おとぎのかけら 新釈西洋童話集/千早茜 | mokkoの現実逃避ブログ

mokkoの現実逃避ブログ

現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

おとぎのかけら 新釈西洋童話集 (集英社文庫)/千早 茜
¥518 Amazon.co.jp
ページ数:245p
発売日:2013年08月

本当に幸せなのは誰か? 現代のおとぎ話7篇
シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を
現代日本に置き換えた短篇集。
童話の結末に疑問を抱く著者が見つけた、それぞれのハッピーエンドとは? 
泉鏡花文学賞受賞後第一作。
---------------------------
初めましての作家さん。
Mirokuさんのレビューを読んで気になって購入
Mirokuさん曰く、乙一風というから、やはり気になるし
本当は怖い西洋童話を、どういう風に日本版にしてるのか
それは興味があるというものです。

「迷子のきまり」(ヘンゼルとグレーテル)
花火大会の日、男にだらしない母親に虐待を受けている兄妹は
デパートで母親とはぐれたものの、そのまま家出をすることになり・・・

「鵺の森」(みにくいアヒルの子)
小学生の時、自分がいじめられたくないが為にもうひとりを裏切った。
二人は大人になって再会するのだが・・・

「カドミウム・レッド」(白雪姫)
画家である叔父の妻(美智子先生)は、まだ名が売れていないので
美大で講師をしながら絵を描いているので、時々わたしは
その手伝いをしているのだが、知った風なことを語る美智子先生を
冷たい目で観察し続け・・・

「金の指輪」→(シンデレラ)
大財閥の長男である父は、愛人の子の中で僕だけを認知してくれ
母が亡くなったとき、引き取ってくれた。
僕はアルバイトをしながら会いたい人を探していて・・・

「凍りついた目」→(マッチ売りの少女)
勘違いで連れていかれたのは、十代の少女を働かせる売春宿で、
たまたま与えられた少女を覗くことにはまってしまったのだが・・・

「白梅虫」→(ハーメルンの笛吹き男)
同棲中の恋人が持ち帰った梅の盆栽に、びっしりと虫がついてしまう。
男はカフェのスタッフに接近する口実に虫の駆除の方法を教えてもらい
恋人がいることを隠して浮気するのだが・・・

「アマリリス」→(いばら姫)
不倫相手が、いつか迎えに来てくれると期待して実家に戻った私。
痴呆の症状で幼い子供に戻った祖母は眠ることが多くなり、
起きている時は、アマリリスの歌を口ずさむ。
そんな祖母を訪ねてきた老人は・・・

これは・・・なんと表現したらいいのか・・・
幽霊とか、そういうホラーじみた怖さじゃなくて
人間が持っている怖さっていうのかな・・・
後でゾッとするというか、化け物よりも人間が怖いっていう
ジワジワと攻めたてられるような、そういう話です。

幼さゆえの残虐性とか、女だからこその冷徹な眼差しとか
裏切りに対する仕打ちとか、本当の自分に気付いた時とか
そういうザワザワと皮膚の表面を撫でる冷気のような不気味さが
淡々とした文章の中から滲み出るような感じがたまりませぇ~ん
っていうか、これは感性の問題か?
そういう捉え方するんだぁ~って、感心してしまった。

とは言っても、全部がこういう怖い系の話ではなくって
「金の指輪」と「アマリリス」はC=(^◇^ ; ホッ!とする話。
「アマリリス」は、ちょっとウルっとしちゃったし。
もちろん、おばあちゃんにね♪

文章というか語り口も好みなので、他の作品も読んでみよう(p^_^q)

アマリリス