以前、ブログで告知した「新生児薬物離脱症候群」についてのアンケート(締め切りは1231日)の結果をお伝えします。

それにしても、回答率が悪いです。

「子どもの精神医療を考える会」として行ったアンケートですが、個人的な資金と労力ということもあり、大々的なことは不可能……とはいえ、結果はちょっと呆れるものがあります。

回答率は2割に満たず……でした。

4つほどの項目に○をつけるだけの、しかも往復はがきを切って投函するだけの簡単なアンケートにもかかわらず、この結果です。

たとえば、これが大きな組織が行ったものなら、違った結果になったでしょう。が、それだけではなく、私には「新生児薬物離脱症候群」そのものに対する医療者の認識の低さが現れているように思えて仕方がありません。

 

産婦人科でさえ、52通送って、回答してきたのは8通です。

精神科は19通送って、たったの3通。

保健所は9通送って、3通。

小児総合医療施設は15通送って、4通。

 

傾向として言えるのは、「新生児薬物離脱症候群」を知っているところが回答をしてきた(つまり、回答のなかったところは、この症候群の存在さえ知らない可能性があるということです)。

産婦人科において、「新生児薬物離脱症候群」が広く世間に周知されていると思うかの質問では、

・知られている(3)

・知られていない(5)

また、向精神薬を服用している妊婦に「新生児薬物離脱症候群」についての説明をしているか否か

・している(2)

・していない(6)

 

産婦人科医が妊婦に説明をしていないというのは、いったいどういうことなのでしょうか。

以前、向精神薬を飲んでいるときに妊娠が発覚した女性は、結局、産婦人科と精神科を行ったり来たりさせられる羽目になりました。向精神薬については精神科医に聞いてくれという産婦人科医。妊娠と薬の関係については産婦人科医と相談をしてくれという精神科医……。まったく話になりません。

アンケートの中には、「妊婦さんの受容能にあわせて説明」と回答してきた病院もありました。あるいは「質問を受ければ説明する」という回答もありました。

しかし、「説明をしない」という回答が「説明をしている」という回答を上回っています。

そして、興味深いのは、精神科において回答があったのはたったの3通ですが、その3通ともに「説明をしている」という回答です。ということは、おそらく残りの16施設は「説明をしていない」、だから回答できない……。あるいは「新生児薬物離脱症候群」というものを知らない……のではないか……。

 

産婦人科の結果をさらにお伝えします。

*「新生児薬物離脱症候群」の子が生まれた場合、厚労省のマニュアル通りに治療を行っているか。

・行っている(3)……うち「新生児科に連絡する」(1)

・治療をしたことがない(5)

 

*「同症候群」を見落とされたことによりADHDなどの発達障害に誤診される可能性はあるか。

・ない(2)

・誤診もあり得る(5)

・その他(1)(わからない)

 

また、無記名のまま送り返してきたところがほとんどでした。(はがきの隅に番号を打ってありますので、送付先資料と照らし合わせれば、こちらにはどこが回答してきたかはわかります)。

自ら書いてきたところは、大阪市の淀川キリスト教病院、東京の国立成育医療研究センター、名古屋市子ども青少年局子育て支援課母子保険係、だけでした。

無記名のまま返信してくるということは、自分たちの行っている医療に対する自信と責任の程度の反映だろうと思われます。

ところで、送付先の一つ、国立成育医療研究センター内には「妊婦と薬情報センター」が設けられています。https://www.ncchd.go.jp/kusuri/

また、同様の施設は「四国こどもとおとなの医療センター」内にも「妊娠と薬外来」として相談窓口があります。

http://shikoku-med.jp/department/department_c/c_ninshinkusuri.html

 

当然とは思いますが、両者からは回答がありました。

ちなみに、回答内容は、成育医療研究センター

「新生児薬物離脱症候群」の治療をしたことが「ある」、この症候群は広く周知されていると「思う」、同症候群がADHD等に誤診されることは「ない」と回答しています。

また、四国こどもとおとなの医療センターの回答は、

「新生児薬物離脱症候群」は広く周知されていると「思う」、向精神薬を服用している妊婦に説明して「いない」、同症候群の子が生まれた場合「新生児科に連絡して対応」、同症候群がADHD等に誤診される可能性については「わからない」という回答でした。

 

小児科の結果は以下の通りです。

*「新生児薬物離脱症候群」の治療を行ったことがあるか否か

・ある(2)

・ない(2)

*「新生児薬物離脱症候群」は広く周知されていると思うか

・思う(1)

・思わない(3)

* 同症候群をADHDなどの発達障害に誤診される可能性があると思うか

・ない(1)

・あり得る(1)

・その他(2)(わかりません)

 

保健師さんの場合。

*「新生児薬物離脱症候群」が周知されているかどうか

・知られている(0)

・いない(3)

*向精神薬を服用している妊婦に説明をしているか

・している(0)

・していない(2)

・その他(1)(機会がない)

*誤診の可能性については3通とも「わからない」という回答です。(もしかしたら、この質問の意味さえ「わからない」ということかもしれません。)

 

精神科の結果

*「新生児薬物離脱症候群」は周知されていると思うか

・知られている(1)

・知られていない(1)

・その他(1)(不明)

*向精神薬を服用している妊婦に説明をしているか

・している(2)

・していない(0)

・その他(1)(質問されれば)

*同症候群をADHD等、発達障害に誤診される可能性はあるか

・ない(1)

・ある(2)

 

数が少ないので、これをもって総括することはできませんが、一つの印象として、「新生児薬物離脱症候群」の認知度の低さです。医療者、しかもその薬を処方する精神科医がどれほど知っているのか、妊婦を診る産婦人科医がどれほど知っているのか……かなりお寒い状況のようです。

そもそも「離脱症候群」という状態を新生児に認めるということは、それを飲んでいる患者の離脱症状を認めることにつながりますから、「いくら飲んでも安全な薬、依存もなくすぐにやめられる薬」として処方されるベンゾジアゼピン系薬物の離脱を、新生児にだけ認めるなど「論理的に」あり得ないわけです。

精神科で回答をしてきたのは一応国立でいうと「さいがた医療センター」と「大阪医療センター」です。

国立病院機構の名古屋、相模、水戸、長崎、九州、小平(国立精神神経医療研究センター)、災害(災害医療センター)、岡山、東京医療センター、福山、呉、鳥取、大和からの返事はありませんでした。

まさか、国立の医療センターで「新生児薬物離脱症候群」を知らないわけないと思いますが、一応、国立ということで名前を出すことにしました。

 

ご協力してくださった方に(ほとんどお任せしました)、感謝いたします。

ありがとうございました。