腰越駅 から、鎌倉行き列車の2両目に乗り込む。
すぐさま、前面展望をかぶりつく為に、乗降のできない1両目に移動する。
満員の車内であるにも関わらず。
発車してしばらくは、密集した住宅の隙間をすり抜けるように進んでゆく。
左に大きくカーブが始まると、進行方向右側の景色が徐々に開けてくる。
そしてカーブが終わる直前まで来ると、車内のあちこちから歓喜の声が聞こえ始める。
渋滞中の国道の向こう側に、一面の海景色が広がった
ここから列車は国道134号線と、そして湘南の海岸線と並行して走って行く。
国道134号のこの付近は慢性的に渋滞が発生するため、車内からノロノロと運転している車を見ると、優越感を感じる。
江ノ島~腰越間の併用軌道とともに、ここは間違いなく江ノ電を象徴する光景の1つである。
車窓は、前面にかぶりつくよりも、進行方向右側の窓にかぶりついた方が楽しめるだろう。
晩秋という季節だが、海にはたくさんのサーファーが駆り出している。
この車窓の為に、私は快晴の日を選んで、江ノ電阿房列車を走らせたのだ。
しかし列車は、何事も無いかのように、真っ直ぐ伸びた線路の上をひた走って行く。
どこまでも続く水平線を眺めていると、知らぬ間に次の駅に到着した。
「鎌倉高校前(かまくらこうこうまえ)駅」
単式ホーム1面1線を有する無人駅。
駅名の通り、近くには鎌倉高校が立地する。
ホームに降り立ち、列車が過ぎ去ると前面に「これでもか」と言うほどめいっぱい、湘南の海が広がる。
ここにいるだけで癒される。
ホームから望めるこの景色は、まさに財産である。
右側を眺めてみると、江の島の姿も見ることができる。
潮風による錆を防ぐためのものであろうか?
この素晴らしい景色が望めることから、この駅は「関東の駅百選」に選定されている。
ここで、駅を少し離れ、非常に有名な景色が望めるスポットに移動する。
駅から東に移動し、踏切のある場所で少し北に向かい、今来た道を振り返ると、
踏切の向こうに、太平洋が広がる。
この景色はいろんな書籍やテレビ番組に使われており、「この景色、見たことがある」という方は少なくないだろう。
アニメ「スラムダンク」のオープニングにも、この景色が使われている。
しかし列車が入った景色でないと、少々寂しさを感じてしまう。
という事で、藤沢行き列車が来るのを待って撮影してみた。
逆光になってしまったのはご愛嬌ということにして頂きたい。
いつまでもこの場所に居たかったのだが、阿房列車の旅はまだ半分も終わっていない。
仕方なく、次の駅を目指すのであった。