
発行年月:2012年11月
サ イ ズ:347P 15cm
「一年前のお約束の品を受け取りに参ります」――
強面の古道具屋の主・喜蔵の元に、奇妙な手紙が舞い込んだ。
喜蔵の脳裏に、不思議な老女と交わした約束が蘇る。
そんな折「縄張りの視察だ」とうそぶく小春が
再びあちらの世からやって来た。
どうやら永遠の命を授けるという「アマビエ」なる妖怪に
関わる事件が起きているようなのだが……。
『この時代小説がすごい! 文庫書き下ろし版2012』(宝島社)
第二位に選ばれた、明治人情妖怪譚シリーズ第四弾!
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シリーズ第四弾。
なにやらこのシリーズは、本筋の小春と喜蔵の話より
サイドストーリー的な話の方が面白いんじゃないのか?
サイドと言いながらもしっかり巻き込まれてるんだけど
今回は切なさの余韻は大き過ぎでした。
ちょっと引きずってしまった。
長屋の大家さんが目安箱のようなものを設置したら
中に入れられていた手紙のほとんどが喜蔵の事だった。
まぁ~言うまでも無いが「顔が怖い」とかね(^◇^;)
その中に、奇妙な手紙が紛れ込んでいた
「一年前のお約束の品を受け取りに参ります」
小春が百鬼夜行から落っこちてきてからの
ドタバタ騒ぎでスッカリ忘れていた喜蔵。
店に何度も足を運んでは、無いと喜蔵が断っても
悪い足を引きずって店に通う老女がいた。
老女が求めるものは「枯れずの鬼灯」
古道具屋に通うくらいだから、普通の鬼灯ではないのだろう。
喜蔵は老女の体を気遣い「もう店に来ないでくれ」と言う。
喜蔵なりの優しさだったりするのだが、老女は
1年後に店に来た時に、なかったら諦めると言って帰っていった。
しかし、それは未だに店には入ってきていない
そんな時、またも小春が現れた。
今回はちゃんと玄関から手土産持参で来たのに
目の前で玄関の戸を閉められてしまう始末(○ ̄m ̄)
喜蔵が住んでいる一帯は、小春の師匠?の縄張りで
その視察の為にやってきたと言うのだが
実は「アマビエ」なる妖怪に絡んだ調査らしい。
甘エビではありません。一瞬読み間違えたけど・・・
そして彦次が、妙な男の依頼を受けてアマビエと接触していた。
超怖がりなのに、妖怪が見えるし巻き込まれる体質らしい。
薬屋の秋曰く、妖怪の縁は、憑くらしいからねぇ~(^◇^;)
妖怪なのか神なのか、未だに正体が不明なのだが
アマビエを手に入れたものは永遠の命を授かるという。
しかしアマビエが出現した後には災難が巻き起こるという。
いつどこに現れるのか不明であるが、どうやら
北の方から下ってきているらしい。
それを狙って水の怪達の間で騒動が起こっていた。
老女が必死に手に入れようとしている品とは・・・
何故そこまでして手に入れたいのか・・・
またも現れた多聞。
彼と一緒にいる四郎と勘助までもが喜蔵の前に現れた。
彼らは何をしようとしているのか・・・
そして、小春の周りにも不穏な動きが・・・
小春の気持ちを先読みして先手を打った喜蔵。
この終わり方は爽やかでした。
明治初期時代的青春物ってな感じ?(^◇^;)
人間の頑固者も手に負えないけれど
妖怪の頑固者にも困ったものです。
その後、どうなったのよぉ~と思ったものの
このお話には序章があったのを思い出して
最後まで読んだ後に、最初に戻って読んでみて
改めて泣きそうになりました。