足利駅から、両毛線で桐生駅まで移動。
そこから、上毛電鉄西桐生駅まで、徒歩で「北へ」移動する。
以前わ鐡と上電に乗った時
と同じ道を歩くわけだが、今日は様子が違う。
桐生駅から、見た目は明らかに鉄道マニアとわかる人物が何人か、足早に西桐生に向かっている。
彼等に続いて私も西桐生駅に到着。
木製の柵の有人改札を抜けると、2番線に既に一両編成の車両が、出発を待っていた。
臨時列車「デハ101」
これが本日のメインイベントとなる。
上電のオリジナル車両で、シンボル的存在だ。
車体には、紫の群馬DCのヘッドマークが掲げられている。
見た目は明らかに骨董車両で、鉄道博物館で展示されていても全く遜色無いような車両だ。
茶褐色の車体は、子供の頃鉄道車両百科で見た、旧国鉄クモハ12を思い出す。
しかし上電オリジナルのこのデハは、クモハ12よりも歴史が長いらしい。
何でも、上電開業当初(昭和3年)から使用されてきた車両らしい。
今はイベント列車として余生を過ごしていると言う。
それにしても、このような車両がまだ現役で走っているのというのは、驚きよりも嬉しい気持ちが勝る。
車体の横には、昔懐かしいホーローのサボが掲げられている。
サボには「西桐生-中央前橋」と書かれているが、今日のデハ101の運行は、西桐生-大胡までの区間を走るとの事。
早速車内に入ってみると、ロングシートの70パーセントほどは既に埋まっていて、乗客は鉄ヲタしかいないようだ。
車内の壁は木造、さらに床は板張りで、歩くと板が軋みそうだ。
車内広告は昭和初期と思われる広告が掲げられている。レプリカだろうか?本物だろうか?
車両の出入り口の上には、上電の昔の路線図が掲げられている。
これは開業当時のものだろうか?
「新大間々駅」とは、今の「赤城駅」なのだろうか?
車内を見るだけで、なかなか楽しめる。既に車両自体が博物館と化しているような印象だ。手入れも隅々まで行き届いている。
楽しんだところで、車内にあるスタンプを手に入れてからシートに着く。
シートはクッションが深く、なかなか坐り心地が良い。
今の通勤形電車・近郊形電車のシートに比べれば、昔のほうがよっぽど親切に造られていたことがよく分かる。
E231系のクロスシートは座り心地は大したことないので、無理して座りたいと思わない。
しかし115系のクロスシートは座り心地が良いので絶対に座りたい。
できれば一つのボックスに与えられている4人分のシートを独占してしまいたくなるくらいだ。
8時55分
デハ101はたくさんの鉄ヲタを乗せて、大胡に向け出発した。
非常に独特なモーター音を鳴らしてデハは進んでゆく。
その走りは意外と力強いもので、スピードも乗っている。
まだまだ現役でやれるのではないか?
しかし、もちろんエアコンなどは付いていない。
天井に着けられた扇風機と、窓を開けることによって涼を得るしかない。
さらに、この車内に入った時から気になっていたが、ニスだろうか?油だろうか?車内に匂いが充満しており、生まれつき喉の弱い私は時々むせこんでしまっていた。
首を真横に向けて車窓を眺めようとしたら、その時丁度咳が出てしまい、隣に座っていた乗客に咳をかけてしまった。
私は丁重にその人にお詫びした。
西桐生から30分余りで、終点の「大胡(おおご)駅」に到着。
島式ホーム1面2線を有するこの駅は、駅員が常駐しており、上電の主要駅として扱われている。
駅に隣接して上電唯一の車両基地があり、木造の大胡電車庫は、駅舎等とともに国の登録有形文化財として登録されている。
これから車庫の見学会があるということだったが、時間の関係で参加してる暇は無かった。
スタンプだけ手に入れて、非常に後ろ髪ひかれる思いで、西桐生行き列車に乗り込んだ。
乗った車両は、1か月前に乗った風鈴電車であった。
大胡から20分で、「赤城(あかぎ)駅」に到着。
ここは東武桐生線との接続駅で、ここから特急「りょうもう」に乗れば、乗り換え無しで浅草まで行くことが可能だ。
駅舎は近代的な作りで、売店も併設されている。