こちらあみ子/今村夏子 | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

ページ数:199P
発売日:2011年01月

 

あみ子は、少し風変わりな女の子。
優しい父、一緒に登下校をしてくれ兄、書道教室の先生でお腹には
赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。
純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を
少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、
第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。
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初めましての作家さん。

Mirokuさんにいただいた本です。

↑Mirokuさんのレビュー

 

文学賞受賞系の作品は苦手でした。
というか、滅多に読まないけれど、理解できなかった。
だから苦手意識が定着していたんだけど
リスク(肩凝りと本が大きくて邪魔)覚悟で強行した
単行本消化月間に自画自賛です。

 

読み始め、(; ̄ー ̄)...ン? と思います。
あみ子の行動に違和感を覚えます。
これが風変りってことなんだろうか・・・と。

 

そしてすぐに気付きます。
著者の言うところの風変りの意味を。

 

あみ子の行動は全てが自分の思いに忠実で真っ直ぐ。
見たい、聞きたい、知りたい、という思いを直ぐに実行する。
それがいけないと言われていた事でも、言葉の隙間を探して
実践してしまう。
話したい、聞いてほしい、何かをしてあげたい。
あみ子の心理描写から、無邪気で優しいっていうのがよくわかる。

 

けれど、その全てがあみ子だけの思いであって、
行動した結果を想像する事があみ子にはできない。

あみ子が一生懸命何かを伝えようとする度に
やるせない思いがこみ上げて悲しくなってしまう

 

タイトルの意味を知った時、切なくなりました。
それでもちゃんと見てくれている人はいる。
それだけが救いでした。


普通という意味を考えてしまいます。
風変りな子をいじめるのは「普通」なんだろうか
一人では何もできないくせに・・・
そういう奴に限って群れたがる。
普通の面を被った、普通じゃない人々。

 

そういうのを含めてシビアに淡々と綴られたお話し。
周りの思いに関係なく、あみ子は今日も優しくて楽しいのだろう。