薬ですべてを失った

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 先日、ある男性(Sさん)からの話を聞く機会があった。

 Sさんは現在56歳。睡眠障害で12年前に精神科を受診し、現在は飲み続けてきた向精神薬の減薬を始め、その離脱症状にのたうちまわっているという。

 以前、ブログに紹介した「山桜さん」の記事に共感したといって、連絡をくださった。



精神科受診によって失ったもの

 12年前、当時44歳のSさんは営業職で、月200時間以上の残業をこなす超多忙の身だった。年収は800万円以上のいわゆるエリートサラリーマンである。

しかし、忙しさが続いたためか、夜眠れなくなってしまった。そこで、精神科を受診することになったのだが……。


「最初はアルコールの力でなんとか眠ろうとしたのですが、酒量が増えるだけでなかなか眠れない。その頃はいまの「睡眠キャンペーン」ではなく「アルコール依存のキャンペーン」のようなものが流行っていて、それで私もちょっと心配になって、うっかり精神科の門をたたいてしまったんです。

 病院からはハルシオンとロヒプノールが処方され、眠れるようにはなりました。アルコールを飲む習慣は続いていて、それでアルコールとハルシオンを一緒に飲んだんです。

それで、あるとき、夜中に中途覚醒して、自分ではまったく記憶にないのですが、無意識で車を運転して、気が付いたら事故を起こしていました。でも、自分がなぜその場にいるのかまったくわからない。どう考えてもわからない。アルコールだけではそんな状態にはならないはずです。

 でも、当時はそれが薬のせいとはわからず、私は飲酒運転で事故を起こした人間ということになりました。そうなると当然仕事にも影響してきます。

 社会的な信用を失って、それでもまだ何とか仕事は続けていました。でも、その頃にはすっかり薬の依存症になっていたんです。自分では依存症だなんて考えもしませんでした。でも、薬がないとやっていけない。だから、病院に行っては睡眠薬を処方してもらっていました。

そして、通院を続けているうちに、今度は医師が「うつじゃないか」と言いだして、抗うつ薬も処方されるようになったんです


 Sさんは医師に言われるまま、睡眠薬と抗うつ薬を飲み続けた。その結果、思考力がすっかりなくなってしまった。その状態は「山桜さん」の記事に書かれてあった症状に非常によく似ているという。結局、そのような状態ではミスも多くなり、そうれなば会社にもいずらくなって、結局、仕事を辞めることになった。

「仕事を失って、住宅ローンが払えなくなりました。それで、家を手放した。妻と子がいましたが、家族もそんな私に愛想を尽かして出ていきました。子供はもう30歳になっているはずですが、会うことはありません。結局、薬によって私はそれまで持っていたもの、仕事も家も家族もすべて失ってしまったんです。

いまは生活保護で暮らしています。小さな部屋に一人暮らしです。

薬はずっと飲み続けていました。やめられなかったんです。しかし、1年ほど前に決意して、抗うつ薬は断薬しました。それと、それまで飲んでいたレンドルミンとロヒプノールも、1ヵ月半くらい前から減薬して、いまは離脱症状の真っただ中です。

声が震えているでしょう。汗もすごいです。手足も震えています。全身に湿疹ができてます。グリーンフォーレストのホームページに書いてある離脱症状、その全部がいっぺんに出ている感じなんです。正直言って、辛い。こんなに辛いとは……死んだほうがましと思うくらいです……」



 Sさんは自分をそのような状態に陥れた精神科医を決して許さない、という。そして、眠れない、ただそのことだけで精神科を受診したために、人生がこのように破滅してしまったことが悔しくて悔しくてたまらない、と。



精神科医が中毒患者を作っている

「精神病院にも4回ほど入院しました。そのときに目の前で死んだ人を見ました。薬漬けになっている人は誤飲が多いんですが、その人も薬をのどに詰まらせて。結局、不適切な手当てを受けて、亡くなりました。病院で亡くなっているのですから、問題はおもてに出ません。でも、殺人と同じだと思います。

最初は力で拘束して、その後は薬で拘束する。精神病院でやっていることは、薬によって患者をロボトミー状態にさせているだけです。

街の精神科やメンタルクリニックでやっていることも同じようなものです。すぐに薬を出して、耐性がついて依存症になって、それでどんどん量が増えて、でも、医師からの説明は一切ない。効かなくなれば量を増やすことしかしない。そうやって私のような薬漬けを作り続けて、患者も、骨までしゃぶられるとわかっていても、薬ほしさにその医師に頼ることしかできないんです。

精神科医はただひたすら中毒患者を増やしているだけです。阿片戦争じゃないですが、向精神薬の中毒患者が増えて、この国は滅びてしまうかもしれません。本人が気が付いていないだけで、向精神薬の依存症になっている人はものすごい数じゃないですか。


