千年の黙 異本源氏物語/森谷明子 | mokkoの現実逃避ブログ

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千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)/森谷 明子
¥1,015 Amazon.co.jp
発行年月:2009年06月
サ イ ズ:477P 15cm

帝ご寵愛の猫はどこへ消えた?
出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、
清少納言が牛車に繋いでおいたにもかかわらず、
いつの間にか消え失せていた。
帝を虜り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが―。
気鋭が紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、
そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに
描き上げた絢爛たる王朝推理絵巻。
鮎川哲也賞受賞作。
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初めましての作家さん。
これは誰の紹介だったかなぁ~??
読書メーターだったかなぁ~??
またも忘れてしまいました(^◇^;)

舞台は平安の都。それだけでトキメキます。
とはいっても、煌びやかに過ぎるわけではない。
時期的には、式部が源氏物語の藤壺を書きながら
煮詰まっている時期?

式部が探偵役というから、何をさせるのかと思っていたけど
派手に立ち回るわけではなく、日常の謎系です。
しかも物語の目線は式部に仕える小少将「あてき」。
大雑把に説明すると、あてきが一人で推理して空回りして最後に
式部に相談して問題解決という流れなんだけど
3話構成になっていて、時期が飛んでいる。

あてきの女としての生涯という見方もできるし、
式部が作家としての使命に目覚めていくという見方もできる。
今の小説のあり方とは全く事情が違う
物語を世に出すことの難しさと覚悟。
いやぁ~紫式部の印象が随分と変わりました。

1部は、帝ご寵愛の猫は、どこへ行った?という話に
女童だったあてきと岩丸の恋のお話を楽しめます。
この話を詳しく読みたかったんだけど、ここで時期が飛びます。
2部は、1部から数年後。
十一帖の源氏物語を彰子中宮に献上したはずが、その中の一帖が
失われていた。持ち出したのは誰?
3部は、2部の犯人への仕返しみたいな感じ?
特に2部の謎のスケールは大きい。

そして、どこにでも絡んでくるのが、時の権力者:藤原道長
いやぁ~権力への執着って怖いわぁ~
登場人物達も有名どころばかりではなくて楽しい。
清少納言なんて、おっかないオバサン的な描写だったし・・・
日常の謎系なんだけど、平安の雅ではない都の様子に
どっぷりと嵌れました。