歌麿殺贋事件/高橋克彦 | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ数:274P
発売日:1991年03月

 

歌麿の「幻の傑作」が発見された?
美術界をゆるがすかもしれぬ事件に雑誌編集者の杉原は勇み立ち、
研究家の塔馬双太郎の助力をたのむ。
しかし、それは巧妙な贋作だった。
そして思いがけず、歌麿は謎の絵師写楽でありえたことまで証明されて…。
浮世絵ミステリの白眉といえる秀作。
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初めましての作家さん。
歌麿の浮世絵に絡んだ連作短編集です。
タイトルから、歌麿の贋作に絡んだ殺人事件かと思ってましたが
違ってましたぁ~。
いや・・・ハズレでもないんだけどね(^◇^;)

 

北森鴻さんの陶子堂シリーズを連想しましたよ。
長編よりも、短編集の緋友禅の方に近いかな?
そうなんです。ここでも狐と狸の化かし合いが勃発。
偶然とはいえ、この前読み終わった本でも
狐と狸の化かし合いがあったので、続くと嬉しい(○ ̄m ̄)

 

メインキャラは、美術雑誌の編集者である小太りの杉原と
持ち込まれる情報の真偽を確かめるべく助けを求める
私立大学で近世庶民文化史を講義している研究家の塔馬双太郎。

 

陶子堂シリーズと違うのが、骨董商同士の化かし合いじゃないこと。
研究家は美術商と商談をしてはいけないらしい。
なんせ狐や狸の巣窟だから、下手に係わると危険なのである。
信用問題なんです。名前に傷をつけられる恐れがあるんです。

 

あの手この手で騙そうとする輩をいかに煙に巻くか。
騙しのテクニック合戦って感じなのです。
どちらも実に巧妙な罠を仕掛けます。
もちろん歌麿の蘊蓄もありで、これがまた面白い。
歌麿だけでなく、研究家のことも取り上げられていて
これは本当の話なのか?と思ってしまうほどなんですぅ

 

まさに浮世絵ミステリ。
騙しの攻防もたまりません。
ジリジリと迫りくるというよりも、そうだったのかぁ~って
後から種明かしされるみたいな感じ。
浮世絵の蘊蓄というか、贋作についての蘊蓄と言った方がいい感じ。
騙し方にも色々あるのねぇ~
いやぁ~面白かったぁ~♪