
ページ数:319p
発売日:2008年02月
歴史に不滅の名を刻みつつも、いまだヴェールに厚く覆われたままの、
東洲斎写楽。
蓮丈那智は、古文書の調査の訪れたはずの四国で、
その浮世絵の知られざる秘密へ足を踏み入れることに(表題作)。
憑代、湖底遺跡、奇怪な祭祀。
異端の民俗学者は、堆積する時代に埋没してしまった死者の囁きに、
今日も耳を傾け続ける―。
あなたの知らぬもう一つのニッポンを描く、本格ミステリ集。
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蓮杖那智シリーズ:第3弾
4篇の連絡短編集です。
「憑代忌」
「お守り様」といわれる人形が破壊され、持ち主の当主が
殺害される事件が発生した。
ビリー・ホリデーまで出てくるとは(^◇^;)
普段から民俗学にどっぷりと浸かっていると発想も半端ない
ミクニ・・・の一言で、地方に飛ばされることになり
事件に巻き込まれるんだけど、今回ばかりは那智先生に感謝だね。
憑代って・・・怖いわぁ~
「湖底祀」
湖の底から偶然発見された鳥居に村は活気づいたのだが・・・
まさか、あんなオチになるとは・・・
鳥居の考察部分は、獏ちゃんの秘帖・源氏物語と被る部分があって
更には青森の三内丸山遺跡まで出てきて楽しかったぁ
「棄神祭」
以前、那智先生が訪れた事のある御厨家で、信頼されている執事が
祭りの翌日に殺された。
御厨家で行われている祭りは奇妙なもので・・・
ここでも獏ちゃんの秘帖・源氏物語と被る部分が・・・
牛頭大王やら素戔嗚尊やらの名前が出る。
そういえば、地域的に被ってるから当たり前かぁ~
ここでは御厨家の秘密を暴くことになるのだが
なんとも悲しい結末でした。
「写楽・考」
資産家の男が失踪した。その男は、学会誌に掲載された
とんでもない論文の元になった古い文書を持っていた。
警察は那智先生を疑うのだが・・・
これは面白かったぁ~
まさか巡り巡って写楽に行きつくとは・・・
アプローチの仕方で、色んな説が導き出される
正解のない民俗学の魅力だわぁ~
元々、世界七不思議とかの色んな説を聞くのが大好き。
何が正解かは本当に解明されるまではわからない
どういうアプローチで新説が導き出されるのか
すごくワクワクします。
封印されるべき記憶は、同時に記録されるべき記憶
なるほどぉ~
それを紐解いて、また新しい説を引っ張り出してくださいぃ~
続編も早く購入しなければ!
大好きな北森作品。大事に読みます。