いま、自殺予防キャンペーンとかいって、2週間眠れなかったら精神科を受診しましょうみたいなことをやっていますが、私から言わせたら、精神科を受診したら、そのとき自殺しないというだけのこと。のちのちはもっとぼろぼろの状態になっています。それで結局自殺するなんてことにもなりかねない。そして、その間、患者からがっぽり儲けてる奴もいるわけです」



薬は飲めば、一時的には楽になるかもしれない。しかし、楽になるというのは、単に認知能力が落ちるだけのことなのだ。脳をマヒさせるだけ。そして、長期使用すれば、脳は確実に破壊される。

これはあくまでもSさんの見解だが、向精神薬の影響は不可逆的だと言う。飲んだらもう元には戻らない。ロボトミーと同じ。だから、せいぜい1年。それ以上飲み続けてしまったら、後がたいへんになる、と。


「薬の血中濃度はせいぜい2~3週間でなくなると言いますが、向精神薬の場合、脳に作用しているので報酬系ができてしまっています。だから、たいへんなんです。止めることができない。依存になりやすい。そして、やめようとしたときの離脱症状は想像を絶しています。苦しいです。死にたいほど。これほど苦しいんだったら、死んだほうがましと、日に何度も考えます。

精神科の被害のなかで一番の被害は、そういう苦しさを味わわさせられ、しかもそこから他に逃れる場所がないということです。悲惨です。こんなに苦しいのに、逃げ込める場所がない。精神科医に助けを求めれば、さらに薬漬けにされるだけです。いま、処方薬依存に陥っている人間には本当に救いがありません。依存から抜け出させてくれる施設はごくわずかですし、離脱症状にしても手助けしてくれる組織が日本にはありません」



自分が何を仕出かすかわからない

「常用量を服用しているときも発作的に物を壊したりしましたが、私はいま、特に苦しいときは外に出ないようにしています。禁断症状で、自分が自分ではなくなっているから、自覚のないまま何を仕出かすかわからないからです。大阪で起きたネットカフェ放火事件の犯人もそうでしょう」


2008年に起きた、大阪の個室ビデオ店で放火事件(15人死亡という大事件)の容疑者、小川何某・46歳、男性は10数年前に離婚していた。かつて「子ども思いの優しいお父さん」と周囲にみられていたが、会社をリストラされてから人が変わってしまった。数年前から一人暮らしとなり、まもなく体調を崩して長期入院したこともあった。供述によると、生活保護を受けていることを恥に思っていたという。また、犯行当時は常用していた睡眠薬を2、3日切らしていて、精神的に不安定だった。そして、「生きるのが嫌になって」の犯行である。

 

もう死ぬしかないかもしれない

「いまは物がほとんど食べられない状態です。無理に食べると嘔吐してしまいます。体は日々衰弱しているのが自分でもわかります。このまま死んでしまうのか、それとも苦しさのあまり自殺するのか……。

私は今56歳です。身寄りもなく、このまま誰にも知られずに、地獄の苦しみにのたうちまわりながら一人で死んで行くのかと思うと悔しくて仕方ありません。自殺したって、あいつうつ病だったから死んだんだ、で終わりです。真実は誰にも伝えられないまま、すべては3万人分の1の、よくある自殺として処理されて終わりです。

今私は半分狂った状況で、暑さ、寒さも感じられません。判断力も、人に何かを伝える論理的な思考力もなくなりつつあります。完全に狂う前に何とか今までのことを話しておきたい、こんなことがあったという事実を残しておきたい、という一念です。本当にこのまま死んでしまうのは無念でなりません。

12年前、44歳だった私には妻子もいて、収入も安定し、家を建てたばかりでした。たまたま睡眠障害に陥って、精神科を受診しただけのことで、結果はこの通りです。社会的に葬られ、人生が破滅してしまいました。こんな理不尽なことはありません。仕事もキャリアも家も家族も、私はすべてを失いました。本当に、本当に、悔しいです。

でも、誰か一人でもいい、せめて、今までの自分のことを知らせて、真実を知ってもらいたい。

私は、これからはこのまま食事もとれず衰弱して死んで行くのか、その前に誰かに発見されて精神病院に収容されて終わるのか、自殺するのか……どちらにしても死んで行くしかありません。だから、これは私の遺言です。せめて誰か受け取ってくれる人がいればいいのですが……」



そして、Sさんは、最後に苦しそうな声で私にこう言った。

「啓蒙をお願いします。これ以上私のような被害者を増やさないためにも。向精神薬の恐ろしさ、精神科医のいい加減さ、精神医療の嘘……。よろしくお願いします」

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