つ目は、「自身の利益のために他者を利用する」という傾向で。自身にとってメリットのある結果が得られるのならば、そのための手段は何であれ正当化される。

 とにかく好都合なことは自分のおかげ、不都合なことは全て他人が悪いという考え方をする。他人に感情移入することができないので思いやりも無く、他人から見て感情の浅い人物に見えるという点でもサイコパスに近いね。サイコパスは自分にも他者にも共感を持てないと云う。

 ほむむ、どこかの独裁者の姿も浮かぶが、共感性を持てない人が世間には増えているような気もするね。それはある意味で自分に自信が持てないことの裏返しのようにも思える。周囲に過度な期待を持たれると起こる自信のなさとかもね。

 人は自分の鏡を持っていて、美しい面もシミシワもあることを見る。それを客観的に認識することは包括的に自分を知るってことだよね。

美しいということは善である、って広告がTVなどで蔓延していて。キミエホワイでシミを消してヒアルロンサン飲んで、たるんだ腹は締めなくてはならない、と脅かしてくるが。フン、カナシミも人生のシワも身のうちだぃと、サプリ脅迫には負けないあたしだ。

 自惚れ鏡で、俺って最高だぜとかにんまりしてても悪くないし。私も料理しては、美味しいわぁ、あちしって天才と自分を讃えて踊ってるようなのは罪がないけどね。

 でも病的なナルシシストとかが、金と力と権力握ったりするとすると悲劇だよなぁ。などと思う朝なのだ。