関数方程式の問題 | ユークリッド空間の音

関数方程式の問題

「関数f(x)が、次の①、②を満たしている。

 ①f(0)≠0である。

 ②すべての実数x、yに対して

  f(x)+f(y)=2f([x+y]/2)・f([x-y」/2)

 が成立する。

f(p)=f(q)のとき

 (1)f(0)=1を示せ。

    O樽商科大」

 

  f(x)+f(y)=2f([x+y]/2)・f([x-y」/2) …(A)

 

とおく

 

関数方程式の問題は

・具体的に変数に数値を代入して手掛かりを探す

・関数を決定してしまう(微分の定義・微分方程式の利用など)

などの攻め手が考えられる

 

(1)に関してはf(0)を求めたいので

変数に0を代入するのが第一方針

 

 x=0、y=0を(A)に代入し

 

  f(0)+f(0)=2f([0+0]/2)・f([0-0」/2)

  2f(0)=2{f(0)}2

  2{f(0)}2-2f(0)=0

  2f(0){f(0)-1}=0

  f(0)=0、1

 

仮定よりf(0)≠0なので

  f(0)=1

 

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他の手でもいけそう

 

(A)式でxとyの値が同じならば

右辺の「f([x-y」/2)」の部分が「f(0)」となる

 

 x=x、y=xを(A)に代入し

 

  f(x)+f(x)=2f([x+x]/2)・f([x-x]/2)

  2f(x)=2f(x)・f(0)

  2f(x)・f(0)-2f(x)=0

  2f(x){f(0)-1}=0

  f(x)=0 または f(0)=1

 

ここでf(x)=0は仮定のf(0)≠0に反するので不適

 

  ∴f(0)=1

 

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「(2)f(p+q)+f(p-q)をf(p)を用いて表せ」

 

改めて

 

  f(x)+f(y)=2f([x+y]/2)・f([x-y」/2) …(A)

  f(p)=f(q) …(B)

  f(0)=1 …(C)

 

(A)からf(p+q)とf(p-q)を作り出すには

 

 ⅰ)(A)式にx=p+q、y=p-qを代入する

 ⅱ)(A)式にx+y=2(p+q)、x-y=2(p-q)を代入する

 

ⅰ)を実行

(A)式にx=p+q、y=p-qを代入し

 

  f(p+q)+f(p-q)

     =2f([(p+q)+(p-q)]/2)・f([(p+q)-(p-q)」/2)

     =2f(p)・f(q)

     =2f(p)・f(p) (∵式(B):f(p)=f(q))

     =2{f(p)}2 …(D)

 この解き方で行けましたね

 

ⅱ)を試してみます

(A)式においてx+y=2(p+q)、x-y=2(p-q)を代入する

このときこの2式は

x=2p、y=2qになることに注意し

 

  f(2p)+f(2q)=2f(p+q)・f(p-q) …(E)

 

これはf(p+q)とf(p-q)が

右辺で積の形で出てしまい

目的の和の形にならないので不便そう

 

左辺のf(2p)、f(2q)も既出の式と結び付けられず

f(2p)、f(2q)を他の文字・関数で表現するのには

もうひと手間がいる

 

まあそれならその「ひと手間」を

掛けてみましょうという話

 

(A)からf(2p)とf(2q)を作り出すには

 

 a)x=2p、y=2qを代入する

 b)x=2p、y=2pを代入する and x=2q、y=2qを代入する

 c)x=2p、y=0を代入する and x=2q、y=0を代入する

 

a)のx=2p、y=2qの代入は

そもそもⅱ)の選択肢の最初で使っているので

実行すると振り出しに戻る

 

b)のx=2p、y=2p(x=2q、y=2q)の代入は

(1)を解いた際に2番目に用いたものと同様に

x、yに同じ値を代入する式なので

これも振り出しに戻る

 

c)を試行

(A)式においてx=2p、y=0を代入し

 

  f(2p)+f(0)=2f([2p+0]/2)・f([2p-0」/2)

  f(2p)+1=2f(p)・f(p) (∵式(C):f(0)=1)

  f(2p)=2{f(p)}2-1 …(F)

 

同様にして

 

  f(2q)=2{f(q)}2-1

  f(2q)=2{f(p)}2-1 …(G) (∵式(B):f(p)=f(q))

 

(F)、(G)を(E)「f(2p)+f(2q)=2f(p+q)・f(p-q)」に代入し

 

  2{f(p)}2-1+2{f(q)}2+1=2f(p+q)・f(p-q)

  4{f(p)}2-2=2f(p+q)・f(p-q)

  2{f(p)}2-1=f(p+q)・f(p-q) …(H)

 

んー、やはり「f(p+q)+f(p-q)」の形は出てこないか

 

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「(3)f(p+q)=1またはf(p-q)=1が成立することを示せ。」

 

(2)でⅱ)の方法にて深入りしていないと

手元には以下の手掛かりがそろっているはず

 

  f(x)+f(y)=2f([x+y]/2)・f([x-y」/2) …(A)

  f(p)=f(q) …(B)

  f(0)=1 …(C)

  f(p+q)+f(p-q)=2{f(p)}2 …(D) (←(2)で求まった)

 

(D)はf(p+q)とf(p-q)を含んで有用そうだけれど

これ一式だけで(3)は攻められそうにない

 

となると

(2)で(A)式にx=p+q、y=p-qを代入して(D)を出したように

同じく(A)式にx=p-q、y=p+qを代入しても

似た式がでるんじゃないの?

