金雀枝荘の殺人/今邑彩(いまむら あや) | mokkoの現実逃避ブログ

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ページ数:364P
発売日:2013年10月

 

完全に封印され「密室」状況となった館で起こった
一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。
事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは
推理合戦を繰り広げる。
そして、また悲劇の幕が開いた…。
恐怖と幻想に満ちた本格ミステリー。
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翠香さんのレビューを読んで購入した本。
1年寝かせておりました(^◇^;)

 

最初に見取り図が付いていたので、館ものだぁ~と思ったのですが
館を想像しやすくするだけで、そこにトリックは使われないです。
そして冒頭の「序章という名の終章」
読みながら、最後にこれが誰なのかがわかるんだなと
きっと誰もが思ったはず。

 

クリスマス間近の冬。
田宮弥三郎によって建てられた金雀枝荘に
ひ孫達が集まっていたのだが、楽しい時間は
突然の惨劇により管理人と5人のひ孫が惨殺された。
密室での殺人、そして『狼と七匹の子やぎ』をなぞらえた
見立て殺人。

 

血縁者6人が殺された1年前の惨劇の真相を解き明かすために
残されたひ孫達が集まった。
ひ孫の一人は霊感少女を伴って参加し、途中から乗っていたバイクが
故障したと言って、フリーライターの男が加わり謎解きが始まる。

 

1年前に起こった惨劇は、実は70年前にも
館の管理人一家3人が心中する事件が起こっていた。
2つの事件には関連はあるのか?
そして、またしても惨劇が繰り返されようとしていた・・・


過去と現在が行ったり来たりするので、最初は混乱しました。
集まったひ孫達が推理を披露してはいるものの
結局は途中参加のフリーライターが探偵役になり
過去の事件を読み解いていく。

 

田宮弥三郎とドイツ出身の妻。
出産していながら、子供を置いて突如帰国した妻。
屋根裏部屋から出てきた妻の肖像画。
曾祖父の時代の話から、別の疑惑が浮上してくる。
そこから導かれた答えは認めたくないものであった。

 

が、話はそれだけでは終わらない。
ところどころで登場する語り手の呪いという言葉
繰り返される惨劇の狙いとは・・・

 

少しずつ、少しずつ真相に近づいて
それでも犯人を名指しするわけでもなく
嵐の館の中で疑心暗鬼に囚われ、突如動き出した狂気に
パニックに陥る
その怒涛の展開とドンデンガエシにやられましたぁ~

 

ホラーチックで、幻想的で、緊張で縛るところと
緩め具合が絶妙で、殺人の動機と執念が凄まじく
そして哀れでした。
久しぶりにミステリを堪能したって感じです。
霊感少女の扱いは、もう少し何とかできなかったのか・・・
そりゃないよぉ~って感じでしょうか(^◇^;)

 

そして、最後に冒頭の「序章という名の終章」を読むと
泣けます。
心臓バクバクして面白かったぁ~

 

金雀枝荘(by wiki)