水イボについて、その1、 その2、 その3 で、色々とつづってきました。
日々の診療を通して得られた知見も確かに多いのですが、
わが子の治療で経験したことも、大きく影響しております。
はい、うちの長男、次男、二人とも水イボ経験者です。
長男(現7歳)は、1歳を過ぎたくらいのころから、腕や足にぽつぽつとしたイボが出始めました。
自分にとって1人目のこどもですし、当時、私は形成外科医としての仕事しかしていませんでしたから、
「なんじゃこりゃ?」
という程度の認識でした。
医学部時代、皮膚科の授業で「伝染性軟属腫(=水イボ)」というものの存在は勉強していたはずですが、
主に重症の患者さんが集まる大学病院の臨床実習で、水イボの患者さんを見ることは、まず、ありません
でもまあ、医者なので、このぽつぽつは何らかの皮膚病なのだろうなということは想像がつきますし、
母親としても気になるので、たまひよ育児書の「こどもの皮膚病」ページで調べてみたりしました。
ええ、医者ですけど、たまひよ見ますよ?
だって教科書よりも、必要な情報がコンパクトにまとまっていて便利なんです。
で、どうやらこれは水イボらしいと判明。
長男を連れて、近所の皮膚科を受診しました。
やはり診断は水イボ。
当時はまだ水イボに保険適応のなかった麻酔テープを数枚渡され(自費で購入)
「テープを小さく切って、処置の1時間くらい前にイボのところに貼って、連れてきてくださいね。」
と言われました。
長男の体には、少なくとも20か所以上の水イボがその時すでに出来ていましたし、
テープは2枚しかなかったので、ちょっとでもたくさん取ってほしかった私は、
それはそれは細かくテープを切り、
形成外科医の技を駆使して、ちっさいピンセットで一つ一つに丁寧に貼りました。
……はい、皆様もうお気づきですね。
麻酔テープは、そんなに細かく切り刻んではいかんのです
でも、教えてくれなかったのよ~、誰も!小さく切ったら駄目だなんて!!
当然の如く、ピンセットで水イボを取り始めるや、長男号泣
うちの長男は、自慢じゃありませんがそれはそれは泣き声がデカイ
たじろいだ皮膚科の先生は
「・・・・・じゃあ、後は、液体窒素で治療しましょうね!ねっ!!」
そう言って、手足のイボ治療に使う、液体窒素に浸した綿棒を、長男の残りのイボに押し当て始めました。
そして・・・号泣アゲイン
だって!その綿棒ときたら、明らかに水イボよりもはるかにでっかいんですもの!!
貼ってきたちびちびテープの範囲をオーバーした綿棒を押しあてられたら、そりゃ痛いって
さすがにここにきて私も見ていられず
「すみません…もういいです」
と、お願いしました。
先生も、号泣長男に多少辟易していたのでしょう。そうですね、じゃあまた今度、という感じですぐに解放されました。
その後、綿棒を押し当てられたところには、直径5mm超の色素沈着ががっつり生じ、しばらく取れませんでした完全に消えるまで1年くらいはかかったかな?
長男の治療はどうなったかと言うと、その皮膚科に再び水イボで受診することはありませんでした(当たり前じゃ)。
で、次回受診時用に渡されていた麻酔テープを使いながら、家に置いてある細いピンセットでちょこちょこ取りました。私がピンセットで取ったところは、全く色素沈着を生じませんでした。
保育園1歳児クラスの夏のプールまでには治らず、おひとり様用のビニールプールで隔離されての水遊びでしたが、本人全く気にすることなく、むしろ行水モードで悠々自適(笑)
夏が過ぎるころから新しい水イボは出来なくなり、翌年のプールはみんなと一緒に大きいビニールプールで遊んでいました
以上が長男を通した水イボ体験談です。
出来始めからカウントすると、完治まで1歳半~2歳半の約一年間かかった感じです。
患者の親としての経験は、今の診療にひじょ~~~に役立っております。
ありがとう、長男!
そして次回は、体験談 次男編。
これがまた大変でした・・・・・
そのうち更新するので、良かったら読んでやってください。
それでは、また