思い出のとき修理します/谷瑞恵 | mokkoの現実逃避ブログ

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思い出のとき修理します (集英社文庫)/谷 瑞恵
¥648 Amazon.co.jp
発行年月:2012年09月
サ イ ズ:346P 16cm

仕事にも恋にも疲れ、都会を離れた美容師の明里。
引っ越し先の、子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街で
奇妙なプレートを飾った店を見つける。
実は時計店だったそこを営む青年と知り合い、商店街で起こる
ちょっぴり不思議な事件に巻き込まれるうち、彼に惹かれてゆくが、
明里は、ある秘密を抱えていて…。
どこか懐かしい商店街が舞台の、心を癒やす連作短編集。
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初めましての作家さん。
アニメ「伯爵と妖精」の原作を書いた人だったのですね。
良く言えば、ファンタジック。悪く言えば都合良過ぎ。
でもいいんです。
優しさが溢れているんですからぁ~(*´◇`*)
メインキャラは、明里と時計屋さんの秀司と、津雲神社を
ツクモさんと呼んで擬人化してる変な大学生の太一と
非常にわかりやすい。

恋人と別れただけでなく、一緒に夢を持って仕事をしていたはずなのに
それすらも思い上がりだった事に気付き、疲れ果てた明里は
子供の頃、少しだけ過ごした祖父母の家(ヘアーサロン由井)に戻ります。
すっかりシャッター街となってしまった、かつては賑わっていた商店街。
そこで奇妙なプレートが目に入る。
【おもいでの時 修理します】
そして、商店会長だという秀司と出会うのだが
彼こそが奇妙なプレートを掲げた店の店主だった。

過去に傷を負った人たちの思いが
時計屋さんによって【修理】されていく。
そんな温かい連作短編集。

「黒い猫のパパ」
太一が拾ったオルゴールを時計屋さんに持ち込んだ。
中には母子と黒猫が映ったネガフィルムが入っていた。
持ち主を探すことになった三人だが・・・

「茜色のワンピース」
商店街を離れることになった老婦人は、半世紀以上前に
店の開店祝いでもらった時計の修理のついでに
思い出の修理を依頼してきた。その依頼とは・・・

「季節はずれの日傘」
15年前に神隠しにあった娘を探している年配の女性が
写真を持ってヘアーサロン由井を訪ねてきた。
同じころ、写真の少女と同じような格好をした女性が
探し物をしていた・・・

「光をなくした時計師」
時計屋さんに開店前だというのに呼び鈴が鳴った。
作業中の秀司にかわって、明里が応対に出ると
それは秀司の元カノで、亡くなった兄の婚約者だった。

「虹色の忘れ物」
子供の頃に少しだけ過ごした思い出の商店街
祖父母が経営するヘアーサロン由井
ヘアーサロン由井の孫ということで、商店街に
受け入れられていた明里だったが・・・


思い出は、確かに生きていくために必要なのだ。
いいことにしろよくないことにしろ、自分の中で
ひとつの結末を迎えた出来事は、結晶のように形を作り
心のどこかにきちんとおさまる。
それを足掛かりに、たぶん、未来への階段をひとつ上る。


小さなササクレも、置き去りにしたままだと
傷になってしまうんだなぁ~と納得しました。
「茜色のワンピース」は、泣けました。
そういう解決の仕方もあるんだなぁ~と・・・
だから迎えられた結末には感動しました。
いや・・・確かに都合良過ぎなんだけど
いいんです!

不思議な出来事と、明里と秀司の進展具合も
読み進めるうえで楽しみなのですよ。
なんか、優しさに飢えてるなぁ~自分(-。-;)

コミックも出てたのね・・・
思い出のとき修理します (マーガレットコミックス)/山口 いづみ
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