と睨んでみる

 

(A)式にx=p+q、y=p-qを代入し

 

  f(p-q)+f(p+q)

     =2f([(p-q)+(p+q)]/2)・f([(p-q)-(p+q)」/2)

     =2f(p)・f(-q) …(I)

 

(D)と(I)を並べてみよう

 

  f(p+q)+f(p-q)=2{f(p)}2 …(D)

  f(p-q)+f(p+q)=2f(p)・f(-q) …(I)

 

(D)-(I)より

 

  0=2{f(p)}2-2f(p)・f(-q)

  2{f(p)}2-2f(p)・f(-q)=0

  2f(p)・f(q)-2f(p)・f(-q)=0 (∵式(B)f(p)=f(q))

  2f(p){f(q)-f(-q)}=0

 

  ∴f(p)=0 または f(q)=f(-q) …(J)

 

これはある意味有用そうな手掛かりが出たけれども

(3)の狙いである「f(p+q)=1またはf(p-q)=1」とは

ちょっと遠い

活用しようとすれば今の結果を(D)や(I)に代入する手があるが

f(p)=0の場合は(D)と(I)のどちらに代入しても

 

  f(p-q)+f(p+q)=0 …(K)

 

となりまだ手数が足りない

f(q)=f(-q)の場合は(D)と(I)が同じ式になるだけ

 

 

ここで方針を再確認

「f(p+q)=1またはf(p-q)=1」を示すには

 1)既存の式を変形してf(p+q)やf(p-q)の値のわかる方程式を狙う

 2){f(p+q)-1}{f(p-q)-1}=0であることを示す

 

1)を用いる場合は現在手元にある有用そうな情報は以下のとおり

 

  f(p+q)+f(p-q)=2{f(p)}2 …(D)

  f(p-q)+f(p+q)=0 …(K)

 

これは言い換えれば「f(p+q)」、「f(p-q)」、「f(p)」の

「3変数」の2式の方程式と同じ

形を工夫してもやはり1文字が邪魔

 

では(2)で深追いの末に求めてみた手掛かりを加えてみる

 

  f(p+q)+f(p-q)=2{f(p)}2 …(D)

  f(p-q)+f(p+q)=0 …(K)

  2{f(p)}2-1=f(p+q)・f(p-q) …(H) (←深追いの成果)

 

これは(D)と(H)を用いると「f(p)」が消去できる

 

(D)+(H)より

 

  f(p+q)+f(p-q)+2{f(p)}2-1=2{f(p)}2+f(p+q)・f(p-q)

  f(p+q)+f(p-q)-1=f(p+q)・f(p-q)

  f(p+q)・f(p-q)-f(p+q)-f(p-q)+1=0

  {f(p+q)-1}・{f(p-q)-1}=0

  ∴f(p+q)=1 または f(p-q)=1

 

今の解法はそのまま進めようとすると

(2)のⅱ)のc)でやったとおり

いったんf(2p)、f(2q)を求める作業が必要

誘導なしでは相当な試行錯誤か発想が必要そう

 

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 2){f(p+q)-1}{f(p-q)-1}=0であることを示す

 

を方針にしてみます

 

f(p+q)=1またはf(p-q)=1は

{f(p+q)-1}{f(p-q)-1}=0と同値なのでこれを示す

 

  {f(p+q)-1}{f(p-q)-1} …(L)

 

とおく

 

(L)について

 

  {f(p+q)-1}{f(p-q)-1}

          =f(p+q)f(p-q)-f(p+q)-f(p-q)+1

          =f(p+q)f(p-q)-{f(p+q)+f(p-q)}+1 …(M)

 

ここで2項目の「f(p+q)+f(p-q)」の値は

 

  f(p+q)+f(p-q)=2{f(p)}2 …(D)

 

が使える

問題は1項目の「f(p+q)f(p-q)」だが

この値を求めるにはどうすればいいか

 

もう一度(A)を眺めてみる

 

  f(x)+f(y)=2f([x+y]/2)・f([x-y」/2) …(A)

 

求めたいのはf(x)にx=p+q、p-qを代入した式の

積の形

ならば(A)の右辺をf(p+q)f(p-q)の形へと変形する

 

(A)式にx=2p、y=2qを代入し……とすると

これは(2)のⅱ)の「深追い」でした作業と同じ

 

  f(2p)+f(2q)=2f(p+q)・f(p-q) …(E) (再出)

 

とすると今度はf(2p)、f(2q)の値が必要

これも(2)のⅱ)の「深追い」でした作業と同じ

 

(A)式においてx=2p、y=0を代入

またx=2q、y=0を代入して整理し

 

  f(2p)=2{f(p)}2-1 …(F) (再出)

  f(2q)=2{f(p)}2-1 …(G) (再出)

 

(F)、(G)を(E)に代入し

 

  2{f(p)}2-1+2{f(p)}2-1=2f(p+q)・f(p-q)

  f(p+q)・f(p-q)=2{f(p)}2-1 …(N)

 

(D)、(N)を(M)に代入し

 

{f(p+q)-1}{f(p-q)-1}=f(p+q)f(p-q)-{f(p+q)+f(p-q)}+1

                 =2{f(p)}2-1-2{f(p)}2+1

                 =0

 

  ∴f(p+q)=1 または f(p-q)=1

 

{f(p+q)-1}{f(p-q)-1}=0であることを示す解法は

左辺の形を設定してしまえば

必要な手掛かりがおのずと見えてきますね

 

左辺を展開するとf(p+q)・f(p-q)の形が出てくる

  ↓

f(p+q)・f(p-q)を求めるためには

f(2p)とf(2q)の値が必要

  ↓

そのf(2p)とf(2q)の値は結局{f(p)}2を用いて表される

 

この道筋を完成させるために

x、yに何を代入するかを考えてみる

 

となれば見通しが立ちやすそうです