20世紀の幽霊たち/ジョー ヒル | mokkoの現実逃避ブログ

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20世紀の幽霊たち (小学館文庫)/ジョー ヒル
¥1,008 Amazon.co.jp
ページ数:699p
発売日:2008年09月

奇妙な噂がささやかれる映画館があった。
隣に座ったのは、体をのけぞらせ、ぎょろりと目を剥いて
血まみれになった“あの女”だった。
四年前『オズの魔法使い』上映中に一九歳の少女を襲った
出来事とは!?(『二十世紀の幽霊』)その他、
ある朝突然昆虫に変身する男を描く『蝗の歌をきくがよい』
段ボールでつくられた精密な要塞に迷い込まされる
怪異を描く『自発的入院』など…。
デビュー作ながら驚異の才能を見せつけて評論家の激賞を浴び、
ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、
国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞した怪奇幻想短篇小説集。
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二度目ましての作家さん。デビュー短編集だそうです。
Mirokuさんに頂いた本です。
そういえば日本初紹介長編「ハートシェイプト・ボックス」も
Mirokuさんに頂いてました(^◇^;)
前回の長編は、あまり怖くなかったんですよね。
ちょっと長すぎるとも思ってたんですが、今作は面白かったです。

恐怖には、色んな種類があるっていうのがよくわかります。
まんまホラーだったり、幻想的だったり、感傷的だったり、
そのほとんどが不安定だった子供時代の経験が
元になってるような気がしました。
ある意味、トラウマ?
子供って色んな事に敏感で、ちょっとした事でも
深く考えて傷ついたり落ち込んだり不安に悩まされたりして
とにかく、その想像力たるや半端ない。
どうにか自分と折り合いつけてるつもりが、実はずっと
引きずってたりして、それをポンっと目の前に放り出された感じ。

意味不明なものもあったけど、それは自分の理解力の欠如としても
一番切なかったのが「ポップアート」だったりする。
子供の時、縫いぐるみとかに、異常なくらい感情移入しなかった?
生き物と同等に扱ってなかった?
ポップアートでは、お祭りやイベントなんかでよく見かける
銀色の風船っていうの?キャラが描いてあったりして浮かんでる奴。
人なのにそういう病の同級生がいるって設定。
学校でイジメにあってて、蹴っ飛ばされるとキュって音を出して
浮き上がる。
一歩間違えば死んでしまうのに・・・子供ならではの残酷さですね。
そんな同級生と友達になった主人公とのお話しだったけど
最後があまりにも切なかったです。

「うちよりここのほうが」も切ない怖さです。
淡々と自分の思い出を語っているんだけど
その思い出の大切さをわかっているんだけど
だからこそ切なかったりします。
それをわかってないことが怖かったりします。

そして最後に(  ° ▽ ° ;) エッ?って思ったのが
「黒電話」
2つの恐怖と不思議がまじりあった作品なんだけど、
削除部分が最後に乗ってるんですよ(^◇^;)
何度も長編にしようとして、ならなかったらしく
短編へのこだわりもあったので短編として掲載して、
最後に削除部分を載せたらしい。
それを読むと、またちょっと印象が変わります。

恐怖の種類の多さ(受け手にもよるけど)を
大いに堪能できる怪奇幻想短篇小説集になってます。
分厚いけど、その分、満足度も分厚かったです。

そういえば、本に新聞の切り抜きが挟まってました。
発売日が鉛筆書きしてあるから、メモして購入したのかな?
挟んだままにしておきます(^◇^;)
